<第130回> 第1回のプレビュー 2014年7月
● 今回の勉強会の企画にご参加いただき有難うございます。
今回の企画は、年内に出版予定のJMRX編のMRテキストの内容充実が第1の目的で行われます。この勉強会で学んだ内容がテキストに反映される予定です。
そのため、ESOMARテキストの一部を以下のように日本語にして残しておきたいと思います、
● テキストESOMAR「Answers to Contemporary Market Research Questions」の目次です。
01 | Introductions | 11 |
02 | The context for market rsearch | 15 |
03 | Quantitative research | 23 |
04 | Qualitative research | 31 |
05 | Writing questionnaires | 39 |
06 | Pricing research | 47 |
07 | B2B (Business to Business) | 55 |
08 | Communities | 61 |
09 | Social media research | 69 |
10 | Analysing qualitative data | 75 |
11 | How to analyse quantitative data | 81 |
12 | Quantitative analysis techniques | 89 |
13 | Communicating results | 99 |
14 | Current areas of sensitivity | 107 |
15 | Research ehics, guidelines and laws | 113 |
16 | Major applications of research | 119 |
17 | Emerging research methods | 125 |
18 | Questions from new researchers | 133 |
20 International research 147
21 Political polling 155
Glossary 161
● 第1回<7月3日(木)>の内容は、
(1) イントロ(テキストの章01)
(2) MRのコンテキスト(02)
(3) 報告書作成(13)
です。
以下は、さっと読んで、内容のポイントをざくと意訳したものです。個人的好みで重要でないと思った点は省略しています。ご了承下さい。
ご参考になれば幸いです。誤解、誤植があればご指摘いただければ幸いです。
● (1) イントロ(テキストの章01)
・本書は、ESOMARとボランティアのグループが作成したものです。
・新人リサーチャーやそのテーマに取り組むのが初めてのリサーチャーが、知っておくべきコンセプトやアイディア、知識などをQandA形式で執筆したものです。
・調査を実施するためのアニュアル本ではありません。
・本書は、調査のミスを避けるのに役立つでしょう。
構成
・各章は10-11の質問とその回答からなっています。
・付録は、用語集です。
プロジェクト・チーム
・ESOMARのフィン・ラビン氏をはじめとする23人からなっています。
協働作業
・どの章が誰が執筆したというよりは、各章は執筆者全員の協働作業からできています。
将来
・できるかぎり多くのリサーチャーに読まれることを期待します。
・このプロジェクトは今後も継続される予定です。
● 以下の章からは、Q&A方式になっています。
各質問をリストアップします。
まず、ご自身の答えをお考え下さい。
それから本文を読んでご自身の回答と比較して下さい。
さらに、本文への異論や反論、追加したいことなどを考えて下さい。
このテーマで、他に聞きたい質問や課題はあるでしょうか?
本書は、他の本と同様、完全無欠なMR本ではありません。意見が分かれる論点もあります。批判的視点で読むとおもしろいかと思います。
それらについて、教室で議論できればと思います。
今回の機会が、MRの協働、コクリエーションの場になればと思います。
***********************************
(2) MRのコンテキスト(02):MRの根底にあるキー・トピックについて。特にエンド・クライアントの視点から
Q1 MRとは何か?
Q2 MRプロセスにおけるキー・プレイヤーは誰か?
Q3 クライアントとサプライヤー間の緊張関係のポイントは何か?
Q4 MRプロジェクトの範囲は?
Q5 インサイトとは?
Q6 プレゼンでクライアントが期待していることは何か?
Q7 MRと、インサイトの他のソースとの関係は?
Q8 MRにはなぜ、リサーチ綱領や行動指針があるか?
Q9 MRの業界団体の存在意義は?
Q10MRにおけるin-the-boxとout-of-the-boxの違いは?
(3) 報告書作成(13): 結果やレコメンを効果的に伝えることは、すべてのリサーチャーにとって非常に重要なスキル
Q1 リサーチの結果が、なぜアクションにつながらないのか?
Q2 報告の相手を理解することが、まず最初かどうか?
Q3 どのように相手を知り、理解するか?
Q4 クライアントの信頼を勝ち取るには?
Q5 データで共感を得るには?
Q6 コミュニケーションの方法は?
Q7 報告書の構成は?
Q8 プレゼンの注意点は?
Q9 図表やインフォグラフィックスの有効な使い方は?
Q10効果的なプレゼンの方法は?
****************************************
具体的な本書の内容
(2) MRのコンテキスト(02):MRの根底にあるキー・トピックについて。特にエンド・クライアントの視点から
Q1 MRとは何か?
・MRは、顧客についての情報やそれに基づくアドバイスを提供することによって、企業がよりよい意思決定を行うことを手助けする作業です。
・消費者の行動や、意識、評価などの情報が含まれます。
・定量調査(調査票を使用)と定性調査(グルインや詳細面接など)があります。
・その他の調査として、①デスクリサーチや、②ミステリー・ショッピング、③購買データやロイヤルティカードデータの分析や、ウエブアナィティクス、④世論調査、⑤ソーシャル・リサーチなど
Q2 MRプロセスにおけるキー・プレイヤーは誰か?
・顧客
・ブランドマネジャー
・インサイト・マネジャー/クライアント側のリサーチャー
・調査会社
・フィールド会社/オンラインアクセスパネル会社
・インタビュアー
・リクルーター
・データ集計会社
・レポート作成会社
・グルイン会場提供会社
・プラットフォーム提供会社
・ソフトウエア提供会社
・コーデイング、原稿作成、翻訳会社など
Q3 クライアントとサプライヤー間の緊張関係の4つのポイントは何か?
・AGL社(オーストラリア)のStephen Paton氏によると、
①リサーチの信頼性の問題
②スピートとタイミング
③予算
以上の3つはトレードフの関係にあります。
④コンテキスト:
-リサーチプロジェクトがどれだけクライアントのビジネス・ニーズに、フィットしているかどうか?
-調査会社側がどれだけクライアントのビジネスを理解し、結果が妥当で適切かつインシトフルであるかどうか?
これらのポイントについて、クライアントと調査会社は、常日頃からよく話しあっておいた方がよいでしょう。
Q4 MRプロジェクトの範囲は?
・ビジネス目的を設定
・ビジネス目的に沿って、リサーチ目的を設定
・リサーチ目的からリサーチ方法を決める
・リサーチ方法から、具体的調査作業を決める
・調査を実施
・データ収集後、分析を通して、リサーチ目的を解決する知見を発見し、ビジネス目的を達成する
Q5 インサイトとは?
・インサイトとは情報information以上の何か。
・一般化でき、それに基づいて次のアクションをとることが可能
・喩え:情報ーお腹をすかした人に魚を与えるようなもの
インサイトー魚と取り方を教えるようなもの
Q6 プレゼンでクライアントが期待していることは何か?
・多くのクライアントは、リサーチの結果の報告(プレゼンテーション)に不満をもっており、リサーチの中でも遅れている分野
・クライアントから出されたプレゼンの改善点
①分析とプレゼンを分離するーリサーチャーはすべてのデータを提示したがる
②図表ではなく、ストーリーを語るーどの情報がリサーチ課題を解決するのかを考え、ストーリーを作成する。残りは「付録」で十分
③ジャーナリストのように考えるースペースと時間が限られた中での彼らの情報の扱い方を学ぶ
④説得力ある行動をするークライアントの関心を常にひきつけるように、彼らをプレゼンに参加させる(小作業や質問を投げかける、ゲーミフィケーションの利用など)
Q7 MRと、インサイトの他のソースとの関係は?
・インサイトを提供するのはMRだけではない。他には、
①マネジメントコンサルタント
②ビジネス・インテリジェンスーCRMやロイヤルティカードの使用情報などの分析
③ウェブアナリティクス(SEOを含む)-オンライン行動の分析
④FFM(customer feedback management)システムー顧客のコメントやフィードバックとマネジメントを結びつける方法
⑤ソーシャルメディア・リスニングやリアクション・マーケティング
Q8 MRにはなぜ、リサーチ綱領や行動指針があるか?
①リサーチャーは外部からの規制を嫌い、自己規制を好むので、自分たちが賢明で公正かつ実行可能なルールを作るよい立場にいると信じている
②調査会社の利用者に、良質な調査会社と悪質な調査会社との区別がつきやすいようにする
③調査対象者が、調査に参加しやすいように、調査活動に保証を与える
④リサーチャーに、ベストプラクティスの実践を促進する
Q9 MRの業界団体の存在意義は?
・ESOMARや、CASRO,MRSなど
・他の業界団体と同様な役割を果たしています。
①業界の利益を代表して、議会に働きかける
②クライアントやメディア、国民にMRの意義を宣伝する
③品質維持のため、行動規範やガイダンスを作成する
④トレーニングや、教育、会議、その他のサービスを通して、業界の発展に貢献する
⑤産業界や社会に向けて、MRの価値をアピールする
Q10 MRにおけるin-the-boxとout-of-the-boxの違いは?
・対象者(消費者)の日常生活の中の思考や経験の範囲の中にあるのが、in-the-box(例えば、コークの味の評価を尋ねる)。外にあるのが、out-of-the-box(例えば、結婚前の人にパン焼き機の評価を聞く)
***********************************
(3) 報告書作成(13)結果やレコメンを効果的に伝えることは、すべてのリサーチャーにとって非常に重要なスキル
Q1 リサーチの結果が、なぜアクションにつながらないのか?
・苦労して行った調査結果が、クライアントのマーケティング活動により活用してもらうには、
①正確な結果を出す、
②結果を信じて、アクションを促すようにする
③グレート・コミュニケターになる(コミュニケーション・スキルを磨く/プロジェクト内に十分なコミュニケーション時間をとっておく)
Q2 報告の相手を理解することが、まず最初かどうか?
・ある意味Yes
・しかし、その前にやるべきことがある:
①リサーチがどのように使われるのかを理解する
②コミュニケーション目的を知るー適切な方法の選択や時間配分に役立つ
・コミュニケーション・ニーズ
①結果のデータベース化
②結果からアクションを促進するープレゼンの方法の工夫
Q3 どのように相手を知り、理解するか?
・誰が最終の意思決定者かを理解する
・リサーチ・ブリーフをよく読む
・調査会社のリサーチャーとクライアントとが、プレゼン資料について事前によく打ち合わせをしておく
Q4 クライアントの信頼を勝ち取るには?
・3つのR: ①正しい情報、②正しい担当者、③正しいタイミング
・4つのC: ①簡潔、②メッセージの明快さ、③内容の一貫性、④信頼性
・1つのE: ①情緒
Q5 データで共感を得るには?
・コミュニケーションにおけるストーリーのパワー
・データから、メッセージや示唆、機会を伝達する
・データから「ストーリー」を見つけ出す
・リサーチは、ナレッジ構築のプロセス
・自己を主張する:自分の思うこと。議論のために「質問」を提起する
・現在のプロジェクトだけで考察するのではなく、現在と、既存の知識や過去のプロジェクトからの知識、同様な状況から収集した知識などを付加して考えることによって、より結果に説得力がまします。
Q6 コミュニケーションの方法は?
・結果を報告する最も共通の方法は、対面ミーティングやeメール、レポート、パワポでのプレゼンのミックスの形
・ビデオの使用の提案
・リサーチャーは、新しいテクノロジーやトレンドをフォローして、結果の新しいコミュニケーションの方法とトライアルすべき
Q7 報告書の構成は?
・定型的な構成は、①リサーチの理由や方法について背景情報や、②結果の報告、③結論と提言+エクゼクティブ・サマリー
・レポート作成のヒント
①最初のリサーチ・ブリーフにもどり、リサーチ目的を確認する
②リサーチ方法には、調査の方法とサンプル・サイズを明記する
③前述の4つのCを確認(簡潔、明確さ、一貫性、信頼性)
④トラッキング・スタディの場合、複数のレポート間の相違は最小限に抑える
Q8 プレゼンの注意点は?
・プレゼンの明確な構成:①イントロ/背景、②結果(結論をサポートする結果の提示)、③結論とアクション提案
・1枚のスライドに多くの情報を入れないー発表時間内における発表者側と聞き手側双方の理解度のキャパを考慮する
・プレゼン構成の注意点
①時間配分
②発表する調査内容によってプレゼン構成をかえる(例えばコンセプトテストの発表やエスノの結果発表によってプレゼン方法が異なる)
③発表内容(伝達するメッセージは何か?)
④プレゼンだけが提出物かどうか?
⑤プレゼン形式かあるいはワークショップ形式か?
⑥プロジェクターを使用するか、紙の配布か
⑦クライアントから特定のリクエストがあるかどうか?
Q9 図表やインフォグラフィックスの有効な使い方は?
・図表やインフォグラフィクスは、データを生きたものにするけれども、使い方を誤ると逆効果
・それぞれの特徴や用途は、
表 図 インフォ
内容の理解の容易さ 発表者に説明が必要 聞き手が容易に理解 容易に理解
伝達内容 詳細を伝達可能。 詳細は不可 詳細は不可
関連性はダメ 関連性はOK 主要メッセージ
サポートデー
タを付加
読み手の解釈の自由度 自由度が高い 自由度は低い 低い
独自に解釈可能 関連性の理解を 読み手は
助ける 最も受動的
ポイント 2-3桁に留める 多くの情報を入れ サポートデータ
太文字 ない を準備しておく
色の使用 (プレゼン時
の質問、反論に対応)
Q10効果的なプレゼンの方法は?
・リサーチャーはアクターとして演じる
アクターの要件
①せりふを理解
②演技(プレゼン)の練習
③ビデオなどで、パフォーマンスをチェック
④弱点や緊張感を払拭する
⑤ビジュアルが重要なコミュニケーション
⑥声(パワーや明確さ、幅やトーン)を効果的に使う
・アクターは、ステージ上の「スター」であるという自覚が必要
・スクリーンは、単にサポート道具であり、スターが主役
・スライドの使い方:
スライドを全部読まないスライドを提示
メッセージを伝える
短い引用などを読む
次のスライドに移る前に再度ポイントを確認
聞き手と会話するようにプレゼンをすすめるー信頼性のアップ
・プレゼンは、物語であり、ストリー・テラーが重要
・聞き手の相互作用が大切
・プレゼン・スキルをアップさせるために
①プレゼンのコースに出席、②関連するブログを読む、③聞き手であるクライアントに評価を聞いてみる、④アドバイスやフィードバックを受ける
0 件のコメント:
コメントを投稿