2014年7月8日火曜日

#133 JMRX特別勉強会:「レイ・ポインターと英語で学ぶMR」第1回の復習ノート


<第133回>  第1回のレビュー 2014年7月

● JMRX特別勉強会:「レイ・ポインターと英語で学ぶMR」の第1回を7月3日(木)に開催致しました。講師を含めて、22名の参加者でした。




予算の都合で、定員が15名の会場を使用していますので、参加者の方にはご迷惑をお掛けしております。

● 同時に、今回は事務局の牛堂さんによって、USTREAMの実況も実現いたしました。

● 第1回目のテーマは、第2章MRとはと、第13章結果の報告でした。

この復習ノートでは、講義を聞いた後の「雑感」を思いつくままに書きたいと思います。

● プレゼン資料




●MR用語

・リサーチ目的 research objective
・図                       graph
・表                       table
・コーディング   coding
・インサイト          insight


● 本題に入る前に、まずESOMARについて聞かれました。

参加者の中では、ESOMARの知名度は結構ありました。しかし、そのうちメンバーになっているのはごくわずかの方でした。

年会費が330ユーロ(約46,000円)は、ESOMAR主催のMR国際会議への参加の特別割引きと、年4回の雑誌Research Worldの配布があったとしても、個人負担するには高いでしょう。このあたりアジアでのメンバー数の増加を目指しているESOMAR の課題の1つかと思います。

● 講義は、第3章のMRとは何かの定義の説明から始まりました。

marketing researchと、market researchの用語はほぼ同義に使用されていると説明がありました。

この点は、リサーチャー間で意見がわかれるところです。

講義のあと、レイがこのポイントについて、LinkedInに投稿したところ早速、海外から反論がありました。
https://www.linkedin.com/today/post/article/20140706131400-12412598-sorry-market-research-and-marketing-research-mean-the-same-thing

個人的には、Marketing Researchの方を好んで使用しています。

MROCを導入する時も、本来の英語はMarket Research Online Communitiesでしたが、あえてMarketing Research Online Communitiesとして紹介しました。

なぜなら、MRは、Markeing活動の意思決定をサポートするためのリサーチだからです。

反対する人は、Marketing Researchの方が対象範囲が狭いという理由で、Market Researchの方を好んで用いるようです。

● 次のクライアントとサプライヤー(調査会社ーアメリカでは、ベンダーという用語をよく使うそうです)との関係は、難しい問題です。

MRの国際会議でも、クライアントと調査会社とのよきパートナー関係の構築が繰り返しテーマになっています。テーマになっているということは、この問題がなかなか解決できない重要な課題であることの証左かと思います。

多くの企業は、以前から継続して使っている調査会社をもっていると思います。

私の場合も、メーカーのリサーチの責任者になった時に、既存の調査会社のパフォーマンスに満足できずに、サプライヤーを無理やり変えて、マーケティング・ディレクターともめた経験があります。

調査会社出身のリサーチャーでしたので、調査会社のアラがより一層見えて、ストレスがたまりました。

特に、調査会社は、日常のプロジェクトの運営・管理は、ジュニアのリサーチャーにまかせることが多いので、彼らが調査課題や、具体的な調査方法について、本当に理解しているのか、不安でした。

メーカーのリサーチャーは、その企業内でのリサーチャーしての自身の業務評価を上げるために、よきパートナーとして、課題解決力や提案力のある調査会社やリサーチャーを必要としています。業務上、こちらの手間をかけさせる調査会社のリサーチャーほど厄介なものはありませんでした。

ということで、レイがいう「ふだんからの継続的な透明性のある話しあい」が重要であることは間違いはありません。

● インサイトの定義についても言及がありました。

レイの定義は、一般的な理解を提供するものであり、行動をサポートするものと定義しています。

広くは、マーケティング活動に役立つものすべてから、狭くは、目に見えない潜在的ニーズであるという定義もあります。また想定外のアッハーという気づきをさすとするリサーチャーや企業もあります。

コルゲートに在籍した時に学んだ定義は、「消費者の深い理解」です。

個人的には、コトラーが強調するようにマーケティングで最も重要な概念である「ニーズ」と定義しています。

● 調査結果の伝達は、残念ながら、従来のリサーチでは、あまり重要視されませんでした。せいぜい、分かりやすい図表を作成するぐらいのトレーニングだったかと思います。

インサイトの重視とともに、言い換えれば、調査が単なるデータ供給(クロス集計表の納品)から、ビジネスへのインパクトを求められるインサイトの提供が要求されるとともに、有効な結果のプレゼンが重要視されてきました。

● Facebookの中で、参加者の1人の吉田さんが、レイの講義のポイントを見事にストリーテリングしてくれていますので、ご参照下さい。
https://www.facebook.com/tomoko.yoshida.102/posts/622326521214657

MRの国際会議で、最近よく使われる言葉で置き換えることができるかと思います。それは、

INSPIRE(インスパイヤー)

です。

クライアントのマーケターをアイディアの閃きや、アクションに突き動かすようなインサイトの発見・提案が望まれます。

むろん正確な情報に基づく必要があります。

今年の9月に開かれるESOMARのCongressのテーマもWhat Inspired?です。
http://www.esomar.org/events-and-awards/events/global-and-regional/global-and-regional-events-2014/congress-2014/congress-2014_overview.php

このあたりが、調査でよく言われる、主観と客観、科学と芸術の融合の域かと思います。

● これまでメーカーや調査会社で数え切れないほどのプレゼンを行ってきました。しかし、個人的には、プレゼンは大の苦手です。基本的に生来話すのがうまくありません。

プレゼンのノウハウ本をたくさん読んでも、なかなかうまくなりません。レイはアクターのように振舞えと言いますが。若い時に劇団にでも入っておけばよかったと思います(笑)。

● ますますリサーチャーに要求されるビジネス・スキルが多くなって、若手のリサーチャーは大変かと思います。負担を少しでも軽減されるように、各企業や業界団体内でのトレーニング・システムの充実が望まれます。

 

Broadcast live streaming video on Ustream


 

Broadcast live streaming video on Ustream

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上記の吉田さんのFacebookから引用:

RAY POYNTERと英語で学ぶマーケティングリサーチ 第一回の勝手なおさらい。
もう、今日は2回目が始まるんだけれど、今ごろになって勝手に初回のおさらい。“COMMUNICATING RESULTS” 。動画でもいちど聴いてみたりして。
スライドには入っていなかったけれど、一番力強くて、忘れられない言葉。
I would like market researchers to be the best presenters in industries. We should be better than advertisers, we should be better than management consultants we should be better than big data, we should be better than lawyers. MR業界は、広告業界よりも、経営コンサル業界よりも、ビッグデータ業界よりも、そして法曹界よりも、とにかくどこよりも優れたプレゼンターの集団として、すべての業界のお手本であるというのが私の願いだ。
レクチャーの後半もそろそろ終盤にかかるときに発せられたこの言葉は、このテーマの講義のしょっぱなで紹介されたクライアントからの言葉と見事にかみ合ってしまう。
“クライアントの言葉。MRの輩はリサーチを「行う」ことには(当然)優れているが、プレゼンテーションが下手だ。」
ということで、クライアントニーズに応えるプレゼンテーションやレポーティンングはどういうことか?ということで話しが続く。全部は書ききれないけど、印象に残ってることを備忘録的にここに残しておこうと。。。
One of the most important things is to separate analysis from presentation.
分析とプレゼンテーションは違う。分析は結果から課題に対する答えを見つけ出すために「我々が」やることだ。クライアントが聴きたいのはそこじゃない。腕を怪我して手術しなくはいけないということを考えてみたまえ。君たちが聴きたいのは、どんな最新鋭の術法を使ってくれるか?っていうことかい? 違うだろう?手術をしたら前と同じように野球が出来るか?前と同じようにピアノが弾けるか?そういうことじゃないかね?

Story, not a waterfall.
大事なのはストーリーだ。滝みたいに(情報を)浴びせてもだめだ。諸君は、最近ストーリーテリングと言う言葉を良く聴くだろう?それはハリウッドのストーリーとは違うぞ。あんなふうにオモシロオカシイ語りをしろというのではない。ストーリーテリングとは、『物語』(フィクション)のことを言っているのではなくて、物語の「ように」流れていくということだ。例えて言うなら、和食でなくて洋食だ。和食はご飯、お味噌汁、いろんなおかずを少しずつ食べる。それはプレゼンテーションではNG。洋食では、スープが来て、ギャルソンは、スープを食べ終わるころあいを見計らって、次を運んでくる。そして食する我々も、スープの次にはどんなものが出てくるのかそれを予想しつつその内容に期待するのだ。それがnarrative flow. 聴く人にすんなりとはいってくる、ブツ切れでなくってすべてがつながった流れで進んでいかなくてはダメだ。
Think like a journalist
ジャーナリストを考えてみよう。たとえばデモ。ジャーナリストはデモに参加した人数を正確に数で伝えることには関心を払わない。そんなことよりも、最も伝えたいメッセージをヘッドラインで大きく載せる。そういうのは大いに参考にするべきだ。
What is action?
リサーチはすべからずアクションにつながるものでなくてはならないというのは今更云うことではないだろう。でもここでいうアクションとは何か?というのは必ずしも諸君が考えているものと一致しないかもしれない。
・クライアントが確信をもって次のプロセスに進むことができる
・次に進むにあたり、より慎重になる
・方向付けに微修正を入れる、キャンセルする
そういうことが全部アクションだ。
言いかえれば・・・・報告書がフォルダやシェルフに納まったまま忘れられることが決してない・・・それがアクションにつながるものである と言っても良いだろう。
4Cと1E
これはゴロが良いので、書いておこう。
Concise  コンパクトに、でも不足はバツ
Clarity  明瞭明快
Consistency 一貫性
Credibility 信頼性
とEmotion エモーション
Consistency….たとえば、異なる質問で、それぞれ結論に対して相反する結果が出てくることがある。そういう矛盾をそのまま持ちこしてはダメだ。矛盾は、結果を伝える前に、分析者が解決しておかなくてはいけないのだ。
Creating the Emotional Connection
ここがいちばんクライマックスだったみたい。 プレゼンテーションでは聴き手とエモーショナルなつながりができなくてはいけない。で、数値を出す時は注意しろ!と。
数値が多くなるとエモーショナルコネクションを低下させる。(そういえば、かのダン・アリエリー先生もそんなこと言ってますね、行動経済学で。。と私のひとりごと)。で、ここからが具体的。
たとえば定量のプレで使っていい数字は15くらいと考えると良い。そうはいってもそもそも数値は沢山あるから、それを減らそうとしてもなかなか減らせるもんじゃない。
だから。。。
プレゼンの準備をする時、数値とか専門用語とかそういうのをまずデリートして始めるんだ。(定性だったら、プロジェクティブテクニックとかブリコラージュとかそういう言葉をまず排除してしまえ!)そして、どうしても入れないとだめなときにそこにどうしても重要な数値を入れ込むんだ。
それから、もうひとつ、言葉の使い方。LOVE, HATE, FEEL, ENJOY, REJECTなどの(強い)言葉を効果的に使え。そして、 平均、標準偏差、属性別・・・云々を出来る限り少なく絞り込め。
Is presentation the main deliverable? SHOULD NOT!
そして、その後彼(レイ・ポインター)は言う。プレゼンテーションと報告書は別のものだ。たとえば数表、グラフ、インフォグラフィックス。インパクトがあるのはどれだ?正確に情報を伝えるものはどれだ?言わなくてもわかるだろう (そう言ったわけじゃなくって、私がめんどくさいから手抜き。。)
おさらいはここまで。報告書の構成などについてもあったけど、それはいずれマテリアルが公開されるだろうし。
最後に、自分がした質問と、それへの回答をここに載せときます。
私がした質問は、EMOTIONAL COMMITMENTのところ。
エモーショナルにコネクトしたプレゼンが必要だということはその通りだと思うけれど、LOVE, HATE, FEELなどの言葉は避けるように今まで習ってきたしそうしてきた。やっぱりこういう言葉は客観性を逸しているように受け取られるような気がする。エモーショナルとサブジェクティブ(主観的)とは違うと思うし、やっぱりリサーチである以上、客観性は担保していないといけないと思うのだが・・・そうするとこういう言葉はちょっとリスキーな気がするのだが・・・
そして、レイの答えは。。。
まず前提として、使う言葉やプレゼンスタイルについてはクライアントの好みやお約束事のようなものがあるのでそれは事前チェックが必要。その上で。。。。
エンゲージメントをもってプレゼンするということは、同時にリスクを負うということだ。
エンゲージできて、なおかつリスクを完全に回避したプレゼンテーションなどは存在しないと思った方が良い。
もちろん客観性は大切だ。だがそれはレベルの問題、100%客観的な報告というのはないと思った方が良い、と言った後、 In my humble opinion. と。
こんなに長い冗長なポストを最後まで読んで下さった皆さんに感謝します。これを書きながら、ここ2日に今更ながら気づいたことをついでに。
リサーチの結果を書いたドキュメントを日本語では報告書っていうよね。で、プレゼンテーションを(もちろんプレゼンテーションともいうけど)報告会とも言う。つまり、[報告する]。
で、英語では、報告書はREPORTだけど、(日本語でいうところの)結果報告に対して、REPORTっていうのは聞かない。COMMUNICATEとかSHAREとか使ってる。
COMMUNICATEとかSHAREっていう言葉には、伝えた事柄に基づいて「やりとり」とか「共有」とか、とにかくなんらかの「インタラクション」があるニュアンスだけど、REPORTってなんかすごく告知とか、報道とか、あるいは部下が上司に報告するとか、とにかく内容が大切でそこで醸成される関係性はあまり重要視してないようなニュアンスがある。
リサーチ結果を伝えるときには、やっぱりREPORTでなくて、COMMUNIATE/SHAREを意識的に心がけていこう・・・などと思った私。

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