2014年5月20日火曜日

#122 第45回JMRX勉強会報告: MROC祭り2014


<第122回>  2014年5月

● 2014年5月15日(木)、Mixi会議室にて、ベルギーのインサイト・コンサルティング社のTom De Ruyck氏をゲストにお招きして、「MROC祭り2014」と題して開催致しました。http://kokucheese.com/event/index/171025/


● ご講演を快諾して下さった講師の皆様、会場を提供してくださったMixiリサーチの濱野社長、お忙しい中参加くださった皆様、通訳をお願いしたニールセンの黒田様、有難うございました。
特に、日本のMROC分野で活躍されておられる多数の優秀なリサーチャーの方々のご参加をいただきまして、誠に有難うございました。

2,000円の参加費に見合った業務に役立つ有益な情報を提供することができたかどうかは自信がありませんが、今後ともJMRXをよろしくお願い申し上げます。
時間がなく、個別にご挨拶ができずに残念でした。

● メイン・ゲストのDe Ruyck氏は、今回のアジア・パシフィック地域の訪問中に、以下のMROCについての3つの講演を行いました。

・ 第1は、ESOMAR APAC会議でのアジアにおけるMROC拡大の可能性についての講演。
http://www.esomar.org/events-and-awards/events/global-and-regional/asia-pacific-2014/213_asia-pacific-2014.programme.20140513.php

・ 第2は、ESOMAR BEST of Japan 2014において、彼の所属するInsights Consulting社(IC社)のMROCの主要商品であるConsumer Consulting Board (CCB)の説明。
http://www.esomar.org/uploads/public/events-and-awards/events/2014/local-activities/esomar-best-of/boe-japan/ESOMAR-Best-Of-Japan-2014_programme.pdf

このCCBの考え方は、2012年ごろからプレゼンされています(本人は、考え方は2011年に完成したと言っていました)。より一般的な聴衆が参加される会議であるということで、CCBをテーマに選んだとのことでした。

CCBについての他の会議でのプレゼン資料参照:
http://www.slideshare.net/search/slideshow?searchfrom=header&q=Consumer+Consulting+Board+

・ 最後の第3は、今回のJMRXでのChief Consumer Officer (CCO)のプレゼンです。CCO自体の用語は、既に2012年ごろからIC社で使用されていましたが、今年になってより本格的に精緻化されたものです。MROCの専門家が集まるということで、このテーマを選らんだとのことでした。

CCOについての他のプレゼン資料:
http://www.slideshare.net/search/slideshow?searchfrom=header&q=Chief+Consumer+Officer+

● 以下は、今回のそれぞれの発表資料です:

1) 5月13日(火)、インドネシアのジャカルタで行われたESOMARのAPAC会議2014において、Running Research Communities in Asian Marketsと題した資料


Running Market Research Online Communities in Asian Markets - APAC Esomar Conference - Direction First and InSites Consulting from ERICAVANLIEVEN

2) 15日の同日に行われたBest of ESOMAR Japanにおいて、From Co-Creation to Structural Collaboration:How online customer communities reshape businessと題した資料。
 

 
3) 今回のJMRXでの講演資料

The chief consumer officer jmrx from MROC Japan


jmrx45回 from MROC Japan

● 私は2010年ごろからInsites Consulting社の動向を彼らのブログや、ホームページ、MRの国際会議、調査会社が提供する無料のWebinarなでフォローしていますが、彼らのプレゼン資料は、毎度ながらビジュアル重視で、文字が少ないので、内容をフォローするには、集中してプレゼンを聞く必要があります。今回の資料も同様です。

・ ここで重要な用語は、Consumer Consulting Board(CCB: 消費者コンサルティング委員会)と、Chief Consumer Officer(CCO: チーフ・コンシューマー・オフィサー)です。それに、Structual Collaboration(SC:組織的協働)です。

Insites Consulting社は、消費者の共創の場としてのMROCをクライアント企業内の全社運動として展開するためのコンセプトとしてSCを導入しました。

さらにMROCの企業内でのプレゼンスを上げるために、CCBとして位置づけ、そこから得られたインサイトを有効な意思決定、マーケティング・アクションに導くキーパーソンとして、CCOの重要性を強調しています。

日本において、MROCの役割をこのレベルにまで引き上げるには、関係者のさらなる努力が必要かと思われます。

MROCの方法論について、いろいろと議論している調査会社は世界に数多くあるでしょうが、MROCのマーケティング上での位置づけを明確にコンセプト化したのは、IC社が最初かと思います。

この点において、TomやIC社が、MROCの世界のThought leaderと呼ばれるゆえんかと思います。

 ● Insites Consulting社は、1997年に設立されたベルギーの調査会社です。現在130人を越えるスタッフがおり、本社ベルギー(ゲント)の他、ロンドン、ニューヨーク、ロッテルダム、シドニー、ルーマニアにオフィスがあります。

先月、オーストラリアの調査会社と提携して、シドニー・オフィスを開設し、アジア・パシフィック地域への進出を果たしました。

世界進出は、ベルギーの総人口が1,100万人と、東京都よりも少ない国で、調査会社を経営する宿命でしょうが、同時に世界のMROCのリーダーとなるパワーも、それが生み出していると言えるでしょう。
http://www.mrweb.com/drno/news18922.htm

・ Insites Consulting社は、2006年からコミュニティを構築し、MROCについて研究を重ねてきています。

その集大成が、勉強会でもご紹介しましたThe Consumer Consulting Board: Consumers Shaping Your Businessの著書です。
http://www.amazon.com/The-Consumer-Consulting-Board-Consumers/dp/9082056607

・ 30カ国以上で150人を超えるMROCのモデレーターのネットワークを2012秋から構築し、日本でも数人の方が参加されています。

http://www.insites-consulting.com/


● Insites Consulting社のMROC(彼らはConsumer Consulting Boardと呼称。もともとヨーロッパの調査会社は、アメリカで作られた用語であるMROCではなく、Online Research Communitiesの方をよく使います)は、50人ー150人で構成されています。

この50-150人の参加者数は、有名なダンバー数からきています。

ダンバー数は、イギリスの人類学者、進化生物学者であるロビン・ダンバーが定式化したもので、「人間にとって、平均約150人(100-230人)が、それぞれと安定した関係を維持できる個体数の認知的上限」であるというものです。

・ MROCの参加人数をめぐっては、MROCが欧米で普及しだした2000年後半に多くの議論がなされました。300-500人規模を主張する代表がコミュニスペースとすると、比較的少数のMROCを代表するのがInsites Consulting社です。

このブログでも、2010年5月号で、ダンバー数を紹介しました。
http://www.minnanomr.com/2010/05/blog-post_31.html#!/2010/05/blog-post_31.html
http://www.futureofinsight.com/2010/05/dunbars-number-and-mrocs/
http://www.research-live.com/the-size-of-the-matter/4002044.article

● Tomに加えて、(株)ジャパン・マーケティング・エージェンシーの梅津順江様に「日本のMROCの現況と課題」についてご講演いただきました。

MROCに最適な解決課題の整理が参考になります。



● 後半、時間がなくなり、予定していましたインデックス・アイ社の山崎副社長の講演はやむなく中止にさせていただきました。山崎様の講演を聞きにこられた多数の参加者の皆様、またお忙しい中、資料の準備をしていただきました山崎様には本当に申し訳ありませんでした。

山崎様のご好意で資料を共有していただきました。感謝申し上げます。

暗黙知に注目して、MROCにおけるインサイト発見を考察されています。これだけでもJMRX勉強会の1テーマになりそうです。
 

20140515暗黙知の視点からmrocを考える from Haruo Yamasaki

● MROC祭り2015が楽しみです!!!
 

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