2014年7月10日木曜日

#134 JMRX特別勉強会:「レイ・ポインターと英語で学ぶMR」第3回の予習ノート


<第134回>  第3回のプレビュー 2014年7月

● 第3回<7月10日(木)>

(6) 定性調査           ( 4章)
(7) 定性データの分析 (10章)


● MR用語

qualitative research 定性調査
depth interview   詳細面接
focus groups  グルイン(グループインタビュー)
ethnography  エスノ(グラフィー)




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質問:


● 第4章 定性調査

Q1 定性調査とは?
Q2 対象者の発言と行動との関連を知るには?Q3 定性調査の対象者と、結果との関係性は?
Q4 定性調査は、オンラインで可能かどうか? 
Q5 グルインと詳細面接の違いは?
Q6 定性調査と定量調査実施の順番は?
Q7 プロジェクティブ・テクニック(投影法)について?
Q8 ディスカッション・ガイドについて? 
Q9 定性調査の1人あたりのコストが高いのはなぜ?
Q10対象者のリクルートの方法は?

Q10定性調査が取り組みビジネスニーズは?

● 第10章 定性データの分析


Q1 定性分析とは?
Q2 定性分析の主な目的は?
Q3 定性分析の主な段階は?
Q4 分析の詳細度は? 
Q5 よくあるミスは?
Q6 定性分析の主観問題の克服法は?
Q7 定性分析のソフトウエアは?
Q8 定性分析と、サーベイにおける発言録との関係は? 
Q9 定性分析と、フォーラムのディスカションとの関係は?
Q10定性分析の特定の方法は?

Q11定性分析の妥当性の評価は?
 
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質問:

第4章 定性調査: 定性データは定量情報とは非常に異なります。本章では、定性調査の方法について11個の質問を検討します。

Q1 定性調査とは?

1.定性調査は、消費者の行動や、意見・思考・信条の「理由」whyを理解しようとするものです。


定性調査は、消費者の意見を超えて、人々の意見と、行動との間の緊張や対立を発見しようとするものです。

2.オンライン・ディスカッションなどの新しい方法が普及してきていますが、

定性調査の主な方法は、詳細面接(デプス・インタビュー)とグルインです。

ディスカッションのフローにそって意見が集められます。

モデレーターは、リサーチのテーマに基づいて参加者を導いて発言を促します。

3.定性調査の分析プロセスは、複雑で、リサーチャーに対して、なぜそのような参加者の発言がなされたかの理由を考慮するように要求します。

リサーチャーは、行動や意見の理由を直接聞くことはできませんので、それらの根底にある理由」をさぐるさまざまな方法を使う必要があります。

4.定性調査やその分析は、常に進化しています。影響を受けている分野として、心理学や、社会学、文化人類学、文化・言語理論、脳科学などがあります。

5.定性調査は、20年前に比べてより複雑になっています。特に行動の観察に焦点をあてるエスノグラフィーから強い影響を受けています。 

Q2 対象者の発言と行動との関連を知るには?

1.人々が言った通り行動すれば、定性リサーチャーの仕事は多くありません。言ったことと、行動や思考との関連を理解することが彼らの重要な仕事です。

2.よい定性分析というのは、単に言ったことを記述するのではなく、消費者の行動の背後にある意味を明らかにするものです。

定性リサーチャーは、行動に影響を与える要因に敏感でなければいけません。

対象者とインタビュアーとの関連や、グルインルームでの他の参加者の影響、観察されているという事実などの行動に影響与える要因などです。

3.同様に、グルイン中のボディ・ランゲージなどのノンバーバル(非言語)な行動や、エネルギーレベル(集中力、関心度)や躊躇、ポーズ(考え込む)にも敏感でなければいけません。時には、何を発言しないかを理解することも重要です。

4.また文化的違いも理解する必要があります。ある国では、意見や思考、感情をより直接的に表す一方、そうでない国もあります。
 
Q3 定性調査の対象者と、結果との関係性は?

1.定性調査の対象者は、母集団を数字的に代表する人よりも、リサーチャーにとって、課題への解答に導いてくれる対象者の集団であることが望ましいです。

2.対象者は、年齢やライフステージ、地域、集団への帰属、特定のブランドのユーザーなどによってグループに分類されます。どの方法(グルインや面接、その他の定性手法)を使うかによって、それぞれ必要な対象者の数が決められます。 

3.典型的には、1グループ(1タイプ、1セル)あたり、少なくとも約8人ぐらいに聞くことが多いです。少ないと誤った結果を導く可能性がありますし、多すぎると同じような結果を得たり、定性的に分析するのが難しくなります。

4.必要対象者数は、調査目的や対象ターゲット、国やマーケットによっても変わってきます。

ヨーロッパ市場では、4-6のグルイン・グループや、8-16のデプス・インタビューの参加者数が一般的です。

中国や、インド、インドネシア、ブラジル、アメリカなどのより多様な国では、その地域的な相違が、より多くのグループや参加者数を必要とするかもしれません。

5.定性調査では、数ではなく、重要なのは「理由」です。

定性の広告テストでは、どれだけの消費者がその製品を購入するかではなく、広告がどのように購入を促進するかどうかを記述することが重要です。
Q4 定性調査は、オンラインで可能かどうか? 
1.初期の定性調査をオンラインで行う試みは満足のゆくものではありませんでした。

それらは、参加者の自発性や、複雑性、対面のインターラクションの深みに欠けていました。

2.しかし、現在のオンライン定性調査は、その強みを生かして、調査への参加の時間や空間(場所)の制限を取り除いています。

オンライン・ダイアリーやオンライン・コミュニティです。

ネット上のインターラクティブな状況は、自然な状態で調査を可能にしています。

また、オンラインは、よりセンシティブな個人的な問題についての調査(エイズやがんなど)の実施も可能にしています。つまり調査員の目を気にする必要がありません。

3.オンラインの利用によって、クライアントも直接、参加者の議論を聞いたり、質問を入れたり、コミュニティで評価を受けながらコンセプト開発を行ったりすることが可能です。ー調査経験をより包括的なものし、コンセプト生成に向けることが可能。
Q5 グルインと詳細面接の違いは?

グルイン:

1.グルインに対する批判の1つに、参加者同志が影響を受けるというものですが、これこそがグルインの大きな利点です。すなわち、グルインによって、ソーシャル・ダイナミクスー人々がどのように反応するのを知ることができわけです。

例えば、コンセプト開発のグルインで、どの時点がコンセプト理解のポイントであるかを探ることができます。

また、ブランド・アイデンティティやポジショニングの調査において、ブランド間の関係性やお互いの距離感を理解することができます。

デプス:

2.デプス・インタビューは、個々人の履歴をさぐる価値ある方法です。

面接によって、過去の経験や、価値体系、ライフスタイルが、その人の消費行動にどのように影響しているかを詳細に探ることができます。

ブランド・パーセプションの形成を探るにもよいです。何がその形成に影響を与えるのかを明らかにしてくれます。

3.グルインとデプスは相違もありますが、重複している部分も多いと思います。

グループでの個人の反応は貴重な情報です。

広告やパッケージへの反応は個人的なものでり、理解や自発的なエンゲージメントの程度もさまざまです。

Q6 定性調査と定量調査実施の順番は?

1.調査の背景や目的によって決められる。

いくつとか、誰がといった課題の場合は定量
なぜの場合は定性
どれ(コンセプトやパッケージなど)が最もポテンシャルが高い場合は、定性と定量

どの要因が購買を促進するかを知りたいけれでも、誰が購入するかがわからない場合は定量

要因(購入ドライバー)の種類や、ニーズ・ステージ、特定のセグメントの消費者のタイプなどを知りたい場合は定性

定量は、包括的な質問セットを設計する場合に役立ち、それらに数値を付加するのが定量

定性は、仮説立案(hypothesisi building)に向いている。
2.時間の都合で、定性と定量が同時に行われる場合もあります。

同時調査は、単独でそれぞれが生み出すそれ以上のものを生み出す可能性があります。

例えば、どの広告がベストで、なぜ、どのようにそうなのかを明らかにしてくれます。
Q7 プロジェクティブ・テクニック(投影法)について?
1.投影法は、参加者が、意識レベルでは気付かない抽象的なアイディアや関連性(association)の表現を可能にしてくれるビジュアルやバーバルの手法です。

擬人化(personification): ブランドのパーソナリティを調べる場合、ブランドを人にたとえ、特定のスタイルやライフスタイル、家、車、価値観、理想論、夢、心配などを聞く

2.投影法の考え: 対象者は、自己のアイディアを人やビル、景色、国などの表面的なものに「投影」すると考え、それらがどう見えるかを尋ねる。

古典的心理学の方法:ロールシャッハ法(Rorcchach's ink)http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%83%E3%83%8F%E3%83%BB%E3%83%86%E3%82%B9%E3%83%88

3.刺激物として、スティック・メンや小さな像を使ったりもします。
それぞれが、何を言って、考え、行動しているかをブランド・ユーザーに聞いたりします。
Q8 ディスカッション・ガイドについて? 
1.モデレーターが参加者から意見を聞き出す時に使うフロー

2.3つの役割:

①クライアントのビジネス・ニーズについて、モデレータの考えを整理し、面接中に何を聞くべきかの計画書の役割
②調べることについてのクライアントとの合意事項の役割
③モデレーターにとっての面接中のリソース資料の役割

3.形態
①すべての質問の詳細な内容説明の形(複数ページ)
②面接の構造やフローのアウトラインの形(1ページ)
③両者の中間の形

4.より詳細なガイドが必要な時
①複数の国にまたがり、複数のモデレータが必要な時
②クライアントがより詳細な過程の説明を要求した時

5.定性調査の価値をだすために、
①ガイドよりも、参加者の議論の流れにそった方がよい場合
②モデレータは、正しい質問のしかたをした方がよい場合
(例:投影法は、ターゲットやカテゴリー、文化によって非常に異なるtなった結果になります)

Q9 定性調査の1人あたりのコストが高いのはなぜ?

1.コストを上げる3つの要因

①リクルート費用が、定量調査よりも高い
②謝礼が高い
③分析時間が、長くかかり、スペシャルスキルが必要

2.良い分析には時間が必要で、単に対象者の数が所要時間を決めるものではありません。

3-4つのエスノの定性分析には、5-6グループ分の時間が必要。

Q10対象者のリクルートの方法は?

1.パネルメンバーから集める場合もありますが、多くの場合、リクルートの専門家が集めます。

2.対象者はスクリーナー(対象者条件ー製品やブランドのユーザー、社会デモグラフィック条件、サイコグラフィック条件など)を使って集められます。

3.良いリクルートが、定性調査の品質の肝です:質が悪かったり誤ったリクルートは、粗悪な調査の誤った結果に基づく意思決定につながる恐れがあります。

4.リサーチャーは、良いリクルーターを大切にすべき

Q11.定性調査が取り組みビジネスニーズは?

1.クライアントは、数や何か、場所などを知りたい時、定量調査を使います。特にサンプルから母集団を推定したい時です。

2.人々がなぜそれを行うとか、ブランドが人々の生活にどのようにフィットしているのか、特定のブランドを選択する理由、それをどのように決めるのか、自己の内面に何が付加されるのか、ブランドが他人にどのように見えるかをどのように考えるかの場合は、定性調査を使います。

3.クライアントによっても、定性を行うか定量を行うかが分かれる場合があります。

広告テストの場合、

あるクライアントは、成功の確率を予測するために定量を
他のクライアントは、広告が機能する理由や改善点を探すなどの診断的情報をえるために定性調査を行います。

定性と定量が、連続的や同時に行われる場合もあります。

新製品開発(NPD)の初期の段階で、アイディエーション、そしてアイディアのブラッシュアップのために定性を行い、その後、マーケットシェアの予測のために定量調査を行うケース。

.定性調査は、国際調査において重要です。

人々が製品やサービスにどのように反応するかを理解する場合に、文化的違いがある場合や、

消費者行動の背後にある理由やモチベーションが、リサーチャーが理解しているマーケットと異なっている場合です。



第10章 定性データの分析: 定性データの分析の目的やプロセスを検討します。
 

Q1 定性分析とは?

1.定性分析とは、リサーチャーが、非構造的な定性データから意味のある結果を導くプロセスです。

2.定性データは、録音や、ノート、グルインやインタビューの発言、画像、写真、ビデオ自由回答などの多様なデータを含みます。

3.また定性分析には、ボディランゲージやトークのパターンなどのノンバーバルな行動の評価が含まれます。

Q2 定性分析の主な目的は?

1.定量調査が、より有効な意思決定に貢献するのと同様に、定性分析の目的は、クライアントに役立つように、複雑な情報をアイディアやメッセージに変換することです。

2.この情報の絞込みは重要な過程ですが、これだけが唯一の目的ではありません。


クライアントが、消費者や顧客の視点から課題をみることを助ける一方、

消費者の言葉やアイディア、行動をビジネスや政府の言葉に変換することもリサーチャーの重要な役割です。

Q3 定性分析の主なプロセスは?

1.スタート:フィールドワーク(FW)から開始。FW中に、仮説の立案やインサイトの生成。ノートやメモ、記録などのフォーム。
2.マネイジ:データの管理。分析グリッドやマインドマップの使用。
3.テーマ分類:調査課題に基づいて、データをメイン・テームに分類。
4.パターン探索:関係性やパターンを探索。データからモデルを構築。異なった結果の関連性を検討。
5.セグメント化:セグメント間に存在する違いを特定するためにデータを並び替える。ユーザーとノンユーザーや、男性ー女性、経営者と従業員など。
6.解釈:調査質問を解釈。知見の意味を問う。調査課題に対する意味は?
7.レポート:分析を精緻化する機会
 

Q4 分析の詳細度は? 


1. これは個人的好みや、プロジェクトの大きさや内容によって変ってきます。

2.発言をすべてコード化して、分析することによってテーマを発見する方法を好むリサーチャーも入れば、
メインのテーマのみを最初から特定する方を好むリサーチャーもいます。

Q5 よくあるミスは?

1.2つのよくあるミス
データを簡略化しすぎる:消費者言語や行動のフレーバーを失ってします。
②簡略化が不十分:対象者が何を言ったかを報告するのではなく、データの意味を解釈する必要があります。

Q6 定性分析の主観問題の克服法は?

1.すべての定性分析は、主観的です。つまり、リサーチャーが、リサーチプロセスの重要な役割を担っています。

2.完全でよく記述された分析によって、リサーチャー・バイアスを認識し、低減することができます。

3.定性調査の結果は、他の関連するデータソースを考慮する、いわゆるトライアンギュレーションを行うことが必要です。

Q7 定性分析のソフトウエアは?
 
1.リサーッチャーの多くは、紙やホワイドボード、ポストイット、スプレッドシートなどの組み合わせで、定性データの保存や分類を行っています。

2.定性分析用のソフトウエア

スペシャリスト分析ソフトウエアは、チームで作業を行うリサーチャーにとっては便利かと思います。スクリプトをセンターに保管場所になるからです。多くのソフトウエアでは、トランスクリプトのコード化作業を手動で行うことができます。
またデータのパターンも特定することも可能なソフトウエアもあります。

Q8 定性分析と、サーベイにおける発言録との関係は? 
1.サーベイにおける発言録(バーベイタム)の使用方法:
①コード化: 定量データとして利用される
②選択肢に含まれなかったアイディアを説明するのに利用される

2.サーベイにおける発言録は、参加者同志の会話(対話)ではなく、質問への回答です。

Q9 定性分析と、フォーラムのディスカションとの関係は?

1.フォーラムは、他の定性調査の方法よりも簡単なもので。なぜなら、トランスクリプト自体ががデータだからです。

他の定性分析の方法が使われます。

Q10定性分析の特定の方法は


1.コンテント分析: テキストの体系的分析。結果は頻度で表示される。ワードクラウドやソフトウエアが使用。

多くのリサーチャーは、定性データを頻度でカウントをして低減させることに異論。

2.ディスコース分析: 人々が言語を使う方法を分析。言葉が使用される「文脈」を重視。


トランスクリプトやソーシャルメディアデータで使用されます。

3.セミオティクス: 巻末用語集参照

4.エスノグラフィー: 巻末用語集参照
Q11定性分析の妥当性の評価は?
 
1.定性分析は、現実世界の事実と機械論的かつ絶対的な関連性をもつという主張にもとづいていません。実際、多くのリサーチャーは、すべてにおいて、客観的事実が存在している考えに反対しています。

2.定性の知見を評価する2つのツールは、

一貫性(coherence): データから作られたストーリーと、データ(から発見された結果)そのものとの一致度

トライアンギュレーション(traiangulation): データから作られたストーリーが、営業データや心理的モデルなどの他のソースから既に知られていることと、どの程度一致しているかどうか 

3.定性調査のキーとなる試金石は、それがクライアントにとって役立つかどうかということです。

より有効な意思決定を行う上で役立つかどうかということです。










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#150 レイ・ポインターのMR白熱教室2015 第4回(最終回)報告

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