2014年5月20日火曜日

#122 第45回JMRX勉強会報告: MROC祭り2014


<第122回>  2014年5月

● 2014年5月15日(木)、Mixi会議室にて、ベルギーのインサイト・コンサルティング社のTom De Ruyck氏をゲストにお招きして、「MROC祭り2014」と題して開催致しました。http://kokucheese.com/event/index/171025/


● ご講演を快諾して下さった講師の皆様、会場を提供してくださったMixiリサーチの濱野社長、お忙しい中参加くださった皆様、通訳をお願いしたニールセンの黒田様、有難うございました。
特に、日本のMROC分野で活躍されておられる多数の優秀なリサーチャーの方々のご参加をいただきまして、誠に有難うございました。

2,000円の参加費に見合った業務に役立つ有益な情報を提供することができたかどうかは自信がありませんが、今後ともJMRXをよろしくお願い申し上げます。
時間がなく、個別にご挨拶ができずに残念でした。

● メイン・ゲストのDe Ruyck氏は、今回のアジア・パシフィック地域の訪問中に、以下のMROCについての3つの講演を行いました。

・ 第1は、ESOMAR APAC会議でのアジアにおけるMROC拡大の可能性についての講演。
http://www.esomar.org/events-and-awards/events/global-and-regional/asia-pacific-2014/213_asia-pacific-2014.programme.20140513.php

・ 第2は、ESOMAR BEST of Japan 2014において、彼の所属するInsights Consulting社(IC社)のMROCの主要商品であるConsumer Consulting Board (CCB)の説明。
http://www.esomar.org/uploads/public/events-and-awards/events/2014/local-activities/esomar-best-of/boe-japan/ESOMAR-Best-Of-Japan-2014_programme.pdf

このCCBの考え方は、2012年ごろからプレゼンされています(本人は、考え方は2011年に完成したと言っていました)。より一般的な聴衆が参加される会議であるということで、CCBをテーマに選んだとのことでした。

CCBについての他の会議でのプレゼン資料参照:
http://www.slideshare.net/search/slideshow?searchfrom=header&q=Consumer+Consulting+Board+

・ 最後の第3は、今回のJMRXでのChief Consumer Officer (CCO)のプレゼンです。CCO自体の用語は、既に2012年ごろからIC社で使用されていましたが、今年になってより本格的に精緻化されたものです。MROCの専門家が集まるということで、このテーマを選らんだとのことでした。

CCOについての他のプレゼン資料:
http://www.slideshare.net/search/slideshow?searchfrom=header&q=Chief+Consumer+Officer+

● 以下は、今回のそれぞれの発表資料です:

1) 5月13日(火)、インドネシアのジャカルタで行われたESOMARのAPAC会議2014において、Running Research Communities in Asian Marketsと題した資料


Running Market Research Online Communities in Asian Markets - APAC Esomar Conference - Direction First and InSites Consulting from ERICAVANLIEVEN

2) 15日の同日に行われたBest of ESOMAR Japanにおいて、From Co-Creation to Structural Collaboration:How online customer communities reshape businessと題した資料。
 

 
3) 今回のJMRXでの講演資料

The chief consumer officer jmrx from MROC Japan


jmrx45回 from MROC Japan

● 私は2010年ごろからInsites Consulting社の動向を彼らのブログや、ホームページ、MRの国際会議、調査会社が提供する無料のWebinarなでフォローしていますが、彼らのプレゼン資料は、毎度ながらビジュアル重視で、文字が少ないので、内容をフォローするには、集中してプレゼンを聞く必要があります。今回の資料も同様です。

・ ここで重要な用語は、Consumer Consulting Board(CCB: 消費者コンサルティング委員会)と、Chief Consumer Officer(CCO: チーフ・コンシューマー・オフィサー)です。それに、Structual Collaboration(SC:組織的協働)です。

Insites Consulting社は、消費者の共創の場としてのMROCをクライアント企業内の全社運動として展開するためのコンセプトとしてSCを導入しました。

さらにMROCの企業内でのプレゼンスを上げるために、CCBとして位置づけ、そこから得られたインサイトを有効な意思決定、マーケティング・アクションに導くキーパーソンとして、CCOの重要性を強調しています。

日本において、MROCの役割をこのレベルにまで引き上げるには、関係者のさらなる努力が必要かと思われます。

MROCの方法論について、いろいろと議論している調査会社は世界に数多くあるでしょうが、MROCのマーケティング上での位置づけを明確にコンセプト化したのは、IC社が最初かと思います。

この点において、TomやIC社が、MROCの世界のThought leaderと呼ばれるゆえんかと思います。

 ● Insites Consulting社は、1997年に設立されたベルギーの調査会社です。現在130人を越えるスタッフがおり、本社ベルギー(ゲント)の他、ロンドン、ニューヨーク、ロッテルダム、シドニー、ルーマニアにオフィスがあります。

先月、オーストラリアの調査会社と提携して、シドニー・オフィスを開設し、アジア・パシフィック地域への進出を果たしました。

世界進出は、ベルギーの総人口が1,100万人と、東京都よりも少ない国で、調査会社を経営する宿命でしょうが、同時に世界のMROCのリーダーとなるパワーも、それが生み出していると言えるでしょう。
http://www.mrweb.com/drno/news18922.htm

・ Insites Consulting社は、2006年からコミュニティを構築し、MROCについて研究を重ねてきています。

その集大成が、勉強会でもご紹介しましたThe Consumer Consulting Board: Consumers Shaping Your Businessの著書です。
http://www.amazon.com/The-Consumer-Consulting-Board-Consumers/dp/9082056607

・ 30カ国以上で150人を超えるMROCのモデレーターのネットワークを2012秋から構築し、日本でも数人の方が参加されています。

http://www.insites-consulting.com/


● Insites Consulting社のMROC(彼らはConsumer Consulting Boardと呼称。もともとヨーロッパの調査会社は、アメリカで作られた用語であるMROCではなく、Online Research Communitiesの方をよく使います)は、50人ー150人で構成されています。

この50-150人の参加者数は、有名なダンバー数からきています。

ダンバー数は、イギリスの人類学者、進化生物学者であるロビン・ダンバーが定式化したもので、「人間にとって、平均約150人(100-230人)が、それぞれと安定した関係を維持できる個体数の認知的上限」であるというものです。

・ MROCの参加人数をめぐっては、MROCが欧米で普及しだした2000年後半に多くの議論がなされました。300-500人規模を主張する代表がコミュニスペースとすると、比較的少数のMROCを代表するのがInsites Consulting社です。

このブログでも、2010年5月号で、ダンバー数を紹介しました。
http://www.minnanomr.com/2010/05/blog-post_31.html#!/2010/05/blog-post_31.html
http://www.futureofinsight.com/2010/05/dunbars-number-and-mrocs/
http://www.research-live.com/the-size-of-the-matter/4002044.article

● Tomに加えて、(株)ジャパン・マーケティング・エージェンシーの梅津順江様に「日本のMROCの現況と課題」についてご講演いただきました。

MROCに最適な解決課題の整理が参考になります。



● 後半、時間がなくなり、予定していましたインデックス・アイ社の山崎副社長の講演はやむなく中止にさせていただきました。山崎様の講演を聞きにこられた多数の参加者の皆様、またお忙しい中、資料の準備をしていただきました山崎様には本当に申し訳ありませんでした。

山崎様のご好意で資料を共有していただきました。感謝申し上げます。

暗黙知に注目して、MROCにおけるインサイト発見を考察されています。これだけでもJMRX勉強会の1テーマになりそうです。
 

20140515暗黙知の視点からmrocを考える from Haruo Yamasaki

● MROC祭り2015が楽しみです!!!
 

2014年5月9日金曜日

#121 MROC祭り2014開催のお知らせ


<第121回>  2014年5月 

● JMRX第45回目の勉強会を下記の要領で開催致します。
MROCにご興味のある方の御参加をお待ち申し上げます。

【MROC祭り2014 】欧州と日本のMROC


5月15日夕方開催の「ESOMAR Best of Japan」での講演のため、来日されるTom De Ruyck氏を招いて、MROCの海外最新動向をお聞きします。

そして、MROCの日本からの代表としては、ジャパン・マーケティング・エージェンシー梅津順江氏、インデックス・アイ:山崎晴生氏にご登壇頂き、3名による講演と、パネルディスカッションを実施いたします。

なお、Tom De Ruyck氏は、ベルギーに本社のあるインサイト・コンサルティング社のManaging Partnerであり、Consumer Consulting Boardsの責任者。MROCの東(アメリカ)の横綱がコミュニスペース社だとすると、西(ヨーロッパ)の横綱が、インサイト・コンサルティング社です。
http://www.insites-consulting.com/

参考:「ESOMAR BEST OF - JAPAN 2014」
http://bit.ly/QYuKkI
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講師:
 Tom De Ruyck氏 インサイト・コンサルティング社 Managing Partner
 梅津順江氏 株式会社 ジャパン・マーケティング・エージェンシー
 山崎晴生氏 株式会社 インデックス・アイ

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日時:5月15日(木)
開場 13:00~名刺交換
講演 13:30~14:00 「日本のMROCの現状と課題」
        (株)ジャパン・マーケティング・エージェンシー 梅津順江氏
   14:00-15:00 「MROCの世界の最新動向」
             インサイト・コンサルティング社 Tom De Ruyck氏
   15:00-15:30 「MROCをやればインサイトは見つかるのか?」
             ~暗黙知の視点からMROCを考える~
                   (株)インデックス・アイ 山崎晴生氏
   15:30-16:00 「パネルディスカッション Q&A」
                   司会 (株)MROCジャパン 岸川茂氏

会場:渋谷 株式会社ミクシィ 7F会議室 (住友不動産渋谷ファーストタワー7F)

http://kokucheese.com/event/index/171025/


#120 第43回JMRX勉強会報告


<第120回>  2014年5月

 2014年4月25日(金)に、株式会社ミクシィ7Fコラボルームをお借りして、

第43回JMRX勉強会を開催いたしました。


テーマは、

【MRMW in Asia2014(モバイル・リサーチ会議)参加報告】です。
※ MRMW(Market Research in the Mobile World)

2014年3月5日―6日、シンガポールで開催されたモバイル・リサーチの国際会議の参加報告です。

昨年2013年2月28日開催の第36回JMRX勉強会に続いてのMRMW報告会第2弾です。
http://www.mrmw.net/asia-pacific


講師は、MRMWに参加された(株)ミクシィ・リサーチ ミクシィ・リサーチカンパニーCOOの濱野 英和 氏です。


詳細は、http://kokucheese.com/event/index/159074/


●参考資料:



#119 「本質直観」その3: リサーチと本質直観


<第119回> 2014年5月

◆ 前回、ご紹介した水越康介首都大学東京大学院ビジネススクール准教授の『普通の人が、平凡な環境で、人と違う結果をだす「本質直観」のすすめ』(2014年、東洋経済新報社)は、リサーチャーMUST-READの書です。

水越氏も「本質直観を理解すれば、マーケティング・リサーチがどのような役割を果たせばよいのか、いままでとは180度異なる見方ができるようになるでしょう」と、本質直観のリサーチへの有用性を語っています。

今回のブログでは、「本質直観」の活用によって、ビジネスにおける「マーケティング・リサーチ」の有用性が、さらにパワーアップする点について考えたいと思います。

◆ 水越氏は、著書の中で、 

・ 「ビジネスのアイディアを確信するにあたって、マーケティング・リサーチを必要としない経営者は多いように感じます。優れた経営者であればあるほど、その傾向は強いかもしれません」(15頁)と述べ、ソニーの盛田昭夫氏やアップルのスティーブ・ジョブのリサーチ無用論を挙げています。

「ジョブズは、顧客はそもそも答えを知らない。だから自分たちの確信のもとでつくった方がいいのだ」(17頁)

・ 日本の最近の例では、マクドナルドの原田泳幸氏の「リサーチデータにもとづいて経営戦略を立ててはいけない」や、「顧客はマーケティングリサーチで本音を言わない」などのリサーチ否定論の指摘を思い出します (注1)
http://www.keiomcc.net/terakoya/2012/09/sekigaku115.html

・ さらに、水越氏は、「端的に言って、多くのマーケティング・リサーチは信用に足りません」(3頁)と主張しています。そして、

「多くのマーケティング・リサーチは、手法そのもののというよりは、その手法が不可避に前提とする考え方の面で、大きな問題を抱えているからです。これをなんとかしないかぎり、どんなに手法を洗練させても結果は変わりません」(22頁)。さらに、

問題の根幹は顧客が大事だという顧客志向の理解がまずい点にあります。まずい理解のまま『顧客志向』を行動に移したとき、つまり顧客へのマーケティング・リサーチを行い、その結果を何かしらの「事実」として経営の意思決定に役立てようと考えたとき、悲劇が起こるのです」(22-23頁)

・ しかし、水越氏は、リサーチの価値を否定されているわけではありません。続けて、

「けれどもそれは、使い方が決定的に間違っていたためであり、マーケティング・リサーチが不用ということではないのです」(3頁)。

また、リサーチの使い方について以下のように説明しています。

 「マーケティング・リサーチを通じて得られた情報は、自らの確信を自らが問い直し、鍛え上げるための材料です」(28頁)とし、
「本質直観」によって、リサーチの新たな有用性が見えてくるべています (注2)

● 前回のブログで見たように、水越氏は、ビジネス・インサイトを得るには、本質直観の理解が不可欠であると提案されています。

しかし、この本質直観は、単に「自分で考えることの重要性」(22頁)を強調しているだけではありません。それ以上のものを意味しています。

つまり、「自分の確信から始め」(24頁)、「相手が答えを持っているとは考えないことが重要」(48頁)であり、自分の確信の根拠(理由)を自分自身に問い直してゆく作業です。

● ところで、リサーチは、科学(サイエンス)です。

対象事象を従属変数(Y)と独立変数群(X)に分解し、記述(description)、説明(explanation)し、因果関係を明らかにすることによって、現象を「予測」(prediction)する必要があります。つまり、「理論」化の作業です。この際、仮説検証が重要な作業になります。

・ しかし、リサーチは、あくまでも「過去に起こった現象」のリサーチ=「過去のリサーチ」です。

過去(の購買行動)から未来(の購買行動)を予測しようと、さまざまな解析技術を駆使しますが、それには限界があります。

・ 将来の消費行動を予測する上で、過去に生起した現象の方程式に、「インサイト」が加味されれば、その予測力はアップされると考えられます。

言い換えれば、既知の購買促進要因だけから将来の販売量を予測するよりも、インサイト調査から発見された新たな販売促進アイディアを加えた予測の方が精度は上がるでしょう。

つまり、将来の行動を予測する「未来のリサーチ」には、本質直観から生まれたインサイトが重要な役割を果たすと推測されます。

・ さらに、本質直観の考え方によって、リスク低減や最適化のための従来の検証型リサーチと、インサイト・リサーチが統合されることにもなります (注3)

● マーケターを評して、ときどき「ドテ勘」(ヤマ勘)タイプと、「データ・ドリブン」 (data driven)タイプという言葉を使うことがあります。

前者は、調査結果をあまり重視せず、その人の経験からくる直観に基づいて意思決定するタイプのマーケターです。

逆に、後者は、調査結果=データを根拠に意思決定・アクションをするタイプです。

・ 調査を実施し「数字で語る」リサーチャーにとって、クライアントのマーケターの方が、調査結果を軽視するような時には、もっとデータドリブン、つまりもっとデータに基づいて判断をしてほしいと思う時があります。

特に、多変量解析などを用いた調査結果に対して、自分のわからないことに対しての拒否反応や思考停止から否定的に評価される時などです。

「調査のやり方や調査対象者に問題があるのではないか」とか、「あくまでも調査結果は調査結果として参考に」などと言われる場合があります。

・ しかし、ドテ勘タイプは、否定的意味合いで使われることが多いように思われますが、本質直観の観点からは、あながち否定的でないかもしれません。

水越氏も指摘されているように、

「少なくとも優れたマーケターの多くは、データはそれ自体では何も語らず、自分で考えることが大事だと思っているはずです」(126頁)

もし、そのドテ勘が、本質直観によって生まれたものであれば、それは無視できないかもしれません。

・ 一方、よく肯定的に取られがちなデータドリブンの考え方も、本質直観からすると、注意が必要かもしれません。

水越氏も、「本質直観は、ビッグデータや統計分析がもてはやされ、データ市場主義的にさえ感じられる、昨今のビジネスの現場を見つめ直す試みでもあります」(2頁)や、

「肝心要のアイディアを生み出したい、新たなビジネス。モデルを創造したい、顧客のニ-ズをとらえたいというときには、ビッグデータも統計も直接的に役立ちはしない、そう思うのです」(240頁)、

「自分自身がしっかりとものごとを考える。データに振り回されず、かつ自己満足で終わりもしない。そうして生産的なアイデアを作ってゆくための具体的な方法が、本質直観なのです」(2-3頁)と、数字やデータの過信を戒めています。

上で引用した優れた経営者のリサーチ不用論も、現場のマーケターのリサーチやデータの過信を抑止する側面もあるかと思います。

・ 要するに、経験や勘と、データとの両者のバランス感覚が、マーケターにとって肝要であると言えるでしょう。

● 上で述べたように、リサーチが、本質直観の「材料」であるならば、リサーチは、本質直観を行うマーケターに、よい「材料」を提供する必要があるかと思います。

そのヒントのいくつかを水越氏は提供しています。

・ 例えば、「データよりずっと重要なのは、何かに驚き、気づき、何かを確信できる自分の存在です」(241頁)、

「この驚きこそが私たちが求める新しいリサーチの目的だし、さらには本質直観を始める契機なのです」(103頁)

すなわち、リサーチも、マーケターに「驚きや感動を与える調査」や「マーケターの脳に刺激を与える調査」を実行する必要があります。

「アッハー(Aha)」と思ったり、「なるほど」、「あっ」、「そう言えば」など目から鱗や共感など、これからは、事前に調査票が構造化された想定内の調査ではなく、驚きや気づきを与えてくれる「想定外の調査」が重要になるかと思います。

● さらに、「マーケティング・リサーチでなにより重要なのは、マネジャーレベルでの目的であり、仮説です。その確たる目的や仮説の創造性や独創性ことが差別化の源泉なのであり、マーケティング・リサーチはその目的や仮説の正しさを同質的に、すなわち客観的に判定する手段として価値をもつと言えます」(179頁)と、

調査立案における確たる目的や独創的な仮説の重要性を指摘しています。

氏も引用されている内田和成氏の「仮説思考」にも、「よい仮説は、経験に裏打ちされた直感から生まれる」(196頁)とあり、So What?を常に考えることの重要性が述べられています。
 

◆ 現在のマーケティング・リサーチに最も求められていることは、

実態を正確に測定したり、リスク低減や最適化のためのより有効な検証テストを開発することではなく、

ビジネスに役立つ=売上やシェア・アップにつながる革新的なアイディアを生み出すインサイト創出型のリサーチの開発・実施です。

以上見てきたように、「本質直観」思考は、この現在のリサーチ・ニーズに、非常に合致した考え方だと言えるでしょう (注4)


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(注1)
原田氏のリサーチ論:
「原田氏の言う「リサーチデータ」とは、基本的に「お客様の声を聴く」ということですが、お客様の声はあくまで過去の経験に基づくものです。今後の新たな機会を生み出すことにはそれほど役には立ちません。今後の機会は、新たに創造するものだからです。そこで、原田氏は、部下たちには「自分の信じる商品をつくるように」と話しています。そして、リサーチデータは、実際につくったものがどの程度受け入れられているかを「自己検証」するために集めるものだそうです。原田氏は、新たに創造するものはお客様の期待値、これまでの経験を超えるべきだと強調します。すなわち、お客様を感動させるくらいの商品を生み出すべきであり、そのためには、論理的、IQ的に考えるだけでなく、情緒的、EQ的な発想が必要なのだそうです。」原田泳幸

「リサーチは結果的に企業の質を検証するためにあればいい」
http://systemincome.com/main/kakugen/tag/%E5%8E%9F%E7%94%B0%E6%B3%B3%E5%B9%B8
「『事業企画は絶対にリサーチで立てるな』『お客さまにリサーチして商品企画を計画しても絶対に失敗する。自分が信じるものをお客さまに提案しろ』」
http://www.recruit-ex.co.jp/roadtoceo/vol22.html

(注2)
● リサーチは、マーケターの本質直観作業に対する材料の提供の役割を果たすとはいえ、リサ-チャー自らも本質直観を実践すべきであることは言うまでもないと思います。

材料提供のサプライヤーに徹する、悪く言えばその作業を放棄することは、リサーチャー自らの自滅行為かと考えます。
 

(注3)
● 個人的には、リサーチは、「頭の体操」(思考力トレーニング)の材料(刺激)の提供だと考えています。

調査の方法が、絶対に正しいとは確信がもてません。データの品質についても同様です。自分の目ですべてのデータ収集を確かめることは不可能です。

また絶対に正しい結果であっても、それがビジネス上での成功を保証するものでもありません。

・ 例えば、調査の結果において、製品Aが製品Bよりも、統計的に有意差(1%の有意水準)をもって、より優れていたとしても、製品Aの市場導入が、売上やシェアの増加を保証するものではありません。

ご存じのように、マーケティングでは、製品以外にも、営業や広告、販促など、その他のさまざまな要因が、足し算でなく、掛け算として、売上結果に影響を与えることになるからです。

・ 調査の仕事を1年もすれば、そのことに気づくかと思います。

調査はあくまでも「手段」であり、「目的」ではありません

事業会社のリサーチャーですらそのように感じますので、クライアント企業の意思決定からさらに遠いところで、リサーチにかかわる調査会社のリサーチャーの(意思決定に与える影響力に対する)「無力感」は、さらに大きなものになります。

水越氏曰く、

「なかでもいちばん不幸なのは、マーケティング・リサーチやリサーチャーたちかもしれません。彼らは、本当にまじめにデータを洗い出し、分析を試みているはずです。顧客の本心なるものを抽出する苦労をいちばんわかっているのは、その作業を実際に行う人々でしょう。そこで得られたデータが根本的なところで信じられていないにもかかわらず、言い訳のために利用され、現実をドライブさせてしまっている。そして結果として、失敗している、これは悲劇でしょう」(リサーチなんて誰も信じていない?21頁)

・ 調査を行う上で、プロのリサーチャーとして、「科学としての調査の妥当性や信頼性」を確保する必要はありますが、所詮ビジネスは「勝てば官軍」ですので、調査結果に固執することには大きな意味はないと感じます。

・ 個人的では、「本質直観は、頭の体操の1つの有効な方法論を提供してくれるもの」と理解しています。


(注4)
● ビジネスの世界ではあまり聞かれない「論理実証主義」の言葉を久しぶりにきいた感じです。大学の2年の時にアルフレッド・エイヤーThe Foundations of Empirical Knowledgeの本を使った英書購読の授業に出席したのを思い出しました。当時はまだ翻訳がなかったので苦労して読んだ記憶があります。

● 社会・人間現象に自然科学的な考え方を応用した「行動科学」(Behavioural science)、特に「心理学」の面からリサーチの世界に入ったリサーチャーである私には、正直少し違和感を感じた部分もありました。

例えば、

無意識や潜在ニーズなどの目に見えないものに対する測定への疑問の提示です。

心理学が扱う態度や意識、パーソナリテイ、動機などの多くは、目に見えないとか手でさわることができない、いわゆるアン・タンジブルなものです。心理学では、それらに対して、「構成概念」(construct)、すなわち「行動を観察する事から、構成された抽象概念」の考え方を用い対応しています。


・ また本質直観作業でマーケターの脳の中に構築されるものは、心理学で考える「認知構造」 (cognitive structure/map)に該当するかと思います。 本質直観作業によって、さらにその構造が精緻化されることになると考えられます。
 

2014年4月29日火曜日

#118 「本質直観」その2: MROCと本質直観


<第118回>   2014年4月

◆ 前回、ご紹介した水越康介首都大学東京大学院ビジネススクール准教授の『普通の人が、平凡な環境で、人と違う結果をだす「本質直観」のすすめ』(2014年、東洋経済新報社)は、リサーチャー必見の書です。

今回は、本質直観の視点から、MROCの可能性を探りたいと思います。


すなわち、「本質直観型MROC」の提案を行いたいと思います。

◆ ご存じのように、MROCが登場した背景には、既存のネット調査の参加率やデータ品質が低下し、グループインタビューの限界が指摘されるなど、経営者やマーケターがリサーチに期待する消費者「インサイト」が、従来のリサーチでは発見しづらくなってきたという現実がありました。

・ つまり、MROCはインサイト創出の有力な新しいリサーチ方法として期待されて登場しました。

MROCの名付け親であるアメリカ・フォレスター・リサーチ社のブラッド・ボートナーも、その論文「Web2,0はマーケット・リサーチを変革するだろうか?」(2008年4月)の中で、

「マーケット・リサーチ・オンライン・コミュニティズ(MROCs)は、従来の定性リサーチの世界に衝撃を与えた。なぜならMROCは、安くて、早くて、かつグルインなどの伝統的な定性リサーチの手法が現在提供できていない新しいタイプのインサイトを創出することができるからである」

と述べています。
 
Will Web 2.0 Transform Market Research?
http://www.forrester.com/Will+Web+20+Transform+Market+Research/fulltext/-/E-RES44159

そして、アメリカのコミュニスペース社が実際に実証したように、欧米の市場では、従来の調査では発見されなかったマーケティング活動に有効な数多くのインサイトが、MROCによって抽出されました。http://www.communispace.com/Home/

・ 言い換えれば、日本のリサーチャーも、MROCを活用して、インサイトを創出する努力をする価値があると言えるでしょう。

● MROC元年といわれる2011年の導入以後の日本におけるMROCの成果はどうでしょうか?

・ 供給側である調査会社と、需要側であるメーカーなどの事業会社とも、MROCに対する評価は、大きく2分されているのが現状かと思います。

・ 上記のボートナー氏は、MROCの3つの価値は、①早くて、②安くて(コストと成果から見て妥当な価格)、③有効なインサイトであると指摘しています。

これら3つの観点から、日本のMROCを見ると、

・ 6人2時間の従来のグルインと比較して、例えば1ヶ月50人のMROCは、消費者の実態や意識を把握できる量は圧倒的に優れています。MROCによって、より詳細な情報を得ることが可能になりました。しかも、発言録の入力作業は不要です。

MROCでは、1グループ、2時間の制約はありませんので、何度もプロービングを行ったり、生活に密着して、購入や消費の現場(MOT:moment of truth) からの消費者の声を聞くことができます。

・ しかし、その情報量の多さが同時に、供給・需要側双方の作業負担を大きくし、必ずしもタイミング的に早くなく、価格的にも、コストにみあう成果=有効なインサイトが得られないという声も多く聞かれることもまた事実です。

-3日で終了する手離れの良いグルインに慣れている定性リサーチャーの方にとって、運営のために、土日や1日24時間拘束される可能性もあります。

さらにコミュニティ終了後も、膨大な発言録と格闘しなければいけないMROCの負担感は大きいものです。

● そのような重い負担感の中で、実施されている現状のMROCの多くは、いわゆる「グルイン型MROC」と呼べるかと思います。つまり、グルインのオンライン版です。

さらに言い換えますと、2時間のグルインのディスカッション・ガイド(フロー)の1ヶ月拡大版であり、Asking型MROCと呼べるものです。

● 本来MROCは、従来のAsking型から脱却した新しい調査手法、つまりListening型の手法です。

・ 企画側が考えた仮説をベースにした質問群を一方的に調査対象者に尋ねてゆくQ&A方式のAskingではなく、MROCの参加者間の自発的な会話を「傾聴」する、あるいは会話やアップされた画像や映像(セルフ・エスノ)を「観察する」Listening作業です。

その中から、想定外の気づきや発見、驚き、Aha!と思う瞬間があり、そこに「インサイト」があると考えられています。

・ 2011年10月に、アメリカ・マイアミで開かれたコミュニスペース社のMROCのワークショップに参加した折、講師のマニラ・オースティン女史(Vice president of Research at Communispace)は、コミュニスペースのMROCの他社に対する優位性は、「参加者による自発的な問題提起の高さにある」と自慢げに話していました。


このことは、ソーシャル分野におけるエポックメーキングな著書であるシャーリーン・リーとショシュ・バーノフの「グランズウエル:ソーシャルテクノロジーによる企業戦略」の中でも紹介されています。

コミュニスペースが運営して成功した米国総合がんネットワークのコミュニティの中で議論された76のお題のうち、実に76%にあたる58のお題が、参加者から自発的に出されたものでした。(116頁。2008年、翔泳社)

モデレータ(コミュニスペースでは、コミュニティ・マネジャーのことを「ファシリテータ」と呼称)からの一方的な「お題」の提供ではなく、参加者が問題点と思ったお題を自ら提起し、参加者同士で議論しあうというものです。

・ 事前に作成したディスカッション・ガイドに基づかない参加者の自発的な議論の中に、想定外の驚きが含まれる可能性は高いように感じます。

その中に企業やブランドが抱える真の問題・課題が含まれているかもしれません。

逆に、間違った仮説に基づいたAskingから得られた(想定範囲内の)結果の有効性は、低いと考えられます。

従って、想定外の気づきや驚きのあるMROCの実施が望まれます。

・ この「相手に聞くのではない」ことや、「驚きの発見」は、まさに「本質直観」に通じるものがあります。
 

前回のブログで参考文献として紹介した山崎氏は、「MROCも本質直観のアプローチ」であると指摘されています。

山崎晴生氏「本質直観の視点からmrocを捉え直すhttp://sssslide.com/www.slideshare.net/haruoyamasaki/20140310-mroc-32097647

● 前回述べたように、本質直観のエッセンスは、驚き⇒確信⇒問い直しの自己作業サイクルです。

1ヶ月やそれ以上のMROC実施期間を通して、対象カテゴりー製品やサービスについての事前にある知識や経験からえた直観から確信を得て、それらを問い直す作業を繰り返しながら、MROCを進行させる。そこからインサイトを抽出してゆく。

そんな「本質直感型MROC」はどうでしょうか?

数時間のワークショップと比較して、MROCの方は時間的に、より多くの「問い直し」作業の繰り返しが可能かと思います。またワークショップでは、限られた時間内での問い直しが必要ですが、MROCはより時間的ゆとりがあるかと思います。

単に事前に決められたことをQ&A方式で、期間中に尋ねて、その回答内容を要約するグルイン型MROCに対して、問題を「自分の課題」として考え、じっくり丁寧に「問い直し」の作業を重ねる本質直観型MROCの実施が望まれます。

・ マーケティング・リサーチャーは、社会調査や世論調査のリサーチャーではなく、「マーケティング」のリサーチャーです。つまり、リサーチの対象、目的が「マーケティング」です。単なるデータ供給者(サプライヤー)ではなく、マーケティング活動への提案力が要求されます。

それゆえに、マーケターにだけまかせないで、リサーチャーも、マーケティング課題と格闘するさまざまな製品やサービスのカテゴリーにおいて、本質直観のトレーニングを行うことは、リサーチおよびリサーチャーのレベルをアップする上でも重要なことかと思います。

・ もちろん、製品カテゴリーやブランドに最も詳しいマーケターが、積極的にMROCに参加して、リサーチャーと、本質直観作業を協働することが望ましいことは言うまでもありません。

信頼をベースにして、リサーチャーとマーケターとの「共同しての構築作業」(232頁)を通じて「お互いの認識の再構築」が期待されます。

◆ 以上のように、MROCが本来期待されているインサイト創出の役割を果たすためには、本質直観型MROC実施が望まれます。

リサーチャーが、本質直観型MROCを実践することによって、マーケティング活動に有効な消費者インサイトが、MROCからより多く発見されることを期待します。

 

#117 「本質直観」その1:インサイト・コミュニティと本質直観


<第117回>  2014年4月

◆ 水越康介首都大学東京大学院ビジネススクール准教授、『普通の人が、平凡な環境で、人と違う結果をだす「本質直観」のすすめ』(2014年、東洋経済新報社)の中で、本来哲学用語である「本質直観」をビジネス、特にマーケティング活動において活用することを提案されています。

・ 今回のブログでは、マーケターやリサーチャーの方が、本質直観を実践する上で、ビジョン・クリティカル社の「インサイト・コミュニティ」という新しいリサーチ・プラットフォームが役立つのではないかと考え、本質直観を究めるツールとしての「インサイト・コミュニティ」の活用を提案致します。

 本質直観とは、ビジネス上で、生産的や革新的、創造的な優れたアイディア=ビジネス・インサイトを生み出すための思考方法です。

より具体的には、ある現象に接した時の驚きや直観(知覚体験)から得た自身の「確信」の確からしさや真偽を、独断ではなく、日常世界に支えられた一般性を有するレベルにまで、外部にたよることなく、自分自身の問題として真摯に、確信の根拠を「問い直す」方法です。

水越氏は、安易にデータを妄信するのではなく、自身の確信を大切にし、驚きや気づき、確信できる「自己」の思考力を高めることによって、自己の確信のレベルを強化することの重要性を強調しています。

・ 本質直観の文脈において、「マーケティング・リサーチ」は、最初の直観を得たり、自らの確信を自らが問い直し、鍛え上げるための「材料」(28頁)として位置づけられています。

「調査から得られたデータ」も、本質直観作業によってトレーニングされた個人によって、はじめて優れたビジネス・インサイトに昇華される可能性が高まると考えられます。

言い換えますと、リサーチの成否や良し悪しは、本質直観にすぐれたマーケターやリサーチャーによるところが大きいとも言えます。

 水越氏はさらに、本質直観を行うにあたって大事だと思うことは、「多くの知見に日常的に触れていること」であり、その知見に対して、「自分の問題として考え」、さらに「切実な問題として深く考える」ことだと指摘されています。(218頁)

しかし、現実問題として、マーケターやリサーチャーが、頻繁に繰り返しリサーチから「知見」を収集することは、予算的にも、時間的にも難しい面があるかと思います。

通常のアドホック調査では、企画を考え、調査対象者のリクルートを行い、調査を実施して、分析結果を出すまでには、多くの時間と費用がかかります。

さらには、定性調査と定量調査も、別々のアドホック調査として行われますので、さらに時間と費用がかかります。

● しかし、インサイト・コミュニティでは、1つのプラットフォームの中で、調査ごとに、新規の調査対象者のリクルートを行うことなく、定性調査と定量調査を迅速かつ、低コストで簡単に行うことが可能です。

なぜなら、インサイト・コミュニティは以下のような特徴を持っているからです。

インサイト・コミュニティについて:http://www.slideshare.net/Experidgejapan/ss-33925399
http://www.visioncritical.com/

・ まず、インサイト・コミュニティは、新しいマーケティング・リサーチのシステムです。

「コミュニティ」という単語がつきますが、MROC(Market Research Online Communities)ではありません。

・ 従来のグルインのような「定性調査」や、ネット調査のような「定量調査」を1つのプラットフォーム上で、早く、安く、いつでも、どこでも実施することを可能にした新しい調査プラットフォームです。

・ 上記の従来の調査はすべて、単発で実施・完了するいわゆる「アドホック調査」と呼ばれるものです。

アドホックの反対の言葉は、トラッキング調査です。多くの場合、調査対象者は、条件構成は同じですが、異なった対象で行われます。例外は、同じ人で行う「パネル調査」です。

インサイト・コミュニティでは、ブランドや商品のユーザーである「顧客」(カスタマー)をコミュニティ化して、同一の人に「各種の調査を継続的に実施」することが可能です。それゆえに、インサイト・コミュニティは、「コミュニティ・パネル」とも呼ばれています。

・ サーベイ・モンキーに代表されるDIY調査ツールは、オンライン上で簡単に調査実施を多くの人に可能にした点で、リサーチ史上、画期的なことでした。

しかし、調査を実施する相手、すなわち「調査対象者」が存在しなければ、調査を完了することができません。インサイト・コミュニティの場合、調査ツールを備えたプラットフォームの中に、調査対象者としてのコミュニティ・メンバーが常時存在しています。それゆえに、調査のたびに、対象者条件に基づいてリクルート作業を行う必要がありません。そのための余分な時間も費用も不要になります。つまり、インサイト・コミュニティでは、早く、安く、簡単に調査が実施できるわけです。

・ PCだけでなく、タブレットやスマートフォンからでも調査が可能ですので、参加メンバーが、調査のタイミングや目的によって、調査デバイスを使い分けることができます。ゆえに、いつでも、どこでも、消費者の生活に密着した調査が可能です。

・ 調査対象者をコミュニティ化することによって、参加者のエンゲージメントを上げ、参加率が高く、本音を引き出すことによって、より深い消費者理解をえることが可能です。

・ さらにコミュニティ化によって、同一の消費者の声を継続的に聞くことが可能になっています。


・ マーケターやリサーチャーが、自身の机上のPCを使って、本質直観の材料となる多くの調査知見をより深く、正確に、継続的に、迅速に効率よく収集することができます。

簡単に多くの知見に接することによって、自身の「確信」をよりブラッシュアップすることが容易になります。

◆ 以上のように、

日常の生活に密着したインサイト・コミュニティが、

マーケターやリサーチャーに、

顧客や消費者の毎日の生活と向き合いながら、日常的に「気づき」や想定外の驚きを得て、「確信」を実感し、消費者の「生活世界」をベースに、それらを「問い直し」続ける「本質直観」の作業のための

有効で、簡便な場を提供できると考えます。

それによって、リサーチャーやマーケターが、有効なビジネス・インサイトを発見する可能性が高まればと思います。

本質直観のツールの1つとして、今後インサイト・コミュニティが広く活用されることを期待します!

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<参考>

● 以下は、「本質直観」の理解を深めていただくために、著書の中からいくつかの説明を引用しました。ご参照下さい。

本書は、リサーチャー必読の書だと思いますので、興味ある方はぜひ購入されて、じっくり読んでいただければと思います。Kindle版で1140円です。

本書のタイトルから一見、マーケティングの本とは思われなかったり、売り場がマーケティングのコーナーでなかったりするのは少し残念です。

本質直観について:

・ 『本質直観とは、私たちが「本質を捉えた」と確信していることそれ自体を手がかりとして、むしろその根拠を疑い、問い直す作業』(1頁)と定義しています。

直観は、「直感を鍛え上げる、あるいは問い直す感じ」と、本能的な「直感」と区別しています。

● 「本質直観」とは、「自分自身が直感から得た確信の確からしさを問い直す方法」であると定義されています。

・本質直観は、リサーチ結果を鵜呑みにせず「自分で考えること」以上の事を意味しています。

・「だた1つどんなときにも確かなのは、あたな自身が持つあたなの確信だけだということです」(24頁)

・「確からしさをより強く確信するために、ひいては多くの人々に受け入れてもらうために、・・・自分の心を問い直すという作業をつねに行ってきた」(25頁)

・「自分の確信を、どれだけ自らのうちで鍛え上げられるかにかかっているのです」(26頁)

・「他人ではなく自分自身にその確信を問い直すことによって、その確からしさを高めようとしてきたのです」(27頁)

・「他人がどう思っているかではなく、自分自身のなかで自分の確信の理由を問い直す」(27頁)

・「自分の確信といっても、改めて考えてみると、結局は他人の意見であったり思いであったりに影響を受けていて、それは自分の日常の生活に支えられた一般性を有する(あるいは有さない)ということが理解できるようになっていきます」(28頁)

・「ビジネスのアイデアを手に入れるためには、相手をリサーチしても仕方がない、なによりリサーチするべきは、あなた自身の確信の根拠だということです」(46頁)

・「何かを気づく瞬間がある。この気づきの意味するところを自らのうちに遡って問い直すことによって、その確からしさが確認できるようになる」(125頁)

・「答えは顧客の側にではなく、己のうちにあると考える」(128頁)

・「何かしらの問題を量的に数え上げられるという仮定の下で収集されたデータを見ることを通じて、経営者やマーケターが自らの考えの枠組みを問い直す」(158頁)

・「そもそも外部に答えがあると考えない新しいリサーチの可能性を確認」(159頁)

● 本質直観に通じるリサーチの方法として、「オブザベーション」や「内観法」が、本質直観の視点から考察されています。

・オブザベーションでは、「最も大事なのは、消費者の側に答えがあると思わないことです。そうではなく、徹底的な観察を通じて自らが驚くこと、おして驚いたときに自らの内に宿るビジネスのアイディアを感じ取ることです」(104頁)

・「インタビューは何かの理由を明らかにしたり、その説明を行うためではなく、あくまでも生活世界の記述を行われるものです。・・・理由を考えてしまう以前に、その基盤となる生活世界のありようを明らかにしておこうということなのでしょう」(142頁)

・「本質直観をインタビューに応用する場合、重要になるのは、相手の発言の真意を確かめることではなく、発言それ自体を1つの事実として確定させたうえで、その発言を可能する世界のありようを明らかにしていくことだと思います」(144頁)

● さらに、「本質直観」と、「マーケティング・リサーチ」の関係については、

・「マーケティング・リサーチによって得られたデータは、まずは直感を得る材料として活用される・・・本質直観として最初の直感から得た確信を探るなかでも有益な事例となります。旧来のデータは、正しさを判定するというよりは、面白いアイディアを発見したり考え直したりするための材料の役割を担うのです」(162頁)

さらに、「マーケティング・リサーチを通じて得られた情報は、自らの確信を自らが問い直し、鍛え上げるための材料です」(28頁)

・つまり、リサーチは、本質直観の有力な材料の提供手段として位置づけられています。


<参考文献>

1)山崎晴生氏「本質直観の視点からmrocを捉え直すhttp://sssslide.com/www.slideshare.net/haruoyamasaki/20140310-mroc-32097647
著者の結論は、「MROCを成功させるためには、企業担当者の深い関与が不可欠となる」「リサーチ会社に丸投げのMROCは成功しない!」

2)水越康介氏まずは自分に注目せよ!本質直観のすすめ:哲学の方法をマーケティングに取り入れるということ」
 http://toyokeizai.net/articles/-/20178

3)http://mizkos.jp/data/2013/10/post-16.html
http://ddnavi.com/review/190434/
http://www.repository.lib.tmu.ac.jp/dspace/bitstream/10748/5501/1/10650-001.pdf#search='%E6%9C%AC%E8%B3%AA%E7%9B%B4%E8%A6%B3'

本書の目次>
第1章 優れた経営者は直観する
第2章 ソーシャルメディアから本質直観を考える
第3章 本質直観とは何か
第4章 誰のどんな声を聞いてどう応えるか?
第5章 市場志向がめざすものとは?
第6章 無意識は取り出せるか?
第7章 過去をたどって自分自身を問い直す
第8章 「質」と「量」の見かたを根本から更新する
第9章 リサーチを生かす組織の仕組み
第10章 ビジネス・インサイトの本質直観
第11章 本質直観の本質直観
第12章 直観をどうやって伝えるか(という問いは必要か?)

 

2014年4月17日木曜日

#116 「図解入門最新マーケティング・リサーチがよーくわかる本」無料公開のお知らせ


<第116回> 2014年4月

・2009年に秀和システムより刊行されました拙著「図解入門最新マーケティング・リサーチがよーくわかる本」のデジタル原稿のリンクをアップ致しました。ご参考になれば幸いです。









#150 レイ・ポインターのMR白熱教室2015 第4回(最終回)報告

<第149回> レイ・ポインターのMR白熱教室2015 第4回(最終回)報告 2015年6月23日 ● 第4回目のテーマは、 『データからストーリーテリング』 でした。 ● 7月にレイとの懇親会を予定しております。世界のMRのソート・リーダー(thought ...