2014年7月6日日曜日

#132 JMRX特別勉強会:「レイ・ポインターと英語で学ぶMR」第2回の予習ノート


<第132回>  第2回のプレビュー 2014年7月

● 第2回 7月8日(火)実施

(4) 定量調査      (テキスト第3章)
(5) 調査票の作成    (5章)


●MR用語

・定量調査      qualitative research 
・サーベイデータ      survey data   
・調査票                    questionnaire
・対面面接調査        face-to-face interview
・方法                        method/methodology
・母集団                    population
・無作為確率標本    random probability samples   
・割当標本                quota samples
・信頼度レベル         confidence level
・有意差検定            significance testing
・妥当性                    validity
・信頼性        reliability
・回答率        response rate
・自由回答                open (ended) question
・尺度                        scale
・対象者(回答者)respondent

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質問:

3章 定量調査

Q1 定量調査とは?
Q2 定量データのソース?
Q3 サーベイデータの提供者は?
Q4 サーベイデータ収集の主な方法は? 
Q5 母集団とサンプル(標本)の意味は?
Q6 サンプルのタイプ?
Q7 サンプルサイズは?
Q8 有意差検定とは? 
Q9 定量データと、現実との一致度は?
Q10ウエイトづけについて?


5章 調査票の作成 

Q1 調査票と調査目的の関係は?
Q2 サーベイで使用される質問文のタイプは?
Q3 サーベイの長さは?
Q4 対象者がすべての質問に回答すべかどうか? 
Q5 「わからない」や「どれもない」「非該当」「回答拒否」の使用は?
Q6 「その他」の使い方は?
Q7 調査票作成のキー・ルールは?
Q8 数値データ収集のベストな方法は? 
Q9 サーベイへのエンゲージメントを上げるは?
Q10調査票のチェックの方法は?


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解答: 

3章 定量調査: 


マーケット現象を記述やモニター、説明、予測するための測定プロセス。定量データの収集と分析の10個の質問。 

Q1 定量調査とは?

● 定量調査とは、マーケット現象を記述やモニター、説明、予測するための測定プロセスです。
企業がよりよい意思決定を行うのを助けます。

● 定量調査は、豆の缶詰の購入者数を単に測定する簡単なものから、サービスの満足度とリピート購入との関連性を測定する、
より複雑なものがあります。

● 定量調査は、該当情報が、量的に表示あるいは概算できるとという前提に基づいています。

これには異論もあります。例えば、結婚年数は数字で表せますが、どれだけ配偶者を愛しているかを数字では表せないのではないかというものです。

Q2 定量データのソース?

● 定量データ・ソースの代表的なものは、調査票を用いてデータを収集するサーベイ・データです。

その他のソースとして、


①ストア・オーディット(何が売れたかなど)、②日記データ(ビルボード視聴、消費者パネル、新聞購読など)、③ウエッブ分析データ(ページへの訪問者数など)、④取引データ(銀行の顧客アカウント履歴など)、⑤メーターデータ(TV番組の視聴者数など)、⑥ソーシャル・メディアデータ(ブランドXの投稿者数など)があります。

Q3 サーベイデータの提供者は?

● サーベイ・データの収集は、フィールドワーク会社が行います。それらには、


①オンライン・アクセスパネルや、②CATIコールセンター、③訪問面接などが含まれます。

● 調査会社が、フィールドワーク機能を自社に持つ場合と、外部に委託する場合があります。

● その他の方法は、クライアントの顧客データベースやコミュニティ・パネルのメンバーに依頼状を送ったり、サイトの訪問者に依頼する方法です。

● 回答率やコスト、必要時間などは方法によって異なります。

● サプライヤーやクライアントの双方の担当者は、調査プロジェクトのビジネス目的を十分に理解した上で、どのデータ収集方法がとられたかを認識する必要があります。

Q4 サーベイデータ収集の主な方法は? 

● サーベイ・データの収集方法の頻度は、国によって異なります。例えば、アメリカでは、オンライン・アクセスパネルが最も多い一方、調査員が行う訪問面接が盛んな国もあります。

● ESOMARのGlobal Market Researchレポート(2011年)によりますと、金額ベースで、次のような割合になっています。

オンライン33%、電話17%、面接14%、郵送4%、その他32%

Q5 母集団とサンプル(標本)の意味は?

● Population(母集団)は、MRでは特別な意味があります。調査の対象とするすべての人を指します。

● しかし、すべての人を調査すことはできませんので、サンプル(標本)という考え方を用います。サンプルは、母集団のサブセットです。(全員を調査する場合は、サーベイではなく、センサスと呼ばれます)

● MRの原理の1つとして、もしサンプルが母集団を典型的に代表していれば、サンプルを測定することによって、母集団の実態を推測することができます。

● しかし、現実には、次のような理由で、母集団とサンプルは一致しないケースが多くなっています。

①調査に参加する人(の中のある特定の人)が低下している
②サンプル・フレーム(サンプルが抽出されるリスト)が不完全
③抽出方法が、統計学的に適切でない
④サンプリング・エラー(サンプルが母集団にマッチしていない)

Q6 サンプルのタイプ?

● サンプルのタイプは、主に次の3つです。


①ランダム確率サンプル(無作為に抽出)
②割当サンプル(年齢や性、地域などの主な基準を母集団と一致させる)
③便宜的サンプル(利用可能なサンプル)

● 多くの調査が行われるオンライン・アクセスパネルの場合は、上の②と③の組み合わせ。

● ①の方法が理想的であるけれども、現実的では
ありません。

時間やコスト、品質などのトレードオフの関係で、クライアントとサプライヤーは合意の上で、サンプルのタイプを決める必要があります。

Q7 サンプルサイズは?

● 一般的には、大サンプルの方が、小サンプルより、より信頼性が高いと言えますが、小サンプルでもよく構造化されていれば、より信頼性が高く、高い妥当性をもつ可能性もあります。

● サンプリング理論(データ変動や要求される信頼性、精度ー巻末の付録で説明)に基づいてサンプルサイズを決める方法がありますが、現実的にはあまり役立ちません。

● サンプルサイズを決定する主な要因


①習慣や現実(各市場ごとに習慣や実際が異なる)
②最小セルのサイズ(例えば、若年男性の数を70-100にした場合のトータル・サンプルサイズを考える)
③予算

● サンプルサイズの計算をオンライン上で提供している会社や組織があります。

● サンプルサイズと予算の問題は、クライアントとサプライヤー間の重要な問題であるので、両者がビジネス目的を理解して、最も効率のよい(cost-effective)決定をした方がよいでしょう。

Q8 有意差検定とは? 

● 有意差検定は、サンプルでの調査結果が、実際の機会や違いを代表しているかを評価することを可能にしてくれます。

例えば、サンプル調査で、55%がカプチーノを45%がラテを好き、と言う結果が出た場合、母集団においても、55%の人がカプチーノを好きであるか、あるいは単に抽出されたサンプルがそうであるを有意差検定によって判断することができます。

● 詳細は付録で説明しますが、有意差検定とは、簡単に言うと、データの相違が注目するほど大きいかどうかの確率の測定であると言えます。


通常MRでは、95%や99%の信頼度レベルが使われます。

● 差が統計的に有意でない場合、それは真の違いを表していないか、あるいはサンプルサイズが小さすぎて判断ができないということです。

Q9 定量データと、現実との一致度は?

● サーベイによる定量データは、ウエッブ分析や顧客の購買データと比較して、現実の事実との一致度は高くありませせん。つまり、直接的でなく、頑健(robust)でもありません。

● サーベイデータと、現実との関連性の低さの弱点は、


①対象者が、本当に母集団のターゲットを代表しているかどうか、
②対象者が、彼らの行動や、反応、信条を本当に正確に表現しているかどうか、

から来ています。

● サーベイデータから現実を推測する場合、「ノルム(ノーム)norms」と呼ばれるある種のモデルに基づいています。

例えば、製品テストにおいて、X%の人がその製品を「絶対に購入する」とか、Y%が「おそらく購入する」とか回答した場合に、実際に購入されるだろうといったものです。これらは、収集されたデータからだけでなく、過去の製品テストの結果の分析に基づいています。

● ビジネス目的を達成するために、そのスキルを活用して、このサーベイ結果と現実との関係性を解明するのが、リサーチャーの役割です。そのためにも、ビジネス課題を明確にしておくことが重要です。

Q10ウエイトづけについて?


● 母集団とサンプルの構成が乖離している場合、ウエイトづけを行うことがあります。

例えば、母集団が男女比50%と50%で、サンプルが男性45%、女性55%の場合です。

分析時に、男性の割合を高める一方、女性の割合を低めることによって、サンプルがより母集団に類似するようにします。


● ウエイトづけは、MRではよく使われますが、

①有効なサンプルサイズを減少させ、②統計的検定をより難しくし、③大きなウエイトづけは、結果を曲げることになります。

● それを防ぐために、

①サンプルへのウエイトづけの分布を理解する、
②10%以上のウエイトづけの場合は注意をはらう、
③サーベイの開始前にウエイトづけについて同意しておく。

5章 調査票の作成: 

定量調査(オンラインやペーパー、電話、郵送を含む)における調査票の作成方法。
多くのイノベーションが進展する中で、調査票の利用は、依然MRの主要なデータ収集方法。
 

Q1 調査票と調査目的の関係は?

● 調査票作成時に、調査目的を忘れることが多いので、どの調査目的が、どの質問文(群)に関連するのかを念頭に置いた方がよい。

●逆に、調査票のそれぞれの質問文が、どの調査目的のためにあるかを検討することも重要です。

Q2 サーベイで使用される質問文のタイプは?

● 選択肢回答ー自由回答

選択肢回答: 対象者が回答の選択肢を選らぶ
自由回答:  対象者が自身の言葉や数字で回答

選択肢回答: ①二項選択(はい、いいえなど)、②単一(数)回答、③複数回答
回答リスト:  ①カテゴリー(例:ブランド名)、②スケール(例:5点同意―非同意尺度)

● 選択肢回答に、自由回答が入る場合: 「その他(自由/具体的に記入:   )」

● グリッド質問: 複数の質問に対して、単一スケールの単数回答 

● スケールをめぐる議論: 

①5点ー7点尺度選択の議論、
②各ポイントにラベルをつけるかどうかの議論、
③グラフィックを使用するかどうかの議論

● 新人リサーチャーは、所属会社の慣習を学ぶことが大切

Q3 サーベイの長さは?

● サーベイはできる限り、短くすることが重要

長いと

①回答率が低下、
②データの品質が低下

一方、必要な情報が入手できる長さが必要

● サーベイの長さに影響を与える要因

①文脈: 関心のあるテーマは、より長くできる(例:チョコレート>銀行口座)

オンライン・アクセスパネルのメンバーへのサーベイ>初めの対象者(例:クライアントのデータベースから抽出)

②サーベイ方法: 事前に依頼したサーベイ(例:面接や電話、オンライン)>生活に割り込む場合(例:路上キャッチやウエッブ・ポップアップ)

● サーベイの最大時間の目安

オンライン・アクセルパネルは、最大20分
その他は、最大12-15分

● 長い場合は、いつくつかのセッションや、複数のサーベイに分ける
  

Q4 対象者がすべての質問に回答すべかどうか?

 
● 全ての質問に回答するように強制するケース

①オンライン調査で、有効な回答をするまで、次の質問に移動できない場合
②調査員が次の質問に移らない場合

● これについては、リサーチャーの間で意見が分かれる

賛成派:
①「知らない」や「回答拒否」を安易に許すと、重回帰分析などの分析ができなくなる心配
②調査に参加することは、すべての質問に回答することが前提(暗黙の契約)

反対派:
①対象者は答えたくない質問や、わからい質問は存在するはずであるので、それを尊重すべき。②回答を強制することは、回答でのうそや調査協力拒否をまねく可能性

Q5 「わからない」や「どれもない」「非該当」「回答拒否」の使用は?

● ①「わからない」:質問は私に当てはまりますが、わかりません
②「どれもない」:回答はありますが、提示されている選択肢の中にはありません。
③「非該当」:質問内容は私には該当しません。
④「回答拒否」:対象者は回答はありますが、回答するのは当惑したり、文化的に聞くのは不適切な場合

●調査員が行う面接の場合は、別の対応
①提示しなかったり、読み上げない
②適宜、使用する

Q6 「その他」の使い方は?

● 「その他」の選択肢の利用:

①リサーチャーの想定外の項目を把握、②重要度が低い項目の理解、③調査の時間や調査票スペースの節約のため利用

● 「その他」は以下の時、重要

①重要な選択肢が抜けている場合
②重要な選択肢が見落とす可能性が高い国際調査や複数の文化にまたがる調査の場合
③対象者が自身の意見を述べる場合

Q7 調査票作成のキー・ルールは?

● 基本ルール

①わかりやすさ:対象者が理解しやすい言葉を利用したり、指示が明確で完全
②あいまいさを除く:

選択肢は、
・相互排他的:選択肢を1つだけ選択する場合
・二重質問(ダブルバレル):「ブランドXは、高品質で、かつ価値があることにどの程度賛成でしょうか?」

③バイアスの軽減:誘導や、社会的必要性(望ましさ)バイアス
例:「あなたは歯を磨きますか?」→「ふだん1日に何回、歯を磨きますか?」

Q8 数値データ収集のベストな方法は? 

● 数字を帯(幅)で表示する利点:

①対象者が正確な数字を知らない:「週に何回ぐらいMP3プレイヤーを聞きますか?」週によって異なる場合答えづらい
②単位がわからなくて正確な数字を入力できない:単位がマイルかキロか、日別か週別かなど
③社会的要求性(望ましさ)バイアスを軽減する:受容範囲が広い回答の場合

●欠点:

①バンドは、正確ではない
②予測が困難になる:対象者に中間を選択させる危険性

Q9 サーベイへのエンゲージメントを上げるは?

● エンゲージメントを上げると、

回答率を上げる、
②協力率を上げる、
③長い調査にも応じてくれる。

● 一方、エンゲージメントの上昇は、想定外で有用でない方向に、回答を変えてしまう可能性もあるので注意が必要。

● 調査票の改善方向

①対象者やトピックにあった調査票の作成

若年のモバイル・ユーザーには、インフォーマルに聞いた方がよい一方、50代以上の男性に性の問題を聞くときには、医学問題のように専門的に聞いた方がよい。

②物語のような流れをもった調査票

自然な流れのフローによって、対象者は次の質問を予測することができ、なぜその質問が聞かれるのかについて納得する

③より興味を持たせるためのイメージやグラフィック、アニメーションなどの使用した調査票

ただし、イメージやアニメーションが質問の意味を変えてしまい、異なった結果を引き出すことに注意

④対象者から嫌がれタイプの質問を除外した調査票

グリッドや、類似の質問、長い回答を要求する質問など

⑤ゲーミフィケーションを活用した調査票

時間制限を設定したり、グラフィックを改善、目標を設定、フィードバックの提供など

ただし、イメージやアニメーションと同様、ゲーミフィケーションが結果に影響を与えないかどうかを検討

Q10調査票のチェックの方法は?

● チェックの方法は、データ収集方法によって異なります。

●面接調査の場合

①調査目的に照らしてチェック
②スペルや文法をチェック
③パイロット調査を行う

●オンライン調査の場合

①上記の①と②
②スクリプトやロジックのチェック
③すべての質問文やオプションがチェックするまで、複数回、サーベイを繰り返す
④ソフトウエアが自動であれば、数千回のダミー調査を繰り返して、すべての質問やループの情報収集をチェックする
⑤少数のサンプル(全体の10%あるいは50サンプル)でソフト・ローンチを行い、サーベイが満足に動くかどうかをチェックするー対象者が記入することができるかどうか、自由回答もチェック
 

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