2014年7月15日火曜日

#135 JMRX特別勉強会:「レイ・ポインターと英語で学ぶMR」第4回の予習ノート


<第135回>  第4回のプレビュー 2014年7月

● 第4回<7月15日(火)>

(8) リサーチの応用分野           (16章)
(9) モバイル・マーケット・リサーチ (19章)


* 今回の講義用スライドには、テキストで言及されていない項目ーNPSやジオフェンシングなどーが含まれますので、ご注意下さい。


● MR用語

customer satisfaction research 顧客満足度調査
face validity                                  表面的妥当性
construct validity                         構成概念妥当性
predictive validity                        予測妥当性


***************************************
質問:


● 第16章 リサーチの応用分野

Q1 インターナショナル・リサーチの特徴は?
Q2 医療調査の特徴は?

Q3 広告トラッキングの特徴は?
Q4 顧客満足度調査の特徴は? 

Q5 広告テストの特徴は?
Q6 コンセプト・テストの特徴は?
Q7 ユーザビリティ・テストの特徴は?
Q8 アイディエーションの特徴は? 
Q9 子供調査の特徴は?
Q10ソーシャル・リサーチとの違いは?


● 第19章 モバイルマーケット・リサーチ

Q1 モバイル・マーケット・リサーチとは?
Q2 スマートフォンでリサーチを行うことは可能か?
Q3 フィーチャフォンとは何か、またモバイルリサーチでどのように使われるか? 
Q4 どのような時に、モバイルだけの調査を行うべきか?

5 すべてのオンライン・リサーチはモバイルで可能か?
Q6 定性調査におけるモバイルの主な使用方法は?

Q7 モバイル・サーベイをデザイんする上での注意点は?
Q8 リサーチ・アプリとは?
Q9 パッシブ・データとは?
Q10モバイ・リサーチのリクルートの方法は?
Q11モバイル・リサーチは、オンライン・リサーチと同じ回答を得ることができるかどうか?
12モバイル・リサーチにおける位置データの使用方法は?
Q13モバイル・リサーチにおける法的、倫理的問題点は?

 
 
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解答:

第16章 リサーチの応用分野: 

マーケットリサーチの特定の活用方法の主な特徴を見ます。インターナショナル調査や、医療調査、広告トラッキング、顧客満足度調査などが含まれます。

Q1 インターナショナル・リサーチの特徴は?

1.10-15年前までは、インターナショナル・リサーチ(IR)と言えば、ヨーロッパやアメリカ、日本で調査を行うことであった。

最近では、多国籍企業が、発展途上国でのマーケット・ポテンシャルの大きさに気づき、IRが拡大している。

例えば、BRIC(ブラジルやロシア、インド、中国)である。その人口の多さや、急激な経済成長ゆえに注目されている。

直近では、アジアや南米、中東、アフリカなど、多くの国にIRが拡大されている。

2.IRの5つの課題

①方法論:欧米での方法が、開発国で使えるかどうか。
②文化的違い:調査票作成や、定性調査の方法において考慮する必要がある。
③データ収集:多くのベンダー間や、時差の調整。
④サーベイやディスカション・ガイド:翻訳の必要。
⑤コストや標準化、協働の問題:国によってさまざまの実態。

Q2 医療調査の特徴は?


1.2つの種類

OTC(over the counter)薬の調査:消費者が対象

Rx(処方薬)調査:医者が対象

2.Rx調査の目的:医者が処方するドライバーを理解する

効果や副作用、投薬量などの薬の特徴や、製薬メーカーに対する医者のイメージ、過去の投薬行動、販売戦略の効果などを調査

3.Rxの2つの視点:

①非常に技術的:医学や薬学の科学的な用語やコンセプト

②医者からのデータ収集に焦点:接触や調査が難しいグループ

近年、オンライン・パネルや、謝礼(非常に高額な謝礼)の工夫を通して、医者の調査への協力問題を解決しようとする試み。

Q3 広告トラッキングの特徴は?

1.広告トラッキンク調査の目的:広告キャンペーンの効果の理解

基本的に、定量調査

継続調査

どの広告が特定の視聴者(オーディエンス)の到達しているか
どのチャネルか(TVやラジオ、印刷媒体、メール、オンラインなど)
広告が購買の可能性にどのように影響を与えているか

広告予算のROI最大化を助ける

2.広告トラッキング調査は、各企業がもつセグメンテーション・モデルとリンク

Q4 顧客満足度調査の特徴は? 


1.CSATとかCSM(customer satisfaciton measurement)と呼ばれます。

満足度だけでなく、満足度をドライブする製品やサービスの特徴の理解も行う。それによって、企業は、改善点を知ることが可能。

CSATは、多くの場合、継続調査: 満足度をトラッック可能。満足度向上の企業の成果をトラック可能。

対象者(サンプル)は、通常の場合、企業側が提供。

2.CSATの2つの方式

①製品やサービスについての一般的な経験や、印象、感情についてインタビュー

②トランザクション・リサーチ:直近の企業との接触(最近の購買や、サービスセンターへの電話、苦情、修理の要求など)について、フィードバックをえるための簡単なインタビュー


3.CSATデーダは、多くの場合、高度な数学モデル手法によって分析される:製品やサービスのさまざまな特徴の満足度への影響を測定することが可能。

5 広告テストの特徴は?

1.広告テスト: オンエアーの前に、広告についてテスト

広告テストの2つの役割

①広告の市場への影響を測定する: 定量調査

②広告がどのように機能するかを調べる:定性調査

2.広告の機能については大きな議論があります。

リコール(思い出させる/想起)や、認知、好き嫌い、特定などにおいて、広告は重要であるという主張。

定量の広告テストや、グルイン、ニューロ、バイオ、表情分析(facial coding)、潜在的測定法(implicit measurement)などのさまざまな手法が使われています。

3.特定の結果が、現実世界にどのように影響があるかを解釈する上で役立つベンチマーク(過去の結果のデータベースなど)の存在が、市場での予測を成功させます。

Q6 コンセプト・テストの特徴は?


1.多くのコンセプト・テストは、アイディアやプロトタイプをテストしたり、それらの市場での成功を予測したりします。

あるコンセプト・テストは、どのようにコンセプトが作用し、どのように改善すればよいかに焦点をあてています。

2.広告テストとコンセプト・テストとの間では、方法論で大きな共通点があります。

市場予測では、テストでの結果を市場予測に変換するためのモデルやデータベースに依存しがちです。

コンセプトがどのように機能し、どのように改善の評価には、適応型サーベイ(adaptive survey)や予測市場(prediciton markets)といった定量的手法に加えて、広範囲な定性やバイオメトリクスの方法が含まれます。

Q7 ユーザビリティ・テストの特徴は?

1.ユーザビリティテスト(UT)とは、製品やアイディアをみて、そのユーザービリティを評価するものです。

この分野は、HCI(human compter interface)やユーザビリティ専門的職業などの他の専門と、MRとが重複しているところです。

2.UTのMRにおける主な領域は、ウエッブサイトですが、製品やサービスのあらゆる分野に利用可能です。

3.UTでは、広範囲の技法やアプローチが使われます。グルインや、観察、ユーザビリティ・ラボ、専門家による評価、アイトラッキング、必要であればサーベイなどです。

Q8 アイディエーションの特徴は? 

1.アイディエーションは、何かを創造する点において、他のリサーチ方法(発見したり、解釈したり、将来の何かの影響を評価したりする)とは異なっています。

アイディア創造や精緻化のために使用されるアプローチに含まれます。

2.アイディエーション手法には、グルインやコミュニティに代表される定性手法や、思考を柔軟にしたり、参加者間の競争意識を刺激するためのゲーミフィケーションが含まれます。

Q9 子供調査の特徴は?

1.子供を対象とした調査には次のような問題点があります。

①親の同意:多くの場合、書面
②年齢グループにふさわしいコンセプトや言葉の使用
③子供問題に精通した専門家によるデータの解釈
④誘導や影響を与える質問の回避
⑤子供を危険にさらさないために、調査に従事するリサーチャーの背景や信用の重視

2.多くの国では、親を困らせたり、子供の健康を害するような製品についての子供を対象とする調査は行うべきではないとする意見が増加してきています。

Q10ソーシャル・リサーチとの違いは?

1.ソーシャル・リサーチ(SR)は、マーケット・リサーチャーではなく、ソーシャル・リサーチャーが行うものであると思っている人がいます。

しかし、政府やNGOが、マーケット・リサーチャーに調査を委託する機会が多くあります。

2.SRでは、表面的妥当性(face validityー常識的かどうか)や構成概念妥当性(construct validityー証明された理論に合致しているかどうか)が、MR(予測妥当性predictive validityー結果を正確に予測しているかどうか)より重視されます。

3.表面的妥当性や構成概念妥当性を追求すると、大きなサンプルサイズで、高い回収率を求められます。特に高齢者や、ホームレスなどの弱者、過去に軽微な犯罪例がある無職の若者などの出現率の低いグループの場合がそうです。


第19章 モバイル・マーケット・リサーチ: 


モバイルリサーチは、データ収集の新しい方法を提供し、パッシブや、協働型の新しいタイプのリサーチを創造しています。  
Q1 モバイル・マーケット・リサーチとは?

1.モバイル・マーケットリサーチには以下のようなことが含まれます。

①セフル式サーベイ(self-completion):対象者がモバイルフォンやタブレットでサーベイを完了する

②ウエッブベースのサーベイ:モバイルフォンやタブレット上のサーベイを完了する

③パッシブ・データの収集:対象者に聞くことなく、モバイルデバイスから直接彼らの情報を得る

④参加型リサーチ:リサーチプロセスにおいて、対象者が、積極的な役割を果たす。例えば、自分の周りの情報を収集する。

⑤モバイル・デバイスの使用:オンライン定性に参加する。

⑥CAPI:インタビュアーが、mCAPIと呼ばれるモバイルデバイスを使用する。

⑦CATI:mCATIと呼ばれるモバイルフォン上で、接触される。

Q2 スマートフォンでリサーチを行うことは可能か?

1.該当母集団に近似したサンプルを確保することができるかが問題

2.定性調査の場合は、サンプルの適切性の問題

定量調査の場合は、スマホの普及率が少なくとも50%以上があるかどうかの問題

Q3 フィーチャフォンとは何か、またモバイルリサーチでどのように使われるか? 

1.フィーチャホンは、スマホ以外のフォンの名称です。

フィーチャーホンの特徴は、多岐にわたっています。

カメラやネット機能がない非常に基本的なものから、大きなスクリーンやネットへのアクセスなどスマホ並みのものまであります。

2.スマホは進化し続けています。それゆえ、今日のスマホは、明日のフィーチャホンかもしれません。

現在のフィーチャホンによるリサーチは、SMSだけとか、ネットへの接続ができないものをさします。

Q4 どのような時に、モバイルだけの調査を行うべきか?

1.MRにおける現在の傾向は、対象者に回答するデバイスを選択してもらう方向です。それゆえ、モバイルのみということは、そのような必要性が生じたときになります。

2.モバイルのみのリサーチを行う時

①その瞬間in the momentを調査する時:位置や、タイミング、活動時

②パッシブ・データ収集にデバイスを利用する時:対象者の位置をトラッキングする

③PCでは通常できない特徴を活用する時:動きの写真をとるカメラや、行動を録画するビデオ

④CATIや面接、ネット調査が非常に高かったり、遅かったり、不可能である時:特に、発展途上国でフィーチャフォンを使って行うケースが多い。

5 すべてのオンライン・リサーチはモバイルで可能か?
1.基本的にはYesです。PCよりも、モバイル・デバイスの使用が増加しています。

しかし、大きなスクリーンや、モバイルで参加する場合、大きな処理能力を要求するような調査は不可です。

2.もし調査がモバイル・デバイスに適切でない場合は、調査指示は明確に行う必要があります。参加者のモバイル・デバイスが適切でない場合は、調査を中止し、丁重に参加協力を断ることが必要です。

Q6 定性調査におけるモバイルの主な使用方法は?

1.現状の主な使用は、

①ダイアリーの収集
②自身や周りの人の生活情報の収集
③オンライン定性調査とのリンク(オンライングルインやディスカッション、インサイト・コミュニティなど)

Q7 モバイル・サーベイをデザインする上での注意点は?

以下の6つです。

①使用デバイス:フィーチャフォン、スマートフォン、タブレット
②スクリーン・サイズ:スクロールを最小に。水平移動を避ける
③器用さ:タッチスクリーンの小さなボックスはクリックしづらい。データ入力の手間を減らす。
④長さ:サーベイは短く。5-15分程度。
⑤ネットのカバレッジ:ネット接続を考慮
⑥デザインの最適化:ユーザビリティと同時に、モバイル・デバイスの特徴を最大限に生かす

Q8 リサーチ・アプリとは?

1.アプリ(mobile applicaiton)は、モバイル・デバイスにダウンロードするソフトウエア

サーベイや、パッシブ・データ収集、定性調査に利用

ネットへの接続が必要なものとそうでないものがあります。

2.アプリの長所

①ネット接続が不要なアプリでは、必要な時に調査を行い、のちにデータをサーバーにとりこむことが可能
②モバイル・デバイスや外的シグナルによって、調査の開始が可能:事前のプログラムによって、対象者が特定の店を訪問した時に、サーベイが開始される
③アプリによって、センサーや電話の機能にアクセスが可能:電話使用や位置、環境などの情報の収集
④リマインダーや告知が可能:対象者の回答を促す

3.アプリの短所

①対象者がダウンロードしなければいけない:対象者のスキルの問題にも関係
②アプリは、それぞれのオペレーティング・システム(OS)用に作成されるので、OSの進化に応じてアップデータする必要あり

4.ESOMAR/MMRAのCommitment to You as a Research Participantガイドライン

  ダウンロードの費用やアプリの除去の方法などの調査会社と参加者間のガイドラインの設定

http://www.mmra-global.org/?KeyRequirements

http://www.mmra-global.org/news/130025/New-Sample-Our-Commitment-To-You-As-A-Research-Participant.htm

http://www.esomar.org/uploads/public/knowledge-and-standards/codes-and-guidelines/ESOMAR_Guideline-for-conducting-Mobile-Market-Research.pdf

Q9 パッシブ・データとは?

1.パッシブ・データ(PD)は、対象者が調査参加の同意以外、何もすることなく情報が収集ができるデータです。

例えば、アプリが参加者が、モバイル・デバイスで、電話をしたり、ネットを使ったりするたびに
その位置を記録することができます。これは自動継続的に行われます。

2.PDの大きな利点は、参加者が記憶に頼って入力するデータより、より正確であるということです。

Q10モバイ・リサーチのリクルートの方法は?

1.主な2つの方法: ①顧客リスト、②アクセス・パネル

限界: 現状、すべてのアクセス・パネルがモバイル・サンプルを提供していません。
また顧客リストも、顧客の所有するモバイル・デバイスのタイプや、メールアドレス、電話番号を所有していません。

2.これら以外では、定性調査のリクルートや、メール、電話、ソーシャル・メディア、店頭などがあります。

Q11モバイル・リサーチは、オンライン・リサーチと同じ回答を得ることができるかどうか?

1.リサーチ・オン・リサーチの結果は、現状、暫定的なものです。

2.次の2つの問題があります。

サンプルフレームの問題

・モバイルのサンプルは、若年層、社交的な人、より現在的な人に偏る傾向

逆にPCはこれらの人のリクルートが弱いので、モバイルがその弱点を補うことが可能

②方法の違いの問題(mode difference)

・この違いは少ない。例えばグリッド質問のケース。

12モバイル・リサーチにおける位置データの使用方法は?

1.ジオロケーションは、電話の特徴を活用した位置情報を扱う一連の技術です。

電話の位置は、さまざまに利用されますが、次の2つが主な活用

①人々がどこにいるかをトラッキングする:
マクロー自宅からオフィスやお店など
ミクローどのお店を訪問

②ある調査の開始を促す:対象者があるお店に入店、退店したタイミングで、小売店での調査を開始する

2.ジオロケーションは、次のようなアプローチがあります。

①GPSの利用:
②セル・タワー・ロケーションの利用:モバイルフォン・プロバイダーの協力が必要
③SRC(short range communications)の利用: Near field communication近距離無線通信技術

3.ジオロケーションの限界

①アプリが必要:ユーザはアプリを電話やタブレットに、ダウンロードする必要がある
②バッテリーの問題や技術の正確性の問題

Q13モバイル・リサーチにおける法的、倫理的問題点は?


1.新たなインフォームド・コンセント(説明と同意)問題が存在

①リサーチに参加することを同意した時、対象者は、どのような情報が共有されるかを理解しているかどうか?特にパッシブ・データが収集される時

②どのようなデータの使用に対象者は同意しているか?例えば、国外で使用されることがある点

③第3者のデータが収集される時、同意がとられているか?例えば。他人の写真やビデオが収集される時に、顔写真公開の同意があるか。

2.その他の問題として、

①コスト問題:ある国では、モバイルの使用によって、費用が発生する場合がある。その場合の補償をするかどうかの問題

②安全性問題:以下のようなリスク

・機器を操作しながら、サーベイに参加する
・歩きながら、ある活動に参加する
・写真撮影禁止の場所で、写真をとらなければいけない
・他人の子供の写真など適切でないテーマの写真やビデオをとらなければいけない
・安全でないコミュニテケーション・プロセスや、参加者のデバイスへの不適切なアクセスによって、センシティブな情報によって傷つけられる       
 

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