2011年7月11日月曜日

MROCの価値

《第65回》

◆MROCの価値

●最近、ツイッターでこんなつぶやきを見つけました。

@Xさん  Y社の弊社営業担当者からMROCの説明を受けた。う~ん、営業自身が半信半疑というか、MROCの価値を感じていないのよ。残念ながら、正直全くそそられなかった
(><)。

MROCのエバンジェリストとしては、非常に残念な結果です。

このツイートには実在の方がおられますので、以下はあくまでも一般的なお話とご理解ください。このようなことは、別にMROCの営業に限ったことではないと思います。

●その原因として、

①Y社の営業担当の方が悪いのか?

②MROC自体にサービス価値がないのか?

③はたまた、それを聞いた@Xさんの知識経験が不足していて、問題意識が低いので、MROCの価値が見出せなかったか?

繰り返しますが、これはあくまでも一般的な営業活動のお話です。XさんやY社とは全く関係がありませんことをご理解下さい。

●MROCはまだ内容が不明な方が多いと思います。グルインやネット調査のように、その言葉を聞いただけで、そのサービス内容が共有されるものではありません。内容の理解されないものをお客さんにはなかなか売りづらいかと思います。またお客さんも逆に発注しづらいでしょう。

営業の方も会社の上の方からMROCの説明を1回だけ聞いて、お客さんに売ってこいと言われても、その理解や、販売のモチベーションを高く持つことは難しいと思われます。

営業マン自身が、MROCの価値を強く感じるには、なかなか難しいサービスだと思います。

●MROCを日本の市場に導入し、普及を実践しているMROCエバンジェリストとしては、上の②の「MROC自体に価値がない」とは思いたくありません。

●ということで、今回はMROCの価値について少し考えたいと思います。

少しでも、MROC理解の参考になれば幸いです。

●よく引用されていますように、MROCの名付け親であるUSのフォレスター・リサーチ社のブラッド・ボートナーは、次のように言っています:

「マーケティング・リサーチ・オンライン・コミュニティ(MROC)は、従来の定性リサーチの世界に衝撃を与えた。なぜならMROCは、安くて、早くて、かつグルインなどの伝統的な定性リサーチの手法が現在提供できていない新しいタイプのインサイトを創出することができるからである

「新しいタイプのインサイトの創出と言っています。

私もこれにつきると考えています。

上のツイッターのケースでは、営業マンの話を聞かれた担当者の方は、MROCでインサイトが創出されるとは感じなかったのでしょう。

要はインサイト創出のための手段としてのソーシャルメディア時代の新しいリサーチ・ツールMROCですので。すべては、「インサイト」につきるわけです。それゆえ、MROCの代表的企業であるコミュニスペース社が、MROCをインサイト・コミュニティと呼称しているのは、的を得(射)た呼び方だと思います。

●現在MRは、さらなるビジネス上での有効性やROIが求められています。そのためには、インサイトの創出が不可欠です。従って、欧米では、MROCが注目されているわけです。

現に、MROCが、インサイトを創出し、リサーチのビジネス(売上アップや成長)上に大きく貢献できることをコミュニスペース社が実証しています。

コミュニスペース社が誇りに思っていることは、一度MROCの顧客になったクライアントが、ほとんどリピートをすることだと、先日ボストンの本社に行った時に担当者がそう言っていました。

つまり、コミュニスペース社のクライアントは、MROCの有効性を高く評価し、繰り返しMROCを利用しているそうです。

●ここまで「インサイト」という言葉を多用しましたが、ここでは定性のリサーチャーの方が言うような潜在的なニーズなどの深い心理学的な意味では使っていません。

もっと軽く、「売上アップやビジネス成長に役立つ有益な情報(結果や発見、気づき、アイディアなど)」といった意味で使っています。

MRがビジネスに貢献できる情報をインサイトと呼んでいます。

インサイト(深い消費者理解)についてはいろいろと議論される方もおられるかと思いますが、名称が何であれ、ビジネスに役立つ情報を生み出すのがMRですので、それを象徴する言葉として、「インサイト」というのは便利な言葉だと思っています。

●ところで、一般論として考えた場合、2時間のグルインと、1週間継続した非同時のグルイン(掲示板グルイン/オンライン・グルイン)では、後者の方が、有効なインサイトがでる可能性が高いように感じます。

なぜなら、まず時間の長さが異なる点です。それだけ参加者もじっくり考え回答することができます。

またグルイン・ルームではなく、日常生活において家庭で行われれる掲示板グルインの方が、よりリアルな実態や意見を聞くことが可能ではないかと思います。

もちろん、例外はたくさんあります。ここでは、一般論でかつ確率の大きさを比較していることをご留意下さい。

よって、インサイト創出力では、

★ グルイン・ルームでの6人の2時間グルイン < 非同時オンライン・グルイン

●また、単に性・年代や、週に1回、缶コーヒーを飲んでいるといった対象者条件を満たす人々からなる消費者の「パネル」で構成された非同時オンライン・グルインと、

同じ興味・関心をもつ人々が集まった形成された「コミュニティ」での非同時グルインでは、後者の方が有効なインサイトがでるのではないかとも感じます。

というのは、コミュニティ・メンバーはお互い興味や関心などの共通点で結ばれており、コミュニティに対してもキズナを感じているので、積極的な発言が生まれます。

関心度や購買行動が、単に平均的な、あるいは場合によっては平均以下の消極的な消費者が集まったパネルに、一方的に質問を投げかけて聞くよりは、有効で生産的な議論が行われる可能性が高いように思います。

★ パネルでの非同時グルイン < コミュニティでの非同時グルイン

●さらに、単にテキスト・ベース(文字情報)の議論だけを行う掲示板グルインよりは、写真や動画をアップしたり、ブログで日記を書いたりなど、さまざまなコミュニティ活動を行うことができるMROCの方がより参加者間の相互作用が生まれ、活発な自然な会話の中から、想定していなかったような有効なインサイトが生まれる可能性が高いように思います。

なぜなら、MROCでは、行動観察や日記などで生活実態をより詳しく、正確に把握することができるので、生活者の悩みや不満点、課題など=ニーズをより発見することができる可能性があります。観察だけでなく、その観察内容についても、参加者間でいろいろと議論をすることもできます。

★ 掲示板グルイン < MROC

●つまり、MROCは、消費者生活の起点で、さまざまな複合的なアプローチを取りながら、コミュニティ活動を通して、リサーチ課題を解決してゆこうとするものだと言えます。

どうして消費者パネルではなくて、生活者コミュニティでなければいけないかを理解することが重要です。つまり、コミュニティは、生活密着で、参加者間にエンゲージメント(キズナ)が醸成され、本音の会話がされやすい点において、生活者の真の声を聞くことができる可能性が高くなります。

●消費生活や市場の成熟・複雑化により、リサーチ課題も複雑になっています。なかなか消費者のニーズが見えにくくなっています。それに従って、課題解決への方法も、複合的なアプローチが求められています。

それゆえに、グルインでは、消費者ニーズが見えないような製品カテゴリーの「課題」に、MROCは最も向いていると思います。ここにまさに「MROCの価値」=存在意義があると思います。

●現在、MRの有効性の低下が叫ばれ、その変革が求められている中、

MROCの拡大を

「Askingでいいんじゃない?Askingのどこが悪いの?

これは経営者の方にとって本音でしょう。これまでの方法で、売上安泰であればハッピーです。わけのわからないものに投資を行うことはリスクが高いです。

でも欧米では、リスニングの必要性が強調されています。

でも欧米と日本では事情が異なる?日本ではまったくソーシャルメディアが普及していませんから?と反論することは難しい状況です。TwitterやFacebook、Mixiの普及を見れば、ソーシャルは人間に共通な現象であり、グローバルの動向です。

「大変なことをやろうとしているのでは?

複合的アプローチになれるまでは確かに大変です。だから、グルインだけでいいのでは?と、やりなれた1つの方法を繰り返すことの方が楽です。

新しいことを一から学んだり、複雑そうなので面倒だなと、最初から心理的バリアをはるか、

或いは、

「ITツールの発展によって、これまでのリサーチが目指してきたけれでも、現実不可能であったことが、ようやく可能になってきた」と興奮するか、

MROCに対して、どちらの立場をとられるでしょうか?

●グルインだけでは、生活実態や消費者の本音を把握することには限界があることは多くのマーケターやリサーチャーの方は、気づいているところです。グルインのフロー(ディスカッション・ガイド)で設定した「質問」の回答は、とりあえずは参加者に聞けば、埋まります。

でも、グルイン・ルームで参加者が、言い忘れたり、思いつかなかったことは、山ほどあります。現実の生活のごく一端をシェアしたに過ぎません。グルイン参加者の方は、「不完全燃焼」で会場を後にする人が多くいます。

これまでのサーベイやグルインは、消費者のごく一部の声を測定してきたもので、

他方、消費者は商品やブランド、サービス、企業について、日々1秒1秒、頭や心の中で感じたり、思ったり、評価したりしていることのごくごくわずかしか、言葉(文字)にして、企業に伝えることができていません。
 
近年エスノやニューロ、バイオメトリクスなど、文字であらわせない部分や無意識の測定が注目されていますが、文字で表す部分ですら、完全に測定しきれていないのが現実です。

現在は、ソーシャルメディアなどのITの進歩によって、このギャップが次第に埋められようとされる時代への移行期です。

●日本のMROCは生まれてまだ3カ月です。始まったばかりです。

今後は、MROC実施の各社が、事例を共有・研究することによって、「MROCの価値」を最大化するための「ベスト・プラクティス」の探求が望まれます。

MRがビジネスに貢献するために、

マーケティング/リサーチ課題の解決のためのインサイト(売上アップに役立つ有効なアクションー開発・施策を導くアイディア)の創出に磨きをかけると同時に、

ビジネス的にも効率的なリサーチ・ツールとして、その実施可能性、容易性、コスト面の改善も望まれます。



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2011年7月4日月曜日

MROCとソーシャル・リサーチ

《第64回》

◆MROCとソーシャル・リサーチ

● ある雑誌が、「ソーシャル・メディア・リサーチ」の特集を計画しているとのことで、先週取材を受けました。

「えっ!そんなに早く?」というのが第一の感想でした。。。
そもそも、「ソーシャル・メディア・リサーチ」(SMR)って何でしょうか?

Social media marketing (market) researchが少々長いのでこう呼ぶ人もいます。単にSocial market reseachやSocial researchとも呼ぶ人もいます。

TwitterやFacebookなどのソーシャル・メディアが、昨年から急に盛り上がってきたので、とりあえず「ソーシャル・メディア・リサーチ」でしょうか?

日本では、まだ一部の人の間でしか、知られていないように思います。

●今年3月に出版された萩原雅之さんの「次世代マーケティングリサーチ」の中でも、SMRの用語はまだ使われていません。

代わりに、傾聴Listening(98頁)や、CGM分析(110頁)やバズ分析(111頁)という用語が使われていました。

SMRと次世代MRとはどのように異なるのでしょうか?

SMRは、次世代MRの1つであることは間違いないようです。

●あまり知られていないのも当然で、本家本元のUSにおいても、SMRは、いまだ定義が確立した用語になっていません。

元ForresterリサーチのTamara Barber(現Sr Director of Strategic Marketing at Affinnova)も次のように言っています。(2011年4月)

the actual application and practice of social media market research still remains a black box.

彼女は、social market researchを次にように定義づけています。(2010年5月)

The use of social media and tools to gain increased access to and insights from a company’s target segment in a way that adds value and depth to the researcher’s overall responsibility as an expert on the voice of the customer.

●SMRは、次のような使われた方をしています。

1つ目は、ソーシャル・メディアの動向や、影響、実態などを調査するという意味で使われています。

FacebookやTwitterの普及率が何%になったなどを調べる調査ということです。

2つ目は、ソーシャル・メディアを調査対象者のサンプル・ソースとして使ったり、SM内で調査を行うというものです。

例えば、Facebookの実名ユーザーを相手に調査を行う場合です。

3つ目は、ソーシャルメディア・マーケティング活動の意思決定を行うための情報を提供するためのリサーチです。MRがマーケティング活動の意思決定をサポートするのと同じ役割です。

ソーシャルメディアの効果測定やROIから、どのメディアを使うとか、最適な組み合わせはどうかを判断するなどの情報を提供します。

4つ目は、ソーシャル・メディア・マイニング(あるいはトラッキング)と同義語として使われています。

カナダのトロントにあるConversition Strategiesという会社は、

「ソーシャル・メディア・リサーチ」を全面にうたっている数少ない企業ですが、

このブログの今年の1月17日号「ソーシャル・メディア・リサーチ元年」でもご紹介しましたように、

Social media research is the application of scientific marketing research principles to the collection and analysis of social media data such that valid and reliable results are produced.

とSMRを定義づけています。

ソシャルメディアのデータに、MRの方法論を適用することによって、SMからビジネス上の意思決定に有効な妥当性と信頼性のある情報を収集しようと試みています。

SMモニタリングは単に、SMのレビューやトラッキングであり、キーワードの出現頻度などの量や、誰が、どこで、いつ発言しているか、センチメントのトラッキング、インフルエンサーの特定などを行うもので、一部は重複するけれども、SMRとは異なるものであるとも述べています。

Conversitionは、SMRを「サーベイのないMR」だと呼んでいます。確かに消費者に調査票を用いてその声を聞かなくても、ソーシャルメディア上で、消費者の声が溢れているわけです。

サンプリングやウエイトといったMRでよく使われる用語をSMRで使用しています。

最適なメディアを選択することをSMのサンプリングと呼び、メディアにバイアスがあれば、(例えば、ブログと、Twitterではその参加者属性が異なる場合や、消費者全体の傾向を知りたい場合)それを補正するウエイトづけを行うなどのMR手法の適用の必要性を主張しています。

ちなみに、Conversition Strategiesは、オンラインパネル会社のResearch Nowや、Peanut Labsなどの親会社であり、デジタル・データ・コレクションのグローバル・リーダーであるe-Rewards社にこの5月に買収されました。買収の理由として、顧客のニーズやウオンツに関する有効なインサイトを収集する上で、SMRはビジネスにおいて今後ますます重要になるからだと述べています。

このSMRの定義は、リスニング(傾聴Listening)と大きくオーバラップします。Social media listeningという人もいます。従来のブログやバズ・マイニングも含まれます。

以前ご紹介しましたように(1月17日の本ブログ)、

「リスニング(傾聴)の方法として、グランズウエルでは、

①プライベートコミュニティを立ち上げる、

②ブランドモニタリングを始める(110頁)

の2つの方法が示されていましたが、その後のUSでの展開を踏まえて、

私のもう1つのブログDigital Consumer Planner's Blogで紹介している

ARFのSteve RappaportのThe ARF Listening Playbookでは、

リスニング分野を次の6つに分類しています。

1.検索エンジンとメディア・モニタリング Search Engines and Media Monitoring

2.テキスト分析のためのソフトウエア・ソリューション Text Analysis Software Solutions

3.フルサービス・リスニング・ベンダー Full-Service Listening Vendors

4.オフラインとオンラインの口コミ Offline and Online Word-of-Mouth

5.バズ会社と口コミ・プログラム Buzz Agencies and Instigated Word of Mouth Programs

6.個別のブランド・コミュニティ Private Branded Communities」

と含まれる範囲も相当広くなります。これは次の5つ目の使われ方とも共通する部分があります。

5つ目は、 「MRのためのソーシャルメディアの利用」の視点から広くSMRをとらえるものです。Social media-related researchとも呼ばれています。すなわち、ソーシャルな特徴をもつツールを利用したMRが広く含まれます。MROCや、SNS、ブログやバズ・マイニングなど幅広く含まれます。

UKのリサーチャーRay Poynterが、彼の著書 Handbook of Online and Social Media Research(2010)でこの考え方を展開しています。

Social Media Research

By contrast to monitoring, social media research is a generic catchall that embraces social media monitoring, netnography (as defined by Robert Kozinets, i.e. requiring participation in communities, talking with people), MROCs, blog research (in the style of Revelation), creating discussions in existing social media (for example in Facebook), and potentially using the idea of bots to interrogate social media users in the way being floated at this year’s MRS conference.”

ESOMARの定義も同様です。ESOMAR Guideline on Social Media Research

ESOMARは、Social Media Researchという用語を使っています。

Social Media Research (SMR) covers all research where social media data is utilised either by itself or in conjunction with information from other sources. Examples of current social media research include:

• Monitoring or crawling social media platforms (from automated monitoring of brand sentiment through to ad-hoc desk research)

• Ethnographic research (from observing online behaviour to collecting primary data in various forms, including ‘friending’ users)

• Co-creational techniques

• Online communities that generate or deliver consumer opinions, reactions, feedback on a regular, formal or systematic basis.

●以上のようにいまだ多様に使用されているSMR用語ですが、

やはりMRの変革において、上の4つ目と5つ目が、「ソーシャルメディア時代における新しい消費者理解の方法」として、大きく期待されています。つまり、リスニングとMROCです。

別の言い方をすれば、Asking(Questioning)からListening、あるいは、MR1.0からMR2.0への変化です。

消費者の代弁者としてのリサーチャーにとって、SMは不可欠なツールです。

将来ソーシャル・メディアという言葉自体が、それを包含するさらに大きな用語に変化するかもしれませんが、SMRにおける有効なインサイト創出の方法は、今後さらに進化してゆくものと思われます。

●最後に1つ気になっているのが、日本では、リスニングが「ソーシャル・リスニング」という言葉に定着化しつつあります。

それならば、同様にSMRもいっそのこと「ソーシャル・リサーチ」に統一されるか、あるいはソーシャルなMRということで、ソーシャル・マーケッティング(マーケット)・リサーチなのか、それともソーシャル・メディア・リサーチでしょうか。あなたのお好みはどうでしょうか?

残念ながら、グローバルでも未だ完全には統一化されていません。「ソーシャル・マーケティング」と同様、既に「社会調査」という用語が別の意味で定着しているからでしょうか。


<参照文献>

・ソーシャルメディアモニタリング

「本質的な消費者ニーズや、ライフスタイルの変化を読み取るチャンスがソーシャルメディアにはある。」

Social Media Meets Market Research: A Compendium of Views

参考文献多数

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2011年6月27日月曜日

MROCと製品開発

《第63回》

◆MROCと製品開発

・MROCによるマーケティング解決課題で最も適しているのが、

「製品開発におけるアイディア・ジェネレーション(新製品アイディアの創出)」です。

・コトラーも次のように言っています。

@kotler_bot 新製品開発は、アイデア創出。つまり新商品アイデアを計画的に探索することから始まる。優れた製品案がほんのいくつか出てくるまでに、企業は膨大な数のアイデアを創出しなければならない。

まさにMROCが最適な方法の1つと言えるでしょう。

●消費者と企業が新たな価値をともに作り出してゆくコ・クリエーション(共創)は、コトラーのマーケティング3.0においても非常に重要なコンセプトです。

参照:

①コトラーのマーケティング3.0
生き残る企業のコ・クリエーション戦略 ビジネスを成長させる「共同創造」とは何か
価値共創時代のブランド戦略

●(株)MROCジャパンのMROCサービスの中に、新製品のアイディア出しのための

「イノベーション・コミュニティ」というメニューがあります。

参加者人数やコミュニティ運営期間は固定していませんが、内容は、

該当製品カテゴリー・ユーザーでかつ、アイディア出しが得意な人である「イノベーター」、

同じく、周りの人に影響を与える人である「インフルエンサー」、

その製品カテゴリーの一般ユーザー「フォロアー」、

の3つのグループでコミュニティを構成します。

●例えば、コミュニティ期間が1カ月の場合ですと、

最初の2週間で、イノベータのグループにいろいろなアイディアを出してもらい、

次の1週間で、インフルエンサーの人に、イノベータが出したアイディアについていろいろ議論(共感できるかどうか、他の人に推奨するかどうかなど)をしてもらってブラシュアップを行い、

さらに最後の1週間で、一般ユーザーの立場から、フォロアーの人に、いろいろな反応を発言してもらい、最終アイディアに絞り込んで行く、という方法です。

イノベータが出した「尖った」アイディアは、アピーリングな場合はありますが、時代の先を行きすぎる場合もありますので、フォロアーの人の意見も聞くことによって、市場受容性も検証、あるいは高めるための改善点を抽出することが可能です。

もちろん最終的には、定量調査での受容性の検証が必要ですが。

●このコミュニティがうまく行けば、一部の質の低いメンバーを入れ替えながら、

「製品開発のアドバイザー・コミュニティ」

として、その後、継続運営してゆくというものです。

●マーケティングの担当者の方が想像もしていなかったアイディアや仮説を引き出せる可能性があります。

MROCは、従来のグルインやアンケートと異なり、消費者の生活の現場から「アイディア」や「意見」を収集することができるからです。

MROCは直接、課題の解を提示するものではありません。

企業の担当者の方と生活者が一緒になって、新たな価値を共創してゆくリサーチ・ツールです。

MROCは、まさにソーシャルメディアの価値共創時代における消費者理解の新たな有効なリサーチ・ツールの1つと言えます。

●そこで、JMRX勉強会では、イノベーション、製品開発の基本的な考え方を学ぶために、

私の前職時での上司であり、現在、グローバル企業をクライアントに、製品開発のコンサルタントをシンガポールでやられているニーズ・ゲインズ博士をお招きして、お話をお伺いする企画を立てました。

たまたま某グローバル企業の日本支社でのお仕事で来日する機会を利用させていただきました。

彼がMarketQuestという製品開発のソリューションのアジア地域の責任者であり、私がその日本での責任者であり、在職中の5年間は、製品開発のノウハウを数多く彼から学ぶことができました。


◆第15回JMRX勉強会開催!

●6月23日(木)に、GMOリサーチ大会議室で、

シンガポールの製品開発・イノベーションのコンサルタント会社Tapestry Worksの代表である

ニール・ゲインズ(Dr. Neil Gains)博士に、

●「製品開発とイノベーション:成功するための3つのポイント」
 (3 behavioural keys to successful research + innovation) について講演していただきました。

●会場ならびに、新しくできました社員食堂を懇親会会場に提供していただいたGMOリサーチ社に感謝申し上げます。

勉強会さらには懇親会にまでお付き合いいただきましたGMOリサーチ(株)代表取締役の細川慎一社長に深く御礼申し上げます。

また勉強会および懇親会の運営にご協力いただいたGMOリサーチの優秀な社員の皆様に感謝致します。準備、後片付けなど遅くまで御苦労さまでした。ありがとうございました。

●当日の通訳は、(株)トークアイ取締役の佐野良太氏にお願い致しました。ご協力ありがとうございました。

●博士の講演の前にGMOリサーチさんから新サービス:GMO Global Social Researchサービスのご紹介がありました。http://www.gmo-research.jp/gsr/

●事務局からのご連絡です。

今回は通常よりも欠席の方が多く、懇親会も事前申し込みいただいた方から10名の方の欠席が出てしまいました。それで、講師の方や通訳者の方への謝礼お支払や、懇親会費の補てんなどで、24,052円の赤字がでてしまいました。次回で補てんできますように願っております。

●懇親会に参加すると帰りが遅くなり、次の日のお仕事に差し支える可能性があります。事務局としましては、1人でも多くの方に懇親会にご参加いただき、ネットワーキングを広めていただきたいと思っています。

●JMRAはリサーチ会社の団体ですが、JMRXは、リサーチャー個人のネットワーキング・グループです。

JMRXは、リサーチに興味・関心のある方々のネットワーキングを目的としていますので。JMRX勉強会をきっかけとして、お互いコネクトし、情報をシェア(共有)、ヘルプしあい、MR業界もリサーチャーも、皆がハッピーになることを目指しています。(C-S-H-H)

●ぜひ懇親会にもご参加ください。個人的には、講演よりも重視しております。また時には、講演よりも役立つ収集や、ネットワークを築くことができると思っています。

JMRXではまた、次世代MRを担う、次世代マーケティング・リサーチャーへの応援も目指しております。若手リサーチャーの方の参加もお待ちしています。

●当日は、博士の47才の誕生日ということで、ケーキでみんなでお祝いをしました。(名前入りの豪華ケーキの写真を撮り忘れてしまいました)

●GMO社員食堂での懇親会の模様。











●当日の資料です:
●JMRX 勉強会、初の英語での講演はいかがでしたでしょうか?

日頃の英語学習の成果を発揮することができましたでしょうか。

文章の聞き取りから、単語の聞き取りのレベルまでいかがでしたでしょうか。

講師への英語での質問に果敢に挑戦していただいた参加者の方、ありがとうございました。


また、機会がありましたら「第3弾海外ゲスト・シリーズ」をやりたいと思っています。

●ところで、「思考と言語」という考え方があります。

私たちは、使い慣れた言語で「思考」しています。つまり、日本人の多くは、日本語で理解して、日本語で考えています。

英語で聞いて、英語で考えると、英語のスピーキングもすごく上達します。

多くは、英語で聞いて、日本語で理解して、日本語で考え、また、日本語で考えたことを英語に直して、英語で話すことになります。

●英語のプレゼンを英語で聞いて、英語の資料で補足して理解し、考える方法(英語は英語で)。英語を聞きながら、英語のプレゼン資料も読解しなければいけないので結構疲れます、

さらに、英語のプレゼンを英語で聞いて、日本語の資料で補足して理解し、考える方法、

また、英語のプレゼンを聞きながら、通訳の日本語と日本語の資料で補足して、理解し、考える方法。これは同時に2ヶ国語をフォローするので、頭は疲れます。

最後に、英語のプレゼンは無視して、通訳の日本語のみに集中して、日本語の資料で理解して、考える方法。

最後の方法が、普通の日本人にとって、最もエネルギーがいらなくて、理解も深まります。

●ということで、今回も、本当は、参加者の方のために、プレゼン資料の日本語版を作成した方がよかったのですが。。。

博士の方に、6月21日(火)までに原稿を送ってくれるように依頼していたのですが、結局、勉強会当日になっても、残念ながら私の手元にプレゼン資料はありませんでした。

という事情で、参加者の皆さんには申し訳ありませんでしたが、英語の資料のままのプレゼンになってしまいました。事務局の方も始まるまで、発表の中身については知りませんでした。

英語の勉強のためには日本語資料なしでもよかったかもしれませんが。。。

●勉強会のあとなんとかお願いして、上記資料をシェアしてもらい掲載しております。それで、今回は、申し訳ありませんが、Slideshare上、download不可にさせていただきましたことをご理解お願い致します。

以下はその講演内容の一部のご紹介です。


●人間の行動(の意思決定)の多くは、無意識(サブ・コンシャス)や、言語以外のところで決定されていることは以前から主張されてきたことです。

それをなんとかして、文字や数字で表そうとしてきたのが、サイエンスでもあったわけです。

特にMR分野では、心理学や社会学から強い影響を受けています。

その一方で、この反省から、無意識の測定方法や、ニューロサイエンスの分野がこの10年ぐらいの間に注目されてきました。

●MRの目標は、人間の行動、特に購買行動を予測することです。

予測するためには、「①情緒や②行動、③コンテキスト」の理解が不可欠であると主張しています。

消費者の記憶や経験のデータ(D)は、その一部にすぎないと述べています。

The ABC and D of Human Behaviour (Consumer Understanding #13)参照

●最後に、これまでのリサーチは、言葉に頼り過ぎているのではないかと問題提起をし、

MRに対して、VOCALの重要性の提案で締めくくりました。

VOCALとは、Visual、Observational、Contextual、Analytical、Layeredの頭文字をとった頭字語アクロニムacronymです。

言葉による質問(Asking)への言葉による回答ではなく、

投影法のようなビジュアル(写真や動画など)な刺激への反応の重要性を指摘しています。

●さらに、観察調査(Observational research)の利用が、人間行動を理解する上での有効性ゆえに、今後さらに拡大すると予想しています。

これまでのグルイン・ルームでの対象者の表情や、ボディランゲージを観察するだけでなく、リアルな生活におけるリアルな行動を観察する必要性を強調しています。

●消費者の行動を理解する上で、消費者がおかれているコンテキスト、文脈を理解することも大切です。人間の意思決定は、状況によって変化する場合があります。

●行動を分析する上で、さまざまなデータ(リサーチのデータや、ソーシャルメディア上の消費者の声や営業データなど)の総合化あるいは統合化(Synsesis)が必要だと言っています。これは単にデータを定量的に処理するだけでなく、MRにおいて創造的な作業が要求されます。

●そして、最後に、人間行動は複雑で多面的なゆえに、より多様なアプローチが必要であると結論づけています。

●発表資料中のNudgeについては、

http://www.amazon.com/Nudge-Improving-Decisions-Health-Happiness/dp/0300122233参照。

The Principles of Design #17 – Nudge

また、プレゼン内で言及された行動経済学の

ダン アリエリー、Dan Arielyの予想どおりに不合理―行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」と、その続編

不合理だからすべてがうまくいく―行動経済学で「人を動かす」も参照。

●以下のTweetも参照:

①RT @mr_edokko 昨日のゴリラはココに居た http://www.theinvisiblegorilla.com/videos.html

②@Experidge 参照)昨夜のニールの話の中のPaul Ekmanの7 core emotionsをBrainjuicerがFaceTraceとしてソリューション化 #JMRX http://ht.ly/5oWKU

●博士のブログ

Doctordisruption

Inspectorinsight

Twitterは、 @neilgains @tapestryworks

●以上のように、従来のサーベイやグルインの文字によるAskingを中心としたMRの改革を主張しています。

文字によるListeningが主体であるMROCへの示唆として、

①写真や動画による反応の測定や、

②ビデオによる観察、エスノの実施、

③現実の生活環境であるコミュニティ上でのリサーチの利点を生かして、生活上のコンテクストをより理解する、

④リサーチャーはMROCに取り組む際には、より創造的なリサーチを心がけ、統合的視点でデータを分析する、

⑤掲示板グルインだけでなく、エスノや詳細面接、アンケートなど複合的なアプローチを心がける、

点などがあげられるかと思います。

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2011年6月20日月曜日

MROCとDIYリサーチ

《第62回》

◆今月のJMRX勉強会は、第1回「海外ゲスト・シリーズ」です。

その第1弾は、

6月14日(火)に、JMRX特別セミナー 「DIYリサーチ SurveyMonkey社 CEO講演」と題して、

USのSurveyMonkey社 CEOの Dave Goldberg氏にご講演していただきました。




企画をしていただいたJMRXメンバーの(株)トークアイ取締役の佐野良太氏に感謝申し上げます。また招聘にご協力いただいたOrinoco株式会社の岩下麻由様に御礼申し上げます。

会場を提供してくださった日本マーケティング・リサーチ協会ならび萩原雅之氏に感謝致します。

詳細は、http://kokucheese.com/event/index/12498/

SurveyMonkeyJapanのFacebookページ

当日の資料は、SlideShare http://www.slideshare.net/Orinocogroup/ss-8300136

1週間後に削除されるそうなので、JMRXのスライドシエア(オリノコさんの許可を得て)
15日には、第2回メンバーズFacebookインテグレーションセミナーでもご講演。

参考:

[jp]SurveyMonkeyが日本にやってきた理由―答え:日本は課金ビジネスが魅力的に見えるから

直子のより道

SurveyMonkeyをつかってみた


●欧米では、SurveyMonkeyに代表されるようなオンライン・ツールを使って、自前で調査を行う調査(調査票の作成から分析・レポーティングまで)を
DIY(Do-It-Yourself)リサーチと呼んでいます。(Self-Serviceリサーチとも呼称)


調査に詳しくても詳しくなくても、登録さえすれば利用可能です。無料版と有料版がありますが従来の調査に比べて格段に安く行うことが特徴です。

対象者のメールアドレスさえあれば調査は可能です。

メールアドレス1つで、企業と消費者が「つながる」ことが可能です。

ここ数年、ある種、ブーム状況です。というか、欧米では、MR産業の1つの流れになってきています。 単に、クイック&ダーティ的なネガティブ・イメージのリサーチ・ツールの域を超えたものになっています。昨年で、世界で約800億円の市場規模という試算もあります。
 
●その背景には2つの大きな変化があります。
 
1つは世の中の変化(不況)、もう1つは消費者の変化(ソーシャル・メディアの普及)です。

2008年9月のリーマン・ショック以降の不況下で、このDIY調査が特に盛んになりました。

SurveyMonkey社が、2年前まで12人であった社員が現在100名を超えているという講演でのDave氏の発言がそのもりあがりを象徴しています。

調査予算の大幅削減、あるいは調査のROI効率アップ、有効化アップのマネジメントからの強い要求下、クライアント・サイドが出した回答が、欧米ではDIYリサーチ・ソリューションでした。

●一方、WEB2.0以降、消費者が自分たちの意見をネット上で展開し、共有することが容易になりました。ブログだけでなく、FacebookやTwitterなどのSNSといったソーシャル・メディアが拡大・浸透し、オンライン上で消費者が本音を語りだしました。

オンライン上で、自らの意見を述べる機会を求めている消費者へのアクセスが容易になった点が消費者側の変化です。

このような変化への企業側の対応が、欧米ではオンライン・プラットフォームを使ったオンラインDIYソリューションであったわけです。

●これまでの説明で、今回のタイトルがどうして、「MROCとDIYリサーチ」であるかということがおわかりいただけたかと思います。

両者が、次世代MRにおけるオンライン・プラットフォーム・ソリューションであるという共通点を持っているからです。

さらに、MROC(Marketing Research Online Community)が、さまざまなDIYツールをコミュニティ内に装備することによって、

DIYリサーチのソースとしてのMROCの拡大が今後、期待・予想されています。

オンライン・プラットフォームでは、消費者のメール・アドレスさえあれば、リサーチ対象者(あるいはコミュニティ参加者)にアクセスすることができます。そうなれば、MROC内で、簡単にDIYツールを使って、定量・定性のさまざまな調査を行うことが可能になります!!!

この意味で、今後日本においても、SurveuyMonkeyのようなDIYツールが拡大・普及することが大きく期待されています。



●一方、DIY調査については、リサーチャーの間で多くの議論がされています。現在、リサーチ業界のホット・トピックの1つです。(残念ながら日本のリサーチ業界ではありませんが。。。)

昨年のESOMAR2010Congress会議での発表ペーパーで、大企業から中小企業のクライアントと、調査会社のリサーチャーなど約180人に、DIYリサーチについて実態と意見を尋ねた結果をレポートした

DIY - new life or the death of research?によると、

欧米では、大企業のリサーチャーがもっとも多く使っているそうです。やはり予算削減の圧力からDIY調査の促進が進められたようです。企業の担当者は、経営層から、1ペニーですら調査に使うことの正当性を示すことが要求されていると言われています。(同時に、アクショナブルなインサイトが経営層から要求されるゆえに、企業のリサーチャーは、データ収集の方法・品質にあまり関心をよせる余裕がなくってきているという指摘もあります)。

従業員や既存顧客のの満足度調査にまっさきに活用されたようです。毎年聞く質問が決まっていて、対象者のメール・アドレスが手元にあるものは、DIY調査の最初の候補です。

DIY利用理由の第1は、やはりコストが無料あるいは安いことです。使い方が簡単が続き、調査経験者にとって、より早く行える点も利用理由の上位にあがっています。

●マイナス面: 

間違った意思決定に導くリスク・危険性があり、多くの人の時間をムダにさせ、「悪い調査を行うのであれば、調査をしない方がよい」と指摘。誤った調査結果に基づく意思決定による失敗の代償は大きいと主張。DIYは調査の価値を低下させ誤解を生み、品質の低下は結局、誤ったビジネス意思決定をもたらすと警告ーアマチュアがリサーチ産業を破壊する。

①素人(アマチュア)の作った長くて、まずい「調査票」が増え、結局、対象者の協力率が低下する弊害(でもプロのリサーチャーが作成した調査票でもこのようなものが」あるので、この批判は当てはまらないとする人もいます)、

②調査の重要点がクリアできるかどうかが疑問:

1)正しい「調査目的」を設定し、2)正しい「対象者」に聞く(誰に)、3)正しい「調査票」の作成(何を聞くか)、4)インサイトをだすための正しい「分析」ができるかどうか、

③特に正しい「対象者」(サンプル)に聞けない場合がDIYでは多い、

④調査票に関連して、正しい回答選択肢(尺度)が設定されない場合が多い、

⑤調査デザインが、調査課題・目的と合致していない場合、つまり目的達成の最適なデザインになっていない場合がある、など。

●プラス面:

肯定派は大歓迎です。リサーチが一般に開放されたといい、有効活用できるようにいろいろと工夫をしようと積極的。Survey Monkeyは、リサーチを人々の身近なものにしたと絶賛。

①早くて、安くて、うまくできる利点ービジネス・ニーズに合致

②DIYによる調査が増えれば、リサーチの機会が増え、リサーチが浸透してよい

③DIY調査をやることによって、リサーチの難しさを実感して、プロのリサーチャーに依頼するケースが増える可能性

④安価なゆえに、大企業だけでなく、中小企業も意思決定に必要な情報収集のためにリサーチを行うことが可能になる、つまり、なにも調査を行わないで意思決定をするよりも、安価でできるDIY調査を実施した方がよい。この傾向はさらに広がると思われます、など。

●以上のように、DIY調査の普及は、リサーチ業界やリサーチャーにさまざまインパクトを与えています。

DIYリサーチの蔓延に対して、感情的・ヒステリックに否定する人、これまでのリサーチャーのキャリアを否定しかねないゆえに「パニック」になる人、調査の有効性を損なう可能性があるゆえに乱用・悪用を危惧する人。

一方、プロとしてのリサーチャーやリサーチそのものの「価値」の再認識や、グレードアップの好機と前向きにとらえる人々もいます。

●上にあげたDIYの欠点・弱点は、注意すれば防ぐことができることばかりです。

Sruvey Monkey側も、正しい質問文を事前に用意したり、英語版には、調査課題別のそれぞれ定番の質問をセット(テンプレート)で用意するなど、適切に利用されるような工夫をいろいろと凝らしているようです。

また、CEOも強調しているように、既存調査会社が行っているような複雑な調査には向かず、両者の棲み分けをしているとのこと。すべての調査に使えるというわけではありません。

●リサーチの正しい利用・普及のためにアドバイスをするのもリサーチャーの重要な役割です。

DIY調査の正しい普及に、リサーチャーも一役買う必要があると思います。

1社に1DIYリサーチ・ツール、あるいは各部に1DIYツールといった状況になった場合、リサーチャーもDIYツールに精通する必要が出てきます。

クライアントに対して正しい使い方のアドバスを行ったりする必要がでてきます。

クライアント側も、若手のリサーチ教育や、簡単な調査に、DIYツールを積極的に活用する機会が増えると思います。

●DIY調査への拡大に対して対応できない競争力のない調査会社やリサーチャーは、退場するか、グレードアップを余儀なくされます。

逆に言えば、調査会社やリサーチャーにとって、DIY調査の普及は、それぞれがアップグレードするよい機会でもあると言えます。

●日本では、不況下の調査予算削減に対して、単に調査プロジェクトの本数を減らす方向での対応策が中心で、欧米のように、調査ROIの徹底的な見直しや、オンラインDIYソリューションの採用(MROCやDIYツールの利用)といった方向には、現状なっていないように感じています。

単に本数を減らすだけでなく、いろいろな方法で対応が可能です。

景気が回復すれば、従来のようにプロジェクト件数が増加するだろうといった楽観的な考えが主流であるとしたら、景気状況とソーシャルメディアの時代に、その有効性と効率の面で変革を求められているMRにとって残念な状況です。欧米ではこのチャンスを積極的に受け止め、変革の試みが、次世代MRやNewMRの名のもとに盛んに議論や実践が行われています。

参考:

Why DIY Research is Good for Everyone

5 Dangers of DIY Research

DIY – Friend or Foe?

3M Disruptively Innovative DIY Research

昨年の12月17日付けのこのブログでも紹介しました、USの3M社が、Survey MonkeyなどのDIYツールを活用して、社内に効率的なMR部を創設し、75%も調査費用を節約した例を報告しています。

DIY: Opposition or Opportunity?

多数の参考文献を含む

DIY Research in a Social Media World

Do-It-Yourself Survey Research Roundup
⑧.SurveyMonkey CEO on the joy of DIY


SurveyMonkey’s CEO, Dave Goldbergとのインタビュー
 
1 Topic, 5 Blogs “Doing the Monkey”
 
DIYをめぐる有名リサーチ・ブロガー5人の議論



⑩その他のDIYツールサービス企業(定性を除く):

- SurveyPirate

- Snap Surveys

- Zoomerang

- SurveyGizmo

- Micrpoll

- QuestionPro

- Survey Analytics


◆第2弾(第14回JMRX勉強会)は、今週23日(木)に、GMOリサーチ大会議室で開かれます。

シンガポールの製品開発・イノベーションのコンサルタント会社Tapestry Worksの代表

ニール・ゲインズ(Neil GAines)博士に、

●「製品開発とイノベーション:成功するための3つのポイント」
 (3 behavioural keys to successful research + innovation) について講演していただきます。

お申し込みは、http://kokucheese.com/event/index/12497/

●博士のブログ

Doctordisruption

Inspectorinsight

Twitterは、 @neilgains  @tapestryworks


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2011年5月30日月曜日

MROC導入コンサルティングのご案内

《第61回》

◆(株)MROCジャパンは、日本初かつ唯一のMROC専門のオンライン・マーケティング・インサイト・カンパニーです。

●昨年、MROCジャパンは、MROCの概念や海外の実例をブログやセミナーで初めてご紹介致しました。

また、海外のMROCサービスを行っている企業(イギリス:ブレイン・ジューサー社)において、MROC研修を受け、その内容のご紹介も行いました。
ブレインジューサー社 イノベーション・コミュニティの ご紹介


2月には、中国マカオで開かれたQRWEB2.0というオンライン定性調査の国際会議で、日本のMROC事例を初めて、海外に紹介致しました。
Tactical Co-Creation Community Research Method: The Case of MROCs in Japan

そして、4月の(株)クロス・マーケティングのMROCサービスの導入を全面的にサポートさせていただきました。MROC
MROC Japan and Cross Marketing roll out community offer



一部の企業で、従来からある「掲示板グルイン」をMROCと呼称して、サービスを提供している企業もありますが、MROCは、参加者(コミュニティ・メンバー)の特性や、活動内容の違い(Askingと自然な会話のListening)、活用ツールの違いにより、オンライン・グルインと異なるコミュニティ・リサーチのツールであることにご留意ください。

●最近、数社の企業の方から、MROC導入のサービス提供のお問い合わせをいただきました。お問い合わせ、誠にありがとうございます。

幸い、萩原さんの「次世代マーティング・リサーチ」やブログ、ツイッターなどをお読みになり、MROCをお知りになる方が増えております。

●一方、残念ながら、本の中で同時に、D社が「日本で最初にMROCを冠したサービスを提供」とご紹介されたので、市場では少々誤解が生じております。D社のサービス

D社さんのサービスは、欧米では、いわゆる「掲示板グルイン」(BBFG:Bulletin Board Focus Groups)と呼ばれているものです。1990年代後半にUSで作られたグルインをオンライン化した定性調査の1手法です。

実際、D社さんの説明を聞かれたクライアントさんが、説明内容が過去に行った掲示板グルインと同じであったので、MROCに、がっかりしたという残念な話も聞いております。

D社さん、正しいMROCの普及をお願い致します。(⌒-⌒)

MROCは、WEB2.0=CGMに起源を持ちます。関与度の高い人が、コミュニティを形成し、自発的な発言=自然な会話をリスニングすることによって、インサイトを創出することがメインのリサーチ・ツールです。

MROCは、現在進行しているオープンなソーシャルメディアの「ソーシャル・リスニング」活動をクローズドなプライベイト・コミュニティ空間の中で、生活者の声のリスニングを展開する新しいリサーチ・ツールです。

既存資産を活かしたコントロール性重視の手法」ではありません。調査をする側が事前に決めたことを一方的に尋ね(アスキング)、調査をコントロールするのでは、MROCは、コミュニティを形成し、メンバーの自発的な会話をリスニングし、想定外のインサイトを発見するもので、従来の調査の発想とは全く逆の考えに基づいています。

単に購入経験や性・年代などの対象者条件によって抽出された「対象者」が、モデレータの質問に回答してゆくアスキング主体のグループ・インタビューではありません。

また、コミュニティでの自然な会話を活性化するために、単に掲示板への書き込みだけでなく、チャットや、アンケート、写真や動画のアップなどのWEB2.0によるコミュニティ・メンバー間のコミュニケーションを促進するための機能がたくさん付加されている点も特徴です。

これによって、従来の同時性のグルインだけでなく、非同時性のグルインや、デプス(詳細面接)、エスノ(行動観察)、ダイアリー、さらには定量調査も含めたハイブリッド調査が可能です。

このことが、MROCが、「次世代MRのプラットフォーム」と呼ばれるゆえんです。

さらに、MROCは製品開発だけに特化したものではなく、ブランドやコミュニケーション、顧客ロイヤルティ、ショッパーインサイトなどマーケティング全般の課題解決に対応しています。


●残念ながら、ご興味を持たれても、MROCをいざ実際に行うとなると、

MROCとはそもそも何なのかとか、

具体的にどのように実施すればよいのか、

MROCのプラットフォームをどうすればよいのか、

参加者(コミュニティ・メンバー)の条件はどうか、

またどのように集めればよいのか、

オンライン・リサーチ・コミュニティの運営は誰が、どのようにすればよいのか、

リサーチ・コミュニティ・マネジャーの仕事のやり方はどのように行うのか、

参加者の謝礼はいくらぐらいがかかるのか、

参加者の数はどのくらいが適切か、

期間はどのくらいが適切か、

参加者の発言をどのように分析すればよいのか、

レポート・イメージはどうか、

などなど、

MROC実施にいたるまでの問題が山積です。

●このようなニーズにお答えして、MROCジャパンでは、

「MROC導入コンサルティング・サービス」

を広く事業会社や、代理店、シンクタンク、調査会社などへ行っております。

より具体的には、コミュニティ・リサーチの企画方法から、コミュニティ・ガイドの作成、最適なプラットフォームの選定とその使用方法のトレーニング、リサーチ・コミュニティ・マネジャーのトレーニングなどのサービスをご提供致します。

MROC導入にご興味がある企業や担当者の皆様、下記にお気軽にお問い合わせください。Shigeru.Kishikawa@mroc.jp

MROCジャパンでは、「次世代MRのプラットフォームとして有望なMROC(コミュニティ・リサーチ)」の日本市場への正しい導入と、有効な事例の遂行、健全なMROC市場の形成をミッションとして活動しております。


◆6月2日(木)、3日(金)ニューヨークで、MROCとソーシャルリスニングの国際会議が開かれます。

MROCの有効性や限界、問題点、将来などについて、Gongos Researchや、Vision Critical、Insites Consulting、Itracksなど欧米を代表するMROC企業が一堂に集まり、プレゼンとパネルディスカッションが行われます。

MROCジャパンも日本を代表して参加致します。
CASRO


第13回JMRX勉強会2011年5月度開催のご報告です。

●5月23日(月)、株式会社アイエムジェイの高見俊介氏による

「ロイヤルティリーダーに学ぶソーシャルメディア戦略」を開催致しました。

当日雨天にもかかわらず、総数44名の方のご参加をいただきました。

講師の高見さん、ならびに参加者の皆様、ご協力ありがとうございました。

●余談ですが、高見さんとは、同志社大学法学部の先輩・後輩関係でもあります。過日、ゼミの話で盛り上がりました。。。


●プレゼン資料は、
●ブログ記事: 「いまんとこの最適解」

JMRX【ロイヤルティリーダーに学ぶソーシャルメディア戦略】に行ってきた

「耐久消費財、サービスの既存顧客維持モデルに適した展開でした。ただ、提示いただいたフレームは新規かつ、工夫次第ではFMCGへも展開可能なもののように思います(その場合NPSでは表現がキツイ。)この点は、リサーチャーが研究の余地があると思います。」

●ビジネス課題やマーケティング課題として、「顧客ロイヤルティの向上」は重要です。

顧客ロイヤルティの「マネジメント」のためには、顧客のロイヤルティの「測定(メジャメント)」が不可欠です。

それゆえに、「顧客ロイヤルティ」は、マーケティング・リサーチの中でも、重要な課題の1つでもあります。

従来の顧客ロイヤルティの調査では、

顧客ロイヤルティを測定する指標として、推奨やリーピート購買などの複合指標や、顧客満足度などの全体指標(従属変数)と、それに影響を与える項目(独立変数:顧客経験、タッチポイント、コンタクト・ポイント)の評価を5点尺度で尋ねたりします。

重回帰分析などで全体指標に影響を与える項目を特定し、それらの評価の高低により、改善点の提案を行ったりします。

ソーシャル・メディア時代における顧客ロイヤルティの調査は、

上のプレゼン資料には含まれていませんが、ご著書の中(89頁)で、

顧客ロイヤルティの測定⇒「顧客の声の収集」⇒「顧客インサイトの発見」⇒ロイヤルティ向上のための改善アクションという「フィードバックループの構築」で図示されているように、

測定からアクションの間に、従来のアスキングによる消費者調査以外に、

顧客ロイヤルティを把握するためのソーシャルメディアの活用策(その1)が指摘されています。

すなわち、ソーシャルメディア上の口コミを傾聴するソーシャルリスニングと、

MROCの活用です。

●さらに、ソーシャルメディアを現状把握だけでなく、

「顧客をロイヤルカスタマーに変える」より実践的な改善アクションの提言といったソーシャルメディア活用策(その2)をご提案されています。

●このように、ソーシャルメディアの登場により、アスキング中心の従来の調査が、よりリアルな顧客の生の声を収集することができるリスニングの併用を行うというリサーチの変革が現在、進行しつつあります。

●ご著書では、顧客ロイヤルティの指標として、NPS(Net promoter Score)が採用されています。

上記プレゼン資料12頁からNPSの図がありますが、詳細は、ご著書40頁以下参照。

NPSの採用が、「顧客グリッド」(スライド13頁、ご著書130頁)の分類を可能にしています。

前前回のこのブログで、NPSの問題点についてはご紹介しましたが、

リサーチャーが、厳密性を求めるがゆえに、ビジネスの現実では、理解が難しく使えない指標よりも、

ビジネス・アクションをインスパイヤーinspired(刺激する、促進する、鼓舞する)簡単シンプルなNPS指標の有効性については、指標開発において、リサーチャーも大いに見習いたいところです。

●以下、プレゼンの詳細は、添付スライドに譲るとして、(より詳細は、ご著書を読まれることを強くおすすめ致します)

いくつか共感したポイントを

①リスニングにおいては、アクションに注力してデータを読む: 多くのデータから、重要度の優先順位をつけて、リスニングをアクショナブル・インサイトに導くこと。

②「究極の口コミを創出する」(ご著書71頁)ロイヤルカスターによる、コミュニティの構築。

③リスニングとアスキングの違い(スライド20頁、ご著書107頁)

④スライド48頁と49頁(ご著書190頁)の「ソーシャルメディアの活用範囲」と「顧客インサイトが関連するビジネス領域」は、MROCやソーシャル・リスニングがカバーするべきリサーチ領域を示唆するもので、非常に参考になります。

などなど、ご著書の中にはまだまだ参考になる図表がたくさん含まれています。

●ソーシャルメディア担当者や、次世代マーケティング・リサーチにご関心のある方(特にMROCやソーシャル・リスニング)、ソーシャル・メディア・マーケティングにご興味のある方には必読の好著です。

リサーチャー、特に、顧客ロイヤルティあるいは顧客満足度調査に関わっているリサーチャーの方にはぜひ、繰り返し読んでいただきたい文献です。

取り上げているテーマが多岐にわたりますので、やはり最低2回ぐらいは読まなくては、正確な理解が難しいのではないかと思います。

さらに、高見さんを代弁して言うと、「企業経営者の方々」にもぜひ読んでいただいて、ロイヤルティを企業経営の中心に位置付け、その文化を企業内に根付かせる実践(顧客中心文化の育成)に役立てていただきたいと思います。


来週6月6日号は、著者が海外出張のためお休みです。ご了承下さい。

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2011年5月23日月曜日

MROCに対する理解不足と誤解 その2

《第60回》


◆第13回JMRX勉強会2011年5月度は本日開催

●株式会社アイエムジェイの高見俊介氏による

「ロイヤルティリーダーに学ぶソーシャルメディア戦略」

●まだ申し込み可能です:http://kokucheese.com/event/index/11456/







◆MROCに対する理解不足と誤解 その2
 
●4月18日号で、日本版MROCの離陸: MROCに対する理解不足と誤解をとりあげました。その第2回目です。
 
●先週Twitterで次のようなツイートがありました。 

@totemoiiko MROCって、当たり前だけどメソドロジーじゃなくて、単なる(かどうかは別にしても)コミュニティなんですよやっぱ。定量パネルみたいな。その辺りを置き去りにして、サービスファンクションに定量、定性、MROCって並んでいるのは超気持ち悪い。
 
●すこし誤解があるような感じです。
 
●確かに、定量、定性とMROCは並列ではありません。MROCの中で、定性調査が行われたり、定量調査が行われますから、同レベルの概念ではないでしょう。
 
ひっかかるのは、「定量パネル」の箇所です。MROCはその起源は、定性調査にありますので、定量パネルというのは適切でないかもしれません。MROCで、定性調査ができないという誤解を与えるかもしれません。
 
MROCの大規模なものを「コミュニティ・パネル」と呼びますが、そこでは定量調査が行われます。(定性調査も)。カナダのVisionCriticalが提供しているサービスです。
 
定量パネルというと、オンライン・パネル、つまり、ネット調査の対象者のパネルと混同される可能性があります。
 
MROCの参加者は、オンライン・パネルからもリクルートされますが、MROCとオンライン・パネルで行われる調査の種類は全く異なるものです。
 
●MROCは、りっぱな「メソドロジー」(方法)です。リサーチ・ツールです。逆に短なる「コミュニティ」ではありません。ロイヤルティやエンゲージメント育成や販促などを目的とした単なる「マーケティング・コミュニティ」ではありません。調査課題の解決を目的として、リサーチにフォーカスしたコミュニティです。
 
欧米では、昨年あたりから、マーケティングの意思決定を行う調査プロセスの一部として、広く認められたリサーチ・ツールです。
 
●先週、クライアント様から次のようなご質問もいただきましたので、共有させて下さい。
 
Q:MROCを実施するに当たり、クライアントが既存でもっている自社の会員でやってみたいといってきた場合、モニターは必要なくなるが、実施は可能でしょうか?
 
A:可能です。

但し、MROCでの課題解決にふさわしい「参加者」であるかどうかの吟味が必要かと存じます。テーマに関して、あまり関心がなく、発言力のない人の場合、よい回答が得られなかったり、途中で脱落される可能性があります。

自社商品購入者や、キャンペーン応募者などから作成されたクライアント様の「顧客リスト」にはさまざまな消費者が含まれています。単に受身的に商品を消費する人から、高い問題意識をもって、積極的に企業に提案をしたいという人まで、さまざまです。

コミュニティ上で、相互作用が起こり、参加者間の自然な会話が盛り上がるためには、他の参加者とのつながりを深め、積極的に自分の意見をいうような発言力があり、テーマへの関心度や知識が高い生活者からなるコミュニテイが望ましいと言えます。

このあたり、テーマにより、ケースバイケースで対応になるかと。

ブランドによっては、強いロイヤルユーザーをお持ちのブランドであれば、そのロイヤルユーザーの中で、ソーシャルメディアの利用度などによって、クライアント様の顧客データベースから参加者を抽出するといったプロジェクトが以前ありました。

Q:MROCの結果を分析し、商品や広告アイデアを出すことがクライアントから求められた場合、MROCで有益な情報がないととても困ると思いますが、その場合はどのようにしますか?あと、MROCの結果を見ての、アイデアは既存の広告代理店のクリエイターなどがやるアイデアと明らかに違いが出るものでしょうか?

A:ご指摘は、グッドポイントであり、よく聞かれますご質問でもあります。

もともとMROCはコミュニティであり、長期の日常での調査です。日常に密着しているがゆえに、想定外のアイディアがでる「可能性」は、「アイディア出し」を目的とするグルインよりも高くなります。しかし100%の保証はありません。参加者の質やコミュニティの運営にも影響されます。アイディア出しに特化する場合は、参加者は、イノベータ、インフルエンサー、フォロアーといった条件で絞った方がよい場合もあります。

さらに、長期MROCが定着していない日本の市場向けに、(株)MROCジャパンが独自にご用意致しました「短期的MROC」では、この問題はより深刻になります。「2週間前後で、グレート・アイディアがでれば、みんな苦労はしない」とも言えますが。。。

このあたりは次のようにご理解いただき、クライアント様と理解を共有していただければと存じます。あまりクライアント様の「期待」を上げますと、逆に「不満足度」が高くなりますので。

本来MROCは長期的なものですので、製品開発や広告開発の「アイディア出し」といった全くゼロからのアイディア・ジェネレーションが目的の場合は、できれば長期MROCをおすすめ下さい。

そうでない場合、すなわち短期MROCをお使いの場合は、

① グルインなどど同様、アイディア候補のブラッシュアップや有力候補の選定、既存商品との比較評価といった具体的な目的(短期で解がでる目的)に絞るーMROCはすべての課題(目的)に対応するものではありませんので、ご提案される場合は、このあたりご留意お願い申し上げます。この場合でも、グルインよりも長期でかつ日常生活に密着していますので、より深い評価をえることができます、

② あくまでも、完成アイディアではなく、そのヒントをえるというスタンスで捉えていただければと思います。つまり、MROCは本来、消費者と企業との共創(コ・クリエーション)作業ですので、MROCを運営しながら、そこからクライアント様や御社のプランナーの方々が、ヒントをえて、アイディアを作り上げて行く、つまり消費者言語を収集しながら、クリエイターの方がヒントを獲得する場としてのMROC(消費者の生の声の貯蔵庫)として位置づけていただければと存じます。つまり、MROCは、自社の「マーケティング用ソーシャルメディア」になります。そのようにお考えいただくと、プロのクリエイターの方にとっては、MROCは敵ではなく、頼もしい味方になるかと思います。両者のアイディアの優劣の比較も必要がなくなります。

●このように、問題意識や関心が高い消費者が、コミュニティ参加中の集中度の高い中で、日々の生活の中で思いついたことや、自分たちの生活をよりよくするために、企業に対して、こんな商品を作ってほしいとか、このように改善してほしい、このような売り方をしてもらうとより買いやすいといったようなアイディアの提案・収集の場としてMROCは存在価値があります。単に口コミサイトに投稿しても、それが企業の担当者まで届く保証はありません。多くの場合は投稿のみで終わるでしょう。MROCでは、企業の担当者がそのアイディアに対して、消費者にさらに詳しく聞くこともできます。さらにそのアイディアについて、参加者の他のメンバーの意見も聞くことができます。

企業の担当者の方は、自分で、あるいは企業内だけで考えないで、生きた生活者の声を継続的にリスニングするシステムとしてのMROCの社内構築をおすすめ致します。他のリサーチ・ツールと比較しても、そのROIは高いものです。

●MROCのように、新しい概念であり、定番の参考とする本などもない場合、最初に導入された時に、間違って紹介されるとそれが1人歩きする怖さがあります。

仮に、もしある人や会社が、最近、欧米で話題になっているMROCが、既存の「掲示板グルイン」(BBFG: Bulletin Board Focus Groups)のようなものだと紹介されたとします。MROCに興味をもたれたあるクライアントさんが、調査会社から「MROC=掲示板グルイン」 というプレゼンを受けた場合、過去に掲示板グルインをやってあまり良い印象をもっていなかったそのクライアントさんは、MROCを2度と使わない可能性もあります。

新しい概念の場合、正しい理解の普及促進が強く望まれます。その上で、日本市場に合うように日本版MROCに改良することが良いかと思います。

◆NewMRバーチャル・イベントは、今週25日(水)開催:エスノにご興味のある方は必見
 
●今週25日のThe NewMRVirtual Festivalは、エスノグラフィがテーマ。
 
総論、ゲーミング、テキストアナリティクス、ニューロサイエンスに次ぐ、第5弾です。
 
プログラム  合計12プレゼンが行われます。
 
●USセッションでは、CommunispaceのJulie Wittes Schlackが In Time, In Context, In-Spired: Mindfulness in Mobile Ethnographyと題して講演予定。

●LinkedInでのエスノ議論:When is it ethnography and when is it not ethnography?
 
 
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#150 レイ・ポインターのMR白熱教室2015 第4回(最終回)報告

<第149回> レイ・ポインターのMR白熱教室2015 第4回(最終回)報告 2015年6月23日 ● 第4回目のテーマは、 『データからストーリーテリング』 でした。 ● 7月にレイとの懇親会を予定しております。世界のMRのソート・リーダー(thought ...