2011年11月29日火曜日

JMRAマーケティング・リサーチャーのMROC記事

《第73回》

●マーケティング・リサーチャーNo.115号46頁(2011年8月31日発行)にMROCについて寄稿しました。

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ちょっと教えて: MROCって何?    MROCジャパン代表 岸川茂


MROC(エムロック)については、「いまさら聞きにくい」リサーチのテーマというよりは、リサーチャーが、これからどんどん聞かなければいけない、探究しなければいけないリーサーチ・テーマの1つです。MROCは、2011年3月に出版されたマクロミル総合研究所所長の萩原雅之氏のタイムリーな好著『次世代マーケティングリサーチ』で多くの頁をさいて紹介されたことにより、日本の多くのリサーチャーやマーケターの間に急速に広まった次世代MRの中で最も有望なリサーチ・ツール=次世代MRプラットフォームです。


MROCとは、マーケティング(或いはマーケット)・リサーチ・オンライン・コミュニティMarketing (Market) Research Online Communityの略です。オンライン・リサーチ・コミュニティ(Online Research Community)とも呼ばれます。また、インサイト・コミュニティやイノベーション・コミュニティと呼ぶ企業もあります。


MROCは、販売促進やブランドや企業へのロイヤルティ醸成を目的としたマーケティング・コミュニティではなく、マーケティング・リサーチを目的として作られた「リサーチ専用のコミュニティ」です。アクショナブルな有効な消費者(生活者)インサイトの創出が期待されています。


USの情報サービス企業フォレスター社のリサーチャーであるブラッド・ボートナー氏が、2008年4月に「Web 2.0はマーケティング・リサーチを変革するだろうか?」という記事の中で、「MROCは、従来の定性リサーチの世界に衝撃を与えた。なぜならMROCは、安くて、早くて、かつグルインなどの伝統的な定性リサーチの手法が現在提供できていない新しいタイプのインサイトを創出することができるからである」と述べ、その数年前から表れていた定性調査の新しい動向をMROCと名づけました。


このようにMROC登場の背景には、Web2.0と呼ばれるITの発展によるブログなどのCGM(消費者生成メディア)やTwitterやFacebookなどのSNS(ソーシャルネットワークサービス)の拡大普及があります。「ソーシャルメディア時代における新しい消費者理解の方法」として、調査のアスキングからリスニングへの移行にともなう「ソーシャル・リスニング」とともに、プライベート・コミュニティであるMROC上の消費者の声をリスニングすることの「消費者インサイトを創出する上での価値」が高く評価されてきています。


MROCは、グループ・インタビュー(欧米ではFocus Groups)のオンライン版である掲示板グルイン(Bulletin Board Focus Groups)ではありません。調査の単位が、単にデモグラフィック属性や購入商品が共通の人々からなる「グループ」ではなく、共通のテーマに高い関心を持つ参加メンバーが、コミュニティに絆(エンゲージメント)を感じ、メンバー間に相互作用が生れる「コミュニティ」である点が、MROC成功のポイントの第1番目です。それゆえに、MROCの成否にとって、コミュニティ・メンバーの選択が非常に重要です。


近い将来、MROCが、「いまさら聞きにくい」調査テーマになるように、企業の意思決定をサポートするリサーチ・ミックスの中に定番化されることを祈りたいと思います。MROCについては、ここで説明した以外の「その他のMROC成功ポイント」や「MROCに向いているリサーチ課題」など言及しなければいけない項目がいろいろとありますが、この続きは筆者のブログ「みんなのMR.COM」で!


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