2010年3月29日月曜日

2030年のリサーチ?




●まずは、Twitterの話題から、

先週の金曜日(3月26日)、Twitterをやってい

るリサーチャーが12人、新宿に集まり

「飲み会」を開きました。

Twitterのハッシュタグ#Twittcherでフォローでき

ます。ツイッチャーの会です。

次回は、4月(或いは5月)中に勉強会、

研究会を兼ねての

開催を考えております。ご興味のある方は、ぜひご参加下さい。またTwitter上でご案内致します。


●我々が呑気に「飲み会」をやっている間に、先週お伝えしたように世界では、

3つの重要なリサーチの国際会議が開催されました。

ARF(22日ー24日NY)と、MRS(24日-25日ロンドン)と、定性(25日ー26日ベルリン)の

会議です。いずれも日本からは遠い場所です。出席者のリストを見ると、日本からは数人の人が参

加されたようです。

AFRとMRSの会議が一部重なったために、USの出席者はどちらに参加するか迷った人も
いたようです。

●Twitterでは、@surveymlさんが、

-Research2.0 の旗手レイ・ポインター氏が飛ばしてます「20年でサーベイはなくなる」>RT @RayPoynter: I said no commercial surveys in 20 years, no questionnaires #res10
1:56 AM Mar 24th HootSuiteから

- ポインター氏があらためてサーベイ20年消滅を主張>RT @RayPoynter: No commercial market research surveys in 20 years, read it here http://bit.ly/cpboOv
10:02 PM Mar 24th HootSuiteから

-サーベイ20年消滅説は現地でも物議を醸しているようだ>RT @researchlive: @RayPoynter sounds the death knell for a research staple http://bit.ly/9nHtHk
10:11 PM Mar 24th HootSuiteから

-調査業界のカリスマブロガーJHenning は別視点から>RT @JHenning Surveys in 20 Years- http://bit.ly/bV0H1F - interesting counterpoint to @RayPoynter
10:14 PM Mar 24th HootSuiteから

-JHenning "Qualitative Internet techniques will not replace surveys, but they will transform surveys" http://bit.ly/bV0H1F
10:18 PM Mar 24th HootSuiteから

といったTweetをされています。

ちなみに、、@surveymlは、Twitter上で、有益なリサーチ情報を発信されている、リサーチャーMUSTフォローのアカウントです。

これに対して、 next genリサーチャーである@fujiokatが、

-興味深い議論です。ポインター氏の「質問する→口コミ等の自発的な発言を傾聴する」流れと既存調査手法の組み合わせが重要になると思っています。 RT @surveyml ポインター氏があらためてサーベイ20年消滅を主張 http://bit.ly/cpboOv #j_mr
10:56 PM Mar 24th Twittelatorから

とTweetしています。

Ray Poynter No Surveys in Twenty Years? 

vs.Jeffrey Henning Surveys in 20 Years


前者が、2020年にはサーベイ・リサーチがなくなると主張。後者は、なくならないと反論しています。


私の結論は「なくならない」でしょう。。。読者の方はどのようにお感じになりますか?


サーベイ・リサーチ(サンプリングを行い、調査票を使って対象者に面接や電話などの方法で


調査を行う)の歴史は、戦前のアメリカに遡ります。


大統領選挙でのギャラップの功績があり、戦中に心理学や統計学、社会学などの「学際研究」


の発展によって、その基礎が完成されました。

それ以後、データ分析の方法が大型コンピュータからパソコン利用に変わり、


データ収集方法がインターネットを使ったオンライン調査に変化しましたが、


65年をへた今日でも(いろいろな問題点は指摘されながらも)、


学界・実業界の第一戦で活躍しています。


●レイ自身も、本気でそうは思っていないような気がします。


彼が推進しているMR2.0の進展を加速させる意味がこもっているように感じます。


現に、サーベイのかわりに、listeningやMROCなどへの転換を予想しています。

個人的には、認知率や利用率など代表性がのぞまれる一部の調査では残るでしょう。


しかしそれも1社単独ではなくオムニバス的に行われ、その数は減少すると思います。


レイは、マーケティング調査でのサーベイはなくなるけれども、


社会調査ではそうではないと断っています。


オンライン調査が発展している市場においてと限定しています。

というのは、発展している欧米では、サーベイは、オンライン・パネル(アクセス・パネル)によって


行われるからです。特に、10分以上もかかるような「調査票」はなくなると考えています。


また、自由回答方式の調査が多くなると言っています。


ランダムサンプルもできないと言っています。


確かに現状でも、ほとんどの調査が「代表性」をみたしていません。


インターネット調査もRDDも難しくなってきています。回収率の低い訪問面接も同様です

(これに対して、ジェフが、技術の発展などで、逆に今後「代表性」が脚光を浴びる時がくるか

もしれないと述べています。これは興味深い指摘です。

特に市場全体ではなく、あるユーザー間では可能であると述べています。)

さらにジェフはI think that surveys are the single superpower of the research world.

と言っています。

確かにプロジェクトの数的にはそうでしょうが、必ずしもベストの方法ではないと

多くの人は感じていると思います。世界中、同一の方法で、人間の意識や意見を数字に変

換できます。しかし、コストもかかるし、対象者や調査員のエラーも含む。

記憶にたよる回答なので、リアリティに欠け、本当に人間の感情を測定しきれているのかどうか

などの疑問もあります。だから、エスノやニューロなどが出てきたりして、模索が続いています。

In 20 years, surveys will have changed.とジェフもサーベイの変化は認めています。

しかし今後の新しい方法がそれにとって代わるのではないと述べています。

MR1.0とMR2.0は、インサイト発見において、相互補完的な役割を果たすものだと思います。 

また、レイは、all their previous responses are stored in data warehouses, we only need to ask genuinely


 ‘new’ questions – not whole surveys.と興味深い指摘を行っています。


確かに現状では、過去のデータの有効活用があまり行われていません。


今後の課題の1つです。


調査会社にとっては、プロジェクト数が減る可能性がありますから、


あまり歓迎すべきことではないかもしれませんが。。。


レイ曰く、

Remember, clients do not need surveys, they need insight and guidance.

これらの調査方法はあくまでも「手段」です。手段は長所・短所があります。

正しいか正しくないかではなく、課題解決にとって、有効かどうか、

効率的かどうかで判断され、活用されるものと言えます。



ARF会議では、
 
’Transformation is Not an Option’と題して、USコカコーラの




Stan Sthanunathan – VP Marketing Strategy & Insights, The Coca-Cola Companyが


2日目のセッションで興味深い指摘を行っています。


-"We have way too many insights,"  "Insights are only a means, not the end."

Researchers need to focus on delivering ROI for the business, not insights.


ここ数年は日本でも、インサイト!インサイト!と言われています。


スタンが言うように、確かにインサイトは、マーケターにとっては、最終ゴールではありません。


ちょうど12-3年前ぐらいから、USのメーカーのマーケティングから、リサーチャーに対して、


データではなく、「インサイト」が求める声が上がりました。


リサーチャーは、リサーチのROIすら、いまだに達成できていませんが、

マーケティングのROIまでも考慮に入れたリサーチを展開することは


なかなか難しいような感じです。


顧客の創造と維持に向けたマーケティング課題の発見と解決のための


マーケターの意思決定を有効にする情報・データ・インサイトを提供することが


マーケティングのROI向上に寄与すると言えます。


リサーチャーに対して、企業のマーケティング活動へのアカウンタビリティ(結果に対する責任)が、


インサイトよりもさらに要求される時代になってきたのかと思います。


不況下では当然のことでしょうか。

(不況下はリサーチがより有効なものに生まれ変わるチャンス!)


ビジネス機能の1つとしての「リサーチ」のROI機能が弱かったことが、


ビジネスにおけるリサーチのポジションに影響を与えていると思われます。




その他ARFについて、

Top 10 Takeaways from ARF's Annual Convention

ARF Re:Think 2010

-アドホックで調査を終わらせない。継続して聞く。
-最先端のツールを使っても、リサーチ・デザインがまずいとダメ
-N=1の中に有効なインサイトがある場合がある
-サンプルは数より質

ARF Re:Think ‘10: Welcome to the Future


最後のベルリンでの定性調査の会議については

DAY 1

DAY 2

を参照。

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《このBlogは毎週月曜日の午前中に更新されます。月曜日がお休みの時は火曜日の午前中です。また臨時に更新されることがあります》

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