●寺子屋さんが、この「みんなのMR.COM」が、
海外の調査情報を伝えていると紹介してくださって以来、
ブログの内容が結構、「海外ネタ」が続いています。
「製品開発」や「ブランド」、「顧客経験・ロイヤルティ」、「ショッパー・インサイト」などの
調査方法や、さまざまな分析方法などについても、ご紹介したいと思っているのですが、
今回も海外ネタです。。。
●先週(3月8日ー9日の2日間)、ロンドンで開かれた
Mobile Research Conference 2010
のご紹介です。
-この会議については、Twitterでフォローされていました。
この会議では、発表中に、参加者がみんなiPhoneなどを使って
Twitterでつぶやいたり、モバイル機器を使用したり「しないこと」が、逆に失礼な状況であったと報告されています。
普通は、一見発表を聞かずに携帯やパソコンを使っていると
発表者に失礼な感じですが、この会議では逆にTwitterなどで発信されないほうが(内容がおもしろくない?)失礼な感じと言っています。
また先週の私のTwitter:Experidgeでも少し「つぶやき」ました。
●モバイル・リサーチは、欧米での今年のリサーチ・トレンドの1つです。
●テーマとプレゼン資料(スケジュール)を参照。
●「モバイル・リサーチ革命」と呼ばれ、対象者にアプローチする
理想的なプラットフォームとしてのモバイルが注目されています。
スマートフォンの普及によるモバイル・リサーチの可能性が
探求され、単にデータ収集以上の可能性が期待されています。
この動きは、ソーシャル・メディアの動向(TwitterなどモバイルによるSocial mediaの普及)
とも密接に関連しています。
-Mobile social networking の発展は、スマートフォンのユーザーの増加から来ています。
オンライン・パネル(インターネット調査)のモバイル版だけでなく、
オンライン・コミュニティへの応用も期待されます。
この意味でも「定性調査」における活躍も予想されます。例えば「エスノ」などにも。
◆ ここではコカコーラのシュウェップスSchweppesの事例を紹介したいと思います。
●イギリスのMesh PlanningのHeval Ceylan (Experience Director) と、
コカコーラ(イギリス)の Linda Neville (Portfolio Planner) が、
シュウェップスSchweppes炭酸飲料のキャンペーンについて昨年
行ったモバイル・リサーチの結果を報告しています。
⇒日本でも、業務で行った調査事例がもっと積極的に、外部の会議で発表され、
共有されることを期待したいと思います。
●コカコーラのシュウェップス・ブランドのさまざまなタッチポイントを理解する目的で、
モバイルをリサーチ・プラットフォームとして使用。
低迷傾向のシュウェップス・ブランドの活性化のため、
TVを除く屋外や新聞、オンライン上で、キャンペーンを実施。
●従来のU&Aによるブランド・ヘルス調査⇒現在進行中のブランド経験を測定
⇒今後のブランド戦略に生かす (従来はU&Aから将来のブランド施策へ)
●まず、対象者は、事前にブランド認知やイメージ、オンラインへの理解などの質問に回答。
●そのあとモバイルを使用して、
-シュウェップスSchweppes
-スミノフSmirnoff
-エビアンEvian
-トロピカーナTropicana
の4つのブランドについて、
ブランドごとに、1週間、オンライン日記をつける。
それぞれのブランドについて、①誰かに話したかどうか、②誰かから聞いたか、
③話題にしている会話を聞いたか、
④どこでブランドを見たか、⑤ブランドのタッチ・ポイントについて、どう感じたか、
⑥それによってブランドをどう思ったかなどを聞く。
利点は、
-リアルタイムでデータを収集
-同時進行中のキャンペーンへの迅速なフィードバックを行う(施策の変更など)
-ターゲットである25-49才へアクセスする理想的なプラットフォーム
-写真を含めて、起こったことのブランド経験を把握できる。
つまり、顧客経験のタッチ・ポイントのリアルタイム評価が可能になる。
イベント評価や、広告、販促、口コミやオンラインでの接触など、
ブランドと消費者の接触ポイントのすべてを理解できる。
チャネルやメッセージの効果を把握することによって、
迅速にメッセージやメディア計画を変更しながら対応できる。
後日の記憶に頼る(信頼性が低い)リコール・データではなく、
リアルタイムの経験のトラッキング(Real Time Experience Tracking)が可能になる。
といったモバイルを有効活用した調査です。結果の詳細はプレゼン資料参照。
●会議で紹介されたその他の事例として、
1.製品(パッケージ)に電話番号を入れて、携帯で回答してもらう。
2.キャンペーン評価
-ブランド・イメージ
-キャンペーンへの参加と評価
-キャンペーンの伝達メディアの認知
-デモグラなどを聞く。
3.使用時でのブランドへのemotionを聞く。同時に、後日グルインで補足
⇒モバイルリサーチは、質問数の限界はあるけれども、
‘moment of truth research’に向いており、
感情や行動の瞬間を把握できる大きなUSPを持っている。
4.3日間、子どもの生活状況を30分ごとに回答してもらう。写真も転送。
その他の報告として、
●モバイル画面デザインへの回答への影響の研究
-機種によって画面イメージがさまざま
-選択肢は少ない方がよい
-グリッド回答方式は避けた方がよい
-質問と回答選択肢が1画面上に同時にはっきり見えた方がよい
-オンライン調査と同じ調査票デザインでは良くない、など。
●モバイル調査の測定誤差の研究 Research on research:
調査において、調査票や、面接、対象者、データ収集方法によって、さまざまな測定誤差が起こるけれども、今後モバイル調査ではどのような測定誤差が生じるかのリサーチを重ねる必要がある。
●日本でのモバイル・リサーチの動向も今後フォローできればと思います。
現行では、製品カテゴリーやターゲットによって使い分けるインターネット調査の
携帯電話版が最も多いと思われます。インターネット調査の際に携帯で購入商品などの店頭での情報の収集などが行われています。
●関連資料:
Mobile research – are we engaged?
Mobile Research Conference 2010 – Final Thoughts
会議参加者の議論を集めたPodcast:
podcast: The entrepreneurs tale - Liz Nelson & Liam Corcoran, Fly Research
テーラーネルソンの創設者Dr. Liz Nelson(70歳、現Fly Research)への
インタビュー
podcast: wrap-up chat with Manfred Marek (esomar) & Tom De Ruyck, Insites Consulting
●日本では、リサーチャーが一同に集まって、いろいろなテーマについて発表したり、
討論をする機会は、学会を除けば、JMRAの年次会議ぐらいでしょうか?
欧米では、あちこちで大小さまざな会議が活発に開かれています。
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今後のリサーチ関連イベント予定
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1月>
2月>
3月>
・March 22 - March 24、2010 ARF 56th Annual Convention + Expo, New York
・March 23 - March 24 2010 MRS Research 2010: The Annual Conference, London
・March 25, 26 2010 Qualitative Research in Web 2.0: The Next Leap! Berlin
・March 25, 2010 Feedback Panels & Online Communities, London
4月>
・ April 13, 2010 GRT Webinar with Andrew Vincent -- From Insights to Action: Maximizing the Impact of Research from 9am to 10am – www.revelationglobal.com/grt
・April 13-14 2010 Advanced Social Media: Philadelphia
・April 16, 2010 Free ESOMAR webinar: "An Introduction to narrative workshops" with Jochum Stienstra
from 3pm to 4pm
・Apr 22 2010 Digital Research and Social Media 2010
ASC One-Day Conference: Embracing the Social Media Revolution, London
・Apr 26-27 2010 ESOMAR ASIA PACIFIC CONFERENCE: Eyes on Asia、Bangkok, Thailand
5月>
・May 04 2010 International Perspectives on Qualitative Research...
・May 3-5 2010 Social Media & Community 2.0 Strategies in Boston
・May 5 2010, Retail Research Conference, London
・May 10 2010 CASS The Psychology of Survey Response
・May 13 2010 AAPOR 65th Annual Conference
・May 19 2010 CASS Essentials of Survey Design and Implementation...
・May 19-21 2010 The Worldwide Conference on Qualitative Research Inspiration In Action 2010
Prague, Czech Republic
・May 23-25, 2010 ESOMAR LATIN AMERICA CONFERENCE: The Innovation Journey、Cartagena, Colombia
・May 26 2010 GOR 10 - General Online Research 2010
・May 30-Jun 3 2010 2010 MRIA Conference 2010 & 50th Anniversary Celebration, Toront
6月>
・Jun 03 2010 CASRO 15th Annual Technology Conference
・Jun 09 2010 MRA Annual Conference and RIF 2010
・Jun 13 2010 International Total Survey Error Workshop 2010
・Jun 16 2010 CASS Applied Multilevel Modelling
・Jun 30 2010 CASS Longitudinal Data Analysis
7月>
・Jul 11 2010 XVII ISA World Congress of Sociology
・July 11-14 Shopper Insights in Action
・Jul 31 2010 2010 Joint Statistical Meetings
8月>
・Aug 30 2010 International Workshop on Household Survey Nonresponse...
9月>
・Sep 08 2010 The Second International Workshop on Internet Survey...
・Sep 12 2010 ESOMAR Congress 2010
・Sep 19 2010 Applied Statistics 2010
・Sep 26-29 2010 AMA'S 2010 Marketing Research Conference
・Sep 27-29 2010 Category Leadership Conference: From category management to shopper engagement.
10月>
・Oct 17 2010 ESOMAR Online Research 2010
・Oct 21 2010 Internet Research 11.0 – Sustainability, Participation...
11月>
・Nov 2 2010 IJMR Research Methods Forum, London
・Nov 8-10 2010 IIR's The Market Research Event 2010
・Nov 10 2010 MRA's First Outlook Conference & Expo
・Nov 16 2010 Online Qualitative Research 2010
12月>
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