2011年11月29日火曜日

MRの最近の動向についての私感

《第75回》


●ここ数年の世界のMR動向を2つのキーワードで表すとすれば、


1)同時リサーチへ


2)人間中心リサーチへ


であると解釈できるかもしれません。


●「同時調査」というのは、実際の購買や消費の前(プレ・リサーチ)でもなく、後(ポスト・リサーチ)でもない、その瞬間における意識や態度、行動を測定しようとするものです。


いわゆる、購買の決断の瞬間であるFMOT(First Moment of Truth)や、消費の瞬間SMOT(Second Moment of Truth)、さらにはそれ以前のZMOT (Zero Moment of Truth)の消費者の意思決定の瞬間の意識や行動を測定しようとする動きです。


これは、「リアリティ」の追求として、従来からリサーチが目指してきたことです。あいまいな記憶にたよるリコール・データではなく、誤差の少ない精度の高いデータを収集しようとする試みです。このリサーチにおける重要な目的が、ITの進歩によって、徐々に現実化してきています。


より精度の高いデータによって、有効な意思決定が行われることは喜ばしいことです。


これが、スマートフォンを中心とした「モバイル・リサーチ」の拡大です。


定性、定量調査の両面においてです。


また、点ではなく、線や面で消費者を継続的に捉えようとするMROCやモバイルMROCの動きも同様です。ソーシャルメディアやSNSでの発言やそのリスニングも、データの同時性を高めています。


●もう1つは、「人間中心」と呼べるのではないでしょうか。


マーケティングがターゲットとする消費者も、「人間」です。それゆえ、「人間(の意識や行動)」について、MRはもっと知らなければいけないという考え方です。


95%が無意識の文字であらわされない部分で決定されているというバイオメトリクスやニューロ・サイエンス、脳科学のMRへの応用もその1つです。


人間の意識や行動、本能のより深い理解をMRに応用しようとする「行動経済学」や「ゲーミフィケーション」などもこの分野に分類することができるでしょう。


人間は誰かとつながりたい、自分の意見の発言・共有を行いたいという「ソーシャルな存在」であるという本質と、ITの進歩が結びついた「ソーシャルメディアリサーチ」も、ある意味「人間中心」であり、かつソーシャル上での発言は「同時調査」を可能にしていると言えます。

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