2012年7月9日月曜日

第3ステージをむかえた日本のMROC


《第93回》

●昨年2011年4月、MROCが日本に初めて導入されて、新聞や雑誌の紙面を賑わし、マーケティング業界のバズワードになりました。それが第1ステージだとすれば、その後2012年に入り、皆様ご存じのように、欧米のMROCプラットフォーム(PF)を基に作られた日本版MROC‐PFを外販する(株)インデックス・アイ社と、(株)コントロールエー社の2社が登場して、MROCの普及活動に大きく貢献致しました。それが第2ステージと呼べるかと思います。


最初のローンチからおよそ1年2か月後に、ようやく業界最大手の(株)マクロミルが、MROC市場に参入してこられました。(7月2日プレスリリースhttp://www.macromill.com/company/release/release_20120702.pdf)。そして、9月には、(株)三菱総合研究所が、国内第3の外販プラットフォーム「リスナー」とともに、MROCフルサービスを本格的にスタートさせる予定です。

現在、MROCは、第3ステージに入ろうかというところだと思います。現状は、トライアルで一度はMROCをやってみたけれども、実施の中心である調査会社側では、①流行になったので、トライしてみたけれでも、思いのほか、手離れが悪く、効率が悪いことに気づき、他方、クライアント側では、②価格の方もそれほど安くはなく、グルインよりも時間がかかり、期待したほどには、「有効なインサイト」がだせる手法がどうか、社内のステークホルダーを説得できるほどの自信がいまいちない、といったところが実情ではないでしょうか。

確かに、慣れていないと、コミュニティの運営にも相当の時間と労力がかかります。1か月といった短期ですと、まだいいでしょうが、数か月におよぶ長期MROCになればなおさらです。さらには、1か月で収集された投稿や画像、日記などの膨大なコミュニティの活動の定性データを報告書にまとめる作業は、独自の分析手法がなければ、そう簡単な作業ではありません。これまでの6人ぐらいで数グループのグルインの速記録のデータが、50人や100人分、それも1か月分もあれば、リサーチャーもお手上げです。

閉塞感のあるリサーチ業界において、業務の有効化、効率化を実現してくれるオンライン時代の新たな手法として登場したMROCが、逆に調査会社の社員の方の残業時間を増やす結果にもなりかねない状況がうまれることを危惧します。あるいはそれを下請けする小さな調査会社さんやフリーランスの方にしわ寄せが行くのが目に見ています。

今後、日本版MROCが、このような直近の課題をどのように乗り越えて、リサーチミックスの1つとして、日本の市場に根付いていくか注目されるところです。

●今月、2回セミナーに参加させていただきます。参加者の皆様と、このあたりの議論もさせていただければ幸いです。

I.(株)コントロールエー社主催
MROC2.0へ ~次世代型MROC活用手法~
7月12日(木)15:30-17:30
http://mroc.me/news/seminar0712/

II.(株)ジャパン・マーケティング・エージェンシー主催
MROC体験セミナー
7月26日(木)13:00-17:00
http://www.jma-net.com/seminar/mroc/20120726/

よろしかったら、ご参加下さい。


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