2012年7月10日火曜日

第27回JMRX勉強会2012年6月度:2周年記念リサーチサミット2012

《第94回》

●6月30日(土)、東京ウイメンズプラザにおいて、
「JMRX勉強会2周年記念リサーチサミット: グローバル化とリサーチ
と題して、豪華講師陣の皆様をお迎えして、週末の3時間拡大版として開催致しました。土曜日にもかかわらず50名の方のご参加をいただきました。毎度のご参加、誠に有難うございます。

●2年前の2010年5月に、第1回勉強会をスタートさせてから、今回で27回目の開催です。
「マーケティング・リサーチの寺子屋」ブログでお馴染みの鈴木敦詞さんや、第1回の講演者であり、東京ウイメンズの会場利用にご協力をいただいているアイボリーマーケティング代表の福井瑤子さんをはじめとする設立オリジナルの12人のメンバーの皆さん、また第1回よりご参加いただいたメンバーの方々や、JMRXの趣旨にご賛同いただきました講師の皆様、そして事務局の牛堂さん、斉藤さん、小野さんに感謝申し上げます。

●JMRXは、リサーチャー個人のリサーチ・スキル向上を目指している日本で唯一の個人ネットワーク・グループです。
会員制ではありません。一度でもJMRX勉強会に参加していただいた方はその日からメンバーです。事務局はお世話ががりですので、まさにこのブログの名の通り、みんなのMRグループです。勉強会でリサーチャーに、お話されたいことがおありでしたら、ぜひ事務局までご連絡下さい。勉強会の日程を調整させていただきます。講師の方は、1万円のお車代と懇親会費が無料になっております。また勉強会の会場を提供してくださった企業様の社員の皆様は、参加費1,000円が無料になっております。ぜひ社内研修にご利用下さい。

ちなみに、MRXは、グローバルでTwitterで結ばれたリサーチャーの情報交換グループです。その中には、Ray Poynter氏や、Jeffrey Hennings氏、Annie Pettit氏など、NewMRの分野では世界を代表するリサーチ・ブロガーが含まれ、彼らはリサーチの国際会議でのプレゼンの常連であり、世界のNewMRをThought Leaderとして牽引している存在でもあります。
●今回は5人の方にご講演をしていただきました。休日のご講演を快諾していただきました講師の皆様に深く感謝申し上げます。

また、勉強会の最後に、6月に出席されたESOMARのサマーアカデミーについて熱く語っていただいたフリーランスの定性リサーチャー吉田朋子さんにも感謝申し上げます。

「世界のマーケティング・リサーチ業界の動向」 三木康夫氏(株式会社カンター・ジャパン・シニア・コンサルタント、元リサーチ・インターナショナル/JMRB社長、ESOMAR日本代表))

②「リサーチのグローバルマネジメント」高橋直樹氏(日産自動車グローバル市場情報室エキスパートリーダー)

最新テクノロジーを駆使した海外リサーチの成功法」マーク・シェパード氏(Tolunaジャパン日本代表)

④「ESOMARのご紹介」佐野良太氏(トークアイ代表取締役社長、ESOMAR日本代表)


⑤「NewMRとグローバル化:2012年上半期ミラノ、ロンドン上海マレーシア・ペナンのMR国際会議に出席して」岸川茂(MROCジャパンCHO)

●三木氏のご講演: 下記資料参照

1人当たりの売上
広告と比較
広告費を100としたときのMRの売上の割合
50兆円
調査アプローチ
日本
オンライン定量40%
定性13%(グルイン7%、デプス4%)
6.取引先:広告代理店が多い。減少傾向11%。媒体メディア
インサイトがない。レコメンがない
調査会社への期待「フィールド&タブ」
7.海外取引状況
海外からの受注
海外への発注:カンター海外へ出す分15億
クライアントが直接海外へ発注
海外からの受注の割合
世界の調査会社Top10
世界の上位が合併
上位会社:シジケートサービスが多い

9つのトレンド
①2008年 2010年以降回復基調。特にBRICS
2011年2.3%。2008年の状況に戻る
②M&Aが進む。今後も再編
独立系もネットワーク
Top5社で49%(2007年38%)
日本は、Top5社で50%
Top10社で60%
③M&AはMR業界内にとどまらない
④クライアントの取引条件での優位性は一層高まる
購買部がリサーチを購入
サプライヤーの数を減らすことでリサーチ支出を一元化
デイスカウント
⑤アウトソーシング/オフショアリング
時間短縮もキードライバー
⑥MR業界で成功するビジネスモデル
クライアントが求めているのは、MRに基づいた戦略アドバイス
⑦リサーチャーのスキルセットも変化している
インサイト/フォアサイト
⑧テクノロジーの進歩がMR業界に変化をもたらしている
「調査会社」
⑨MR業界のリーダー達はMRの将来に自信を持っている

需要予測MicroTest
クライアントは調査会社を絞ろうとしているー調査会社はカスタマイズすることにより、クライアントが離れないように
⑩SWOT分析
変わるリサーチャーの仕事
望まれるリサーチャーとは?

●高橋氏のご講演: 下記資料参照

マーケティングのパラダイム
調査テーマのシフト
生活者の自発的な反応
日本は売上少ない 日産2割
マネジメント
車種に開発プロセスが長い 5-6年
他部門にまたがる仕事
プロセスが重要
1つの商品を多くの地域で販売
規模の経済
機能価値
生活価値
購入検討から購入までが長い:3か月
先行企画
デザイン
R&D
商品品質
顧客満足
車の開発の各フェーズごとの調査
市場規模の予測
商品のカニバリはダメ
opportunity
世の中にどのようなニーズがあるか
調査設計の標準化度合
プロダクトコンセプト策定
プロダクトスペック策定
試作プラダクト評価
コミュニケーションコンセプト評価
試作コミュニケーション評価
上市振り返りとマイナーチェンジ

グローバル市場統括本部の役割
①市場調査を実施し結果を報告する
②当該調査の結果に基づきその調査にユーザーに提言を行う
③蓄積されたインサイトに基づき、当該事業領域に対して提言を行う
④さまざまなデータから導き出されたフォーサイトに基づき自社に対して当該領域

●シェパード氏のご講演: Toluna社のリクエストにより資料は非公開です。

2001年TNS
22年
JSR、インフォプラン
2007年オンライン
2009年Tolunaジャパン
アクセス
情報量
12,000メンバー
84,000コメント
FBファンページ
100社
SMのMRへの示唆
アクセルパネル
SMの使用になれた→リサーチにも使う
アクセスがよい
Vote and Pollに参加
online research communities
ブランド
listen
learn
adapt
リサーチコミュニティはタウンホール、タウンの市長
自由に発言・表現
ファン構成
1,000人
定量に適する
branded
non-branded

●佐野氏のご講演: 資料は残念ながら未公開

ESOMARのご紹介
最近の日本での活動
ESOMARへの勧誘

●最後は、講師の方が全員参加してくださって、毎度のごとく懇親会で盛り上がりました。






●Facebook参照: http://www.facebook.com/#!/media/set/set=a.433792939994865.100196.163098300397665&type=1

●各講演資料
2012年6月度Jmrx2周年記念27回勉強会資料
View more presentations from Shigeru KIshikawa

●リサーチャーの皆様、もっと情報公開を!

貴重な情報やアイディアも自分の中で温めていても進歩しません。オープンにして、みんなで議論してはじめて発展・進化する可能性があります。個人のノウハウを共有していただくことによって、MR業界の発展に貢献してください。特に、50代のリサーチャーの諸先輩の皆様、長年の知識と経験を業界の後輩のために積極的にシェアお願い致します。ぜひJMRX勉強会での講師をお願い致します。
●JMRXでは、メンバーによるMRトレーニングの実施とそのノウハウの蓄積によるMRWikiの構築を目指しております。2周年を記念して、いよいよその企画が動き出します!!!
詳細は後日発表予定でございます。

2012年7月9日月曜日

第3ステージをむかえた日本のMROC


《第93回》

●昨年2011年4月、MROCが日本に初めて導入されて、新聞や雑誌の紙面を賑わし、マーケティング業界のバズワードになりました。それが第1ステージだとすれば、その後2012年に入り、皆様ご存じのように、欧米のMROCプラットフォーム(PF)を基に作られた日本版MROC‐PFを外販する(株)インデックス・アイ社と、(株)コントロールエー社の2社が登場して、MROCの普及活動に大きく貢献致しました。それが第2ステージと呼べるかと思います。


最初のローンチからおよそ1年2か月後に、ようやく業界最大手の(株)マクロミルが、MROC市場に参入してこられました。(7月2日プレスリリースhttp://www.macromill.com/company/release/release_20120702.pdf)。そして、9月には、(株)三菱総合研究所が、国内第3の外販プラットフォーム「リスナー」とともに、MROCフルサービスを本格的にスタートさせる予定です。

現在、MROCは、第3ステージに入ろうかというところだと思います。現状は、トライアルで一度はMROCをやってみたけれども、実施の中心である調査会社側では、①流行になったので、トライしてみたけれでも、思いのほか、手離れが悪く、効率が悪いことに気づき、他方、クライアント側では、②価格の方もそれほど安くはなく、グルインよりも時間がかかり、期待したほどには、「有効なインサイト」がだせる手法がどうか、社内のステークホルダーを説得できるほどの自信がいまいちない、といったところが実情ではないでしょうか。

確かに、慣れていないと、コミュニティの運営にも相当の時間と労力がかかります。1か月といった短期ですと、まだいいでしょうが、数か月におよぶ長期MROCになればなおさらです。さらには、1か月で収集された投稿や画像、日記などの膨大なコミュニティの活動の定性データを報告書にまとめる作業は、独自の分析手法がなければ、そう簡単な作業ではありません。これまでの6人ぐらいで数グループのグルインの速記録のデータが、50人や100人分、それも1か月分もあれば、リサーチャーもお手上げです。

閉塞感のあるリサーチ業界において、業務の有効化、効率化を実現してくれるオンライン時代の新たな手法として登場したMROCが、逆に調査会社の社員の方の残業時間を増やす結果にもなりかねない状況がうまれることを危惧します。あるいはそれを下請けする小さな調査会社さんやフリーランスの方にしわ寄せが行くのが目に見ています。

今後、日本版MROCが、このような直近の課題をどのように乗り越えて、リサーチミックスの1つとして、日本の市場に根付いていくか注目されるところです。

●今月、2回セミナーに参加させていただきます。参加者の皆様と、このあたりの議論もさせていただければ幸いです。

I.(株)コントロールエー社主催
MROC2.0へ ~次世代型MROC活用手法~
7月12日(木)15:30-17:30
http://mroc.me/news/seminar0712/

II.(株)ジャパン・マーケティング・エージェンシー主催
MROC体験セミナー
7月26日(木)13:00-17:00
http://www.jma-net.com/seminar/mroc/20120726/

よろしかったら、ご参加下さい。


ワップ(株)主催セミナー「リスニングを医療・医薬マーケティングにどう活かすか?」出席レポート

《第92回》

●2012年7月4日(水)14:00-16:40、秋葉原のUDXカンファレンス・ルームFにて、ワップ株式会社主催の「リスニングを医療・医薬マーケティングにどう活かすか?」に出席致しました。
http://www.wap-j.com/index.html

●医療・医薬分野におけるMROC活用のリーディング・カンパニーであるワップ(株)のセミナーです。患者の声を聴くことが難しい医療分野において、消費者のホンネが聞けるMROC手法の活用は、欧米と同様、日本でも今後の活用の拡大が期待される分野です。ワップさんの今後のご活躍を大いに期待しております。医療・医薬関係者向けにこのようなMROC紹介のセミナーが開かれることは大きな意味があると思います。会場には、日本を代表する製薬メーカーの方々が多数参加された盛況なセミナーでした。

●3つ講演がありました。

I.萩原雅史之氏「リスニングからはじまる新しい顧客理解」
II.三宅啓氏「患者の闘病体験をリスニングする」
III.東海林渉氏「メディカルリサーチにおけるMROCの事例紹介」


I.萩原雅史之氏「リスニングからはじまる新しい顧客理解」

●リスニング研究の推移を説明された後、「リッスン・ファースト」(S.ラパポート)のリスニングの定義を紹介

リスニング=ガイドの有無にかかわらず、自然に起こる会話、行動、シグナルを研究し、人々の生活の声をブランドに取り入れること」

この場合、

会話には、SM上の会話から通常のオフラインの会話、
行動には、ライフログから行動ログ、通常のオフラインの行動、
シグナルには、センシングデータやバイオメトリクスデータも含むという意味で、非常に広い定義と指摘。

●萩原氏のこの定義の解釈は、
①会話だけでなく、行動やシグナルも対象となっている
②誘導(ガイド)の有無を問わない(自然に起こるものが対象)
③戦術的なSMモニタリングと戦略的なソーシャル。リサーチが区分されている
④消費者の深い理解(インサイト)はビジネスの成長をもたらす

●従来型リサーチもリスニングも多様な課題(①消費者行動の理解と市場の発見、②新商品の開発、③既存商品・ブランドのマネジメント、④コミュニケーション施策の立案・評価など)に対応する

●顧客視点のウエイトが高まっている背景
①企業の競争戦略の変化
②消費者購買行動の変化

●見えない顧客の声をどう可視化・内在化するか
①アンケートやコールセンターによる理解、②SMリスニングによる理解、③インサイトによる理解

●MROCや検索データ、SMデータ分析事例の紹介

●リスニングにみられる消費者データ収集・活用の発想
①蓄積されたデータから仮説を立て検証する
②ひとりの消費者をリアルに思い浮かべる
③同じ対象を継続的に追いかけて変化を知る
④ストリーミングや動画のようにデータを扱う
⑤事実で語らせる実験的な手法を取り入れる
⑥つながりをデータの解釈に活用する

II.三宅啓氏「患者の闘病体験をリスニングする」

●三宅氏が経営する(株)イニシアティブが提供する患者ブログのソーシャルリスニングツールdimensionsの紹介

●従来患者調査の限界
①医師は患者の声を過少評価
②患者は医師にホンネを言わない
③患者ー医師ー製薬会社のMRー製薬会社間の伝言ゲーム

●自発的な、生の声、ホンネ、ダイレクトな患者の声が重要

●詳細は、http://www.tobyo.jp/を参照


III.東海林渉氏「メディカルリサーチにおけるMROCの事例紹介」

●ワップ(株)代表取締役社長の東海林氏のご講演です。

●ワップ社のこれまでのMROC成功事例の紹介
患者MROCだけでなく、MROCのBtoB活用の事例として、医師コミュニティの事例紹介

●MROCの利点
リスニングやアスキングができる点、コスト削減、スピードアップが可能。行動追跡が可能。

●新たな気づきの発見: ①コミュニティの活性化、②気づき能力の向上
気づくためには、「みんなで見る」ことが重要。

●MROCによる企業内顧客志向の向上
①MROCを通した部署間のコミュニケーションの促進、②MROCによるフィルターを通さない生の声を経営層が重視、③マーケティングの仕組みの変化

#150 レイ・ポインターのMR白熱教室2015 第4回(最終回)報告

<第149回> レイ・ポインターのMR白熱教室2015 第4回(最終回)報告 2015年6月23日 ● 第4回目のテーマは、 『データからストーリーテリング』 でした。 ● 7月にレイとの懇親会を予定しております。世界のMRのソート・リーダー(thought ...