2014年4月29日火曜日

#118 「本質直観」その2: MROCと本質直観


<第118回>   2014年4月

◆ 前回、ご紹介した水越康介首都大学東京大学院ビジネススクール准教授の『普通の人が、平凡な環境で、人と違う結果をだす「本質直観」のすすめ』(2014年、東洋経済新報社)は、リサーチャー必見の書です。

今回は、本質直観の視点から、MROCの可能性を探りたいと思います。


すなわち、「本質直観型MROC」の提案を行いたいと思います。

◆ ご存じのように、MROCが登場した背景には、既存のネット調査の参加率やデータ品質が低下し、グループインタビューの限界が指摘されるなど、経営者やマーケターがリサーチに期待する消費者「インサイト」が、従来のリサーチでは発見しづらくなってきたという現実がありました。

・ つまり、MROCはインサイト創出の有力な新しいリサーチ方法として期待されて登場しました。

MROCの名付け親であるアメリカ・フォレスター・リサーチ社のブラッド・ボートナーも、その論文「Web2,0はマーケット・リサーチを変革するだろうか?」(2008年4月)の中で、

「マーケット・リサーチ・オンライン・コミュニティズ(MROCs)は、従来の定性リサーチの世界に衝撃を与えた。なぜならMROCは、安くて、早くて、かつグルインなどの伝統的な定性リサーチの手法が現在提供できていない新しいタイプのインサイトを創出することができるからである」

と述べています。
 
Will Web 2.0 Transform Market Research?
http://www.forrester.com/Will+Web+20+Transform+Market+Research/fulltext/-/E-RES44159

そして、アメリカのコミュニスペース社が実際に実証したように、欧米の市場では、従来の調査では発見されなかったマーケティング活動に有効な数多くのインサイトが、MROCによって抽出されました。http://www.communispace.com/Home/

・ 言い換えれば、日本のリサーチャーも、MROCを活用して、インサイトを創出する努力をする価値があると言えるでしょう。

● MROC元年といわれる2011年の導入以後の日本におけるMROCの成果はどうでしょうか?

・ 供給側である調査会社と、需要側であるメーカーなどの事業会社とも、MROCに対する評価は、大きく2分されているのが現状かと思います。

・ 上記のボートナー氏は、MROCの3つの価値は、①早くて、②安くて(コストと成果から見て妥当な価格)、③有効なインサイトであると指摘しています。

これら3つの観点から、日本のMROCを見ると、

・ 6人2時間の従来のグルインと比較して、例えば1ヶ月50人のMROCは、消費者の実態や意識を把握できる量は圧倒的に優れています。MROCによって、より詳細な情報を得ることが可能になりました。しかも、発言録の入力作業は不要です。

MROCでは、1グループ、2時間の制約はありませんので、何度もプロービングを行ったり、生活に密着して、購入や消費の現場(MOT:moment of truth) からの消費者の声を聞くことができます。

・ しかし、その情報量の多さが同時に、供給・需要側双方の作業負担を大きくし、必ずしもタイミング的に早くなく、価格的にも、コストにみあう成果=有効なインサイトが得られないという声も多く聞かれることもまた事実です。

-3日で終了する手離れの良いグルインに慣れている定性リサーチャーの方にとって、運営のために、土日や1日24時間拘束される可能性もあります。

さらにコミュニティ終了後も、膨大な発言録と格闘しなければいけないMROCの負担感は大きいものです。

● そのような重い負担感の中で、実施されている現状のMROCの多くは、いわゆる「グルイン型MROC」と呼べるかと思います。つまり、グルインのオンライン版です。

さらに言い換えますと、2時間のグルインのディスカッション・ガイド(フロー)の1ヶ月拡大版であり、Asking型MROCと呼べるものです。

● 本来MROCは、従来のAsking型から脱却した新しい調査手法、つまりListening型の手法です。

・ 企画側が考えた仮説をベースにした質問群を一方的に調査対象者に尋ねてゆくQ&A方式のAskingではなく、MROCの参加者間の自発的な会話を「傾聴」する、あるいは会話やアップされた画像や映像(セルフ・エスノ)を「観察する」Listening作業です。

その中から、想定外の気づきや発見、驚き、Aha!と思う瞬間があり、そこに「インサイト」があると考えられています。

・ 2011年10月に、アメリカ・マイアミで開かれたコミュニスペース社のMROCのワークショップに参加した折、講師のマニラ・オースティン女史(Vice president of Research at Communispace)は、コミュニスペースのMROCの他社に対する優位性は、「参加者による自発的な問題提起の高さにある」と自慢げに話していました。


このことは、ソーシャル分野におけるエポックメーキングな著書であるシャーリーン・リーとショシュ・バーノフの「グランズウエル:ソーシャルテクノロジーによる企業戦略」の中でも紹介されています。

コミュニスペースが運営して成功した米国総合がんネットワークのコミュニティの中で議論された76のお題のうち、実に76%にあたる58のお題が、参加者から自発的に出されたものでした。(116頁。2008年、翔泳社)

モデレータ(コミュニスペースでは、コミュニティ・マネジャーのことを「ファシリテータ」と呼称)からの一方的な「お題」の提供ではなく、参加者が問題点と思ったお題を自ら提起し、参加者同士で議論しあうというものです。

・ 事前に作成したディスカッション・ガイドに基づかない参加者の自発的な議論の中に、想定外の驚きが含まれる可能性は高いように感じます。

その中に企業やブランドが抱える真の問題・課題が含まれているかもしれません。

逆に、間違った仮説に基づいたAskingから得られた(想定範囲内の)結果の有効性は、低いと考えられます。

従って、想定外の気づきや驚きのあるMROCの実施が望まれます。

・ この「相手に聞くのではない」ことや、「驚きの発見」は、まさに「本質直観」に通じるものがあります。
 

前回のブログで参考文献として紹介した山崎氏は、「MROCも本質直観のアプローチ」であると指摘されています。

山崎晴生氏「本質直観の視点からmrocを捉え直すhttp://sssslide.com/www.slideshare.net/haruoyamasaki/20140310-mroc-32097647

● 前回述べたように、本質直観のエッセンスは、驚き⇒確信⇒問い直しの自己作業サイクルです。

1ヶ月やそれ以上のMROC実施期間を通して、対象カテゴりー製品やサービスについての事前にある知識や経験からえた直観から確信を得て、それらを問い直す作業を繰り返しながら、MROCを進行させる。そこからインサイトを抽出してゆく。

そんな「本質直感型MROC」はどうでしょうか?

数時間のワークショップと比較して、MROCの方は時間的に、より多くの「問い直し」作業の繰り返しが可能かと思います。またワークショップでは、限られた時間内での問い直しが必要ですが、MROCはより時間的ゆとりがあるかと思います。

単に事前に決められたことをQ&A方式で、期間中に尋ねて、その回答内容を要約するグルイン型MROCに対して、問題を「自分の課題」として考え、じっくり丁寧に「問い直し」の作業を重ねる本質直観型MROCの実施が望まれます。

・ マーケティング・リサーチャーは、社会調査や世論調査のリサーチャーではなく、「マーケティング」のリサーチャーです。つまり、リサーチの対象、目的が「マーケティング」です。単なるデータ供給者(サプライヤー)ではなく、マーケティング活動への提案力が要求されます。

それゆえに、マーケターにだけまかせないで、リサーチャーも、マーケティング課題と格闘するさまざまな製品やサービスのカテゴリーにおいて、本質直観のトレーニングを行うことは、リサーチおよびリサーチャーのレベルをアップする上でも重要なことかと思います。

・ もちろん、製品カテゴリーやブランドに最も詳しいマーケターが、積極的にMROCに参加して、リサーチャーと、本質直観作業を協働することが望ましいことは言うまでもありません。

信頼をベースにして、リサーチャーとマーケターとの「共同しての構築作業」(232頁)を通じて「お互いの認識の再構築」が期待されます。

◆ 以上のように、MROCが本来期待されているインサイト創出の役割を果たすためには、本質直観型MROC実施が望まれます。

リサーチャーが、本質直観型MROCを実践することによって、マーケティング活動に有効な消費者インサイトが、MROCからより多く発見されることを期待します。

 

#117 「本質直観」その1:インサイト・コミュニティと本質直観


<第117回>  2014年4月

◆ 水越康介首都大学東京大学院ビジネススクール准教授、『普通の人が、平凡な環境で、人と違う結果をだす「本質直観」のすすめ』(2014年、東洋経済新報社)の中で、本来哲学用語である「本質直観」をビジネス、特にマーケティング活動において活用することを提案されています。

・ 今回のブログでは、マーケターやリサーチャーの方が、本質直観を実践する上で、ビジョン・クリティカル社の「インサイト・コミュニティ」という新しいリサーチ・プラットフォームが役立つのではないかと考え、本質直観を究めるツールとしての「インサイト・コミュニティ」の活用を提案致します。

 本質直観とは、ビジネス上で、生産的や革新的、創造的な優れたアイディア=ビジネス・インサイトを生み出すための思考方法です。

より具体的には、ある現象に接した時の驚きや直観(知覚体験)から得た自身の「確信」の確からしさや真偽を、独断ではなく、日常世界に支えられた一般性を有するレベルにまで、外部にたよることなく、自分自身の問題として真摯に、確信の根拠を「問い直す」方法です。

水越氏は、安易にデータを妄信するのではなく、自身の確信を大切にし、驚きや気づき、確信できる「自己」の思考力を高めることによって、自己の確信のレベルを強化することの重要性を強調しています。

・ 本質直観の文脈において、「マーケティング・リサーチ」は、最初の直観を得たり、自らの確信を自らが問い直し、鍛え上げるための「材料」(28頁)として位置づけられています。

「調査から得られたデータ」も、本質直観作業によってトレーニングされた個人によって、はじめて優れたビジネス・インサイトに昇華される可能性が高まると考えられます。

言い換えますと、リサーチの成否や良し悪しは、本質直観にすぐれたマーケターやリサーチャーによるところが大きいとも言えます。

 水越氏はさらに、本質直観を行うにあたって大事だと思うことは、「多くの知見に日常的に触れていること」であり、その知見に対して、「自分の問題として考え」、さらに「切実な問題として深く考える」ことだと指摘されています。(218頁)

しかし、現実問題として、マーケターやリサーチャーが、頻繁に繰り返しリサーチから「知見」を収集することは、予算的にも、時間的にも難しい面があるかと思います。

通常のアドホック調査では、企画を考え、調査対象者のリクルートを行い、調査を実施して、分析結果を出すまでには、多くの時間と費用がかかります。

さらには、定性調査と定量調査も、別々のアドホック調査として行われますので、さらに時間と費用がかかります。

● しかし、インサイト・コミュニティでは、1つのプラットフォームの中で、調査ごとに、新規の調査対象者のリクルートを行うことなく、定性調査と定量調査を迅速かつ、低コストで簡単に行うことが可能です。

なぜなら、インサイト・コミュニティは以下のような特徴を持っているからです。

インサイト・コミュニティについて:http://www.slideshare.net/Experidgejapan/ss-33925399
http://www.visioncritical.com/

・ まず、インサイト・コミュニティは、新しいマーケティング・リサーチのシステムです。

「コミュニティ」という単語がつきますが、MROC(Market Research Online Communities)ではありません。

・ 従来のグルインのような「定性調査」や、ネット調査のような「定量調査」を1つのプラットフォーム上で、早く、安く、いつでも、どこでも実施することを可能にした新しい調査プラットフォームです。

・ 上記の従来の調査はすべて、単発で実施・完了するいわゆる「アドホック調査」と呼ばれるものです。

アドホックの反対の言葉は、トラッキング調査です。多くの場合、調査対象者は、条件構成は同じですが、異なった対象で行われます。例外は、同じ人で行う「パネル調査」です。

インサイト・コミュニティでは、ブランドや商品のユーザーである「顧客」(カスタマー)をコミュニティ化して、同一の人に「各種の調査を継続的に実施」することが可能です。それゆえに、インサイト・コミュニティは、「コミュニティ・パネル」とも呼ばれています。

・ サーベイ・モンキーに代表されるDIY調査ツールは、オンライン上で簡単に調査実施を多くの人に可能にした点で、リサーチ史上、画期的なことでした。

しかし、調査を実施する相手、すなわち「調査対象者」が存在しなければ、調査を完了することができません。インサイト・コミュニティの場合、調査ツールを備えたプラットフォームの中に、調査対象者としてのコミュニティ・メンバーが常時存在しています。それゆえに、調査のたびに、対象者条件に基づいてリクルート作業を行う必要がありません。そのための余分な時間も費用も不要になります。つまり、インサイト・コミュニティでは、早く、安く、簡単に調査が実施できるわけです。

・ PCだけでなく、タブレットやスマートフォンからでも調査が可能ですので、参加メンバーが、調査のタイミングや目的によって、調査デバイスを使い分けることができます。ゆえに、いつでも、どこでも、消費者の生活に密着した調査が可能です。

・ 調査対象者をコミュニティ化することによって、参加者のエンゲージメントを上げ、参加率が高く、本音を引き出すことによって、より深い消費者理解をえることが可能です。

・ さらにコミュニティ化によって、同一の消費者の声を継続的に聞くことが可能になっています。


・ マーケターやリサーチャーが、自身の机上のPCを使って、本質直観の材料となる多くの調査知見をより深く、正確に、継続的に、迅速に効率よく収集することができます。

簡単に多くの知見に接することによって、自身の「確信」をよりブラッシュアップすることが容易になります。

◆ 以上のように、

日常の生活に密着したインサイト・コミュニティが、

マーケターやリサーチャーに、

顧客や消費者の毎日の生活と向き合いながら、日常的に「気づき」や想定外の驚きを得て、「確信」を実感し、消費者の「生活世界」をベースに、それらを「問い直し」続ける「本質直観」の作業のための

有効で、簡便な場を提供できると考えます。

それによって、リサーチャーやマーケターが、有効なビジネス・インサイトを発見する可能性が高まればと思います。

本質直観のツールの1つとして、今後インサイト・コミュニティが広く活用されることを期待します!

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<参考>

● 以下は、「本質直観」の理解を深めていただくために、著書の中からいくつかの説明を引用しました。ご参照下さい。

本書は、リサーチャー必読の書だと思いますので、興味ある方はぜひ購入されて、じっくり読んでいただければと思います。Kindle版で1140円です。

本書のタイトルから一見、マーケティングの本とは思われなかったり、売り場がマーケティングのコーナーでなかったりするのは少し残念です。

本質直観について:

・ 『本質直観とは、私たちが「本質を捉えた」と確信していることそれ自体を手がかりとして、むしろその根拠を疑い、問い直す作業』(1頁)と定義しています。

直観は、「直感を鍛え上げる、あるいは問い直す感じ」と、本能的な「直感」と区別しています。

● 「本質直観」とは、「自分自身が直感から得た確信の確からしさを問い直す方法」であると定義されています。

・本質直観は、リサーチ結果を鵜呑みにせず「自分で考えること」以上の事を意味しています。

・「だた1つどんなときにも確かなのは、あたな自身が持つあたなの確信だけだということです」(24頁)

・「確からしさをより強く確信するために、ひいては多くの人々に受け入れてもらうために、・・・自分の心を問い直すという作業をつねに行ってきた」(25頁)

・「自分の確信を、どれだけ自らのうちで鍛え上げられるかにかかっているのです」(26頁)

・「他人ではなく自分自身にその確信を問い直すことによって、その確からしさを高めようとしてきたのです」(27頁)

・「他人がどう思っているかではなく、自分自身のなかで自分の確信の理由を問い直す」(27頁)

・「自分の確信といっても、改めて考えてみると、結局は他人の意見であったり思いであったりに影響を受けていて、それは自分の日常の生活に支えられた一般性を有する(あるいは有さない)ということが理解できるようになっていきます」(28頁)

・「ビジネスのアイデアを手に入れるためには、相手をリサーチしても仕方がない、なによりリサーチするべきは、あなた自身の確信の根拠だということです」(46頁)

・「何かを気づく瞬間がある。この気づきの意味するところを自らのうちに遡って問い直すことによって、その確からしさが確認できるようになる」(125頁)

・「答えは顧客の側にではなく、己のうちにあると考える」(128頁)

・「何かしらの問題を量的に数え上げられるという仮定の下で収集されたデータを見ることを通じて、経営者やマーケターが自らの考えの枠組みを問い直す」(158頁)

・「そもそも外部に答えがあると考えない新しいリサーチの可能性を確認」(159頁)

● 本質直観に通じるリサーチの方法として、「オブザベーション」や「内観法」が、本質直観の視点から考察されています。

・オブザベーションでは、「最も大事なのは、消費者の側に答えがあると思わないことです。そうではなく、徹底的な観察を通じて自らが驚くこと、おして驚いたときに自らの内に宿るビジネスのアイディアを感じ取ることです」(104頁)

・「インタビューは何かの理由を明らかにしたり、その説明を行うためではなく、あくまでも生活世界の記述を行われるものです。・・・理由を考えてしまう以前に、その基盤となる生活世界のありようを明らかにしておこうということなのでしょう」(142頁)

・「本質直観をインタビューに応用する場合、重要になるのは、相手の発言の真意を確かめることではなく、発言それ自体を1つの事実として確定させたうえで、その発言を可能する世界のありようを明らかにしていくことだと思います」(144頁)

● さらに、「本質直観」と、「マーケティング・リサーチ」の関係については、

・「マーケティング・リサーチによって得られたデータは、まずは直感を得る材料として活用される・・・本質直観として最初の直感から得た確信を探るなかでも有益な事例となります。旧来のデータは、正しさを判定するというよりは、面白いアイディアを発見したり考え直したりするための材料の役割を担うのです」(162頁)

さらに、「マーケティング・リサーチを通じて得られた情報は、自らの確信を自らが問い直し、鍛え上げるための材料です」(28頁)

・つまり、リサーチは、本質直観の有力な材料の提供手段として位置づけられています。


<参考文献>

1)山崎晴生氏「本質直観の視点からmrocを捉え直すhttp://sssslide.com/www.slideshare.net/haruoyamasaki/20140310-mroc-32097647
著者の結論は、「MROCを成功させるためには、企業担当者の深い関与が不可欠となる」「リサーチ会社に丸投げのMROCは成功しない!」

2)水越康介氏まずは自分に注目せよ!本質直観のすすめ:哲学の方法をマーケティングに取り入れるということ」
 http://toyokeizai.net/articles/-/20178

3)http://mizkos.jp/data/2013/10/post-16.html
http://ddnavi.com/review/190434/
http://www.repository.lib.tmu.ac.jp/dspace/bitstream/10748/5501/1/10650-001.pdf#search='%E6%9C%AC%E8%B3%AA%E7%9B%B4%E8%A6%B3'

本書の目次>
第1章 優れた経営者は直観する
第2章 ソーシャルメディアから本質直観を考える
第3章 本質直観とは何か
第4章 誰のどんな声を聞いてどう応えるか?
第5章 市場志向がめざすものとは?
第6章 無意識は取り出せるか?
第7章 過去をたどって自分自身を問い直す
第8章 「質」と「量」の見かたを根本から更新する
第9章 リサーチを生かす組織の仕組み
第10章 ビジネス・インサイトの本質直観
第11章 本質直観の本質直観
第12章 直観をどうやって伝えるか(という問いは必要か?)

 

2014年4月17日木曜日

#116 「図解入門最新マーケティング・リサーチがよーくわかる本」無料公開のお知らせ


<第116回> 2014年4月

・2009年に秀和システムより刊行されました拙著「図解入門最新マーケティング・リサーチがよーくわかる本」のデジタル原稿のリンクをアップ致しました。ご参考になれば幸いです。









2014年4月8日火曜日

#115 第42回JMRX勉強会「レイ・ポインター・リターンズ」報告


《第115回》2014年4月

●第42回JMRX勉強会「レイ・ポインター・リターンズ」を2014年3月14日 、 株式会社トライバルメディアハウスの会議室をお借りして開催しました。

昨年4月に東京で講演を行ったNewMRの旗手レイ・ポインター氏(『オンライン・ソーシャルメディア・リサーチ・ハンドブック』の著者)が再び来日致しました。この機会に世界のリサーチの最新動向についてお話をお伺い致しました。併せて、日本のソーシャルメディアの第1人者である池田紀行氏に共創マーケティングについて、レイ・ポインター氏に対して問題提起を行っていただきました。
http://kokucheese.com/event/index/154287/


●レイ・ポインター氏の講演
-MRの最新トレンド
-BigDataの長所・短所
-SM分析の長所・短所
-テキスト分析の長所・短所
-モバイルリサーチの長所・短所
-シンテル社のコミュニティ・リサーチ例
-コミュニティの戦略的、戦術的活用
-調査のDIY化、自動化に対応する「コンサルテーション力」の強化



●池田紀行氏の講演

基本的には、2014年2月4日(火)に行われた 『次世代共創マーケティング出版記念セミナーでの発表内容をベースに行われました。

発表内容はhttp://www.ikedanoriyuki.jp/?p=4561を参照。

 

2014年4月7日月曜日

#114 MRMW会議報告会開催のお知らせ(第43回JMRX勉強会)


《第114回》 2014年4月


● 第43回JMRX勉強会が、2014年4月25日(金)、株式会社ミクシィ7Fコラボルームにて開催されます。テーマは、

【MRMW in Asia2014(モバイル・リサーチ会議)参加報告】です。
※ MRMW(Market Research in the Mobile World)


2014年3月5日―6日、シンガポールで開催されたモバイル・リサーチの国際会議の参加報告です。
昨年2013年2月28日開催の第36回JMRX勉強会に続いてのMRMW報告会第2弾です。
http://www.mrmw.net/asia-pacific


講師は、株式会社ミクシィ・リサーチ ミクシィ・リサーチカンパニーCOOの濱野 英和 氏です。


詳細は、http://kokucheese.com/event/index/159074/


上記の第36回の勉強会報告が未掲載でしたので、開催前にアップしておきます。ご参照下さい。






MRMW:http://mrmw.net/conference-agenda
開催告知:http://kokucheese.com/event/index/76354/

 
発表内容:定性、定量、コミュニティの順で下記3名が発表。
 
1.Mobile Quali フリーランス定性リサーチャー 吉田朋子
2.Mobile Quanti 株式会社ドコモ・インサイトマーケティング小木戸 渉
3.Community 株式会社ビジョン・クリティカル・ジャパン 岸川 茂

 

各発表資料:






他の参考サイト:
1)http://www.minnanomr.com/2012/09/blog-post_23.html#!/2012/09/blog-post_23.html
2)2013年7月にアメリカ・ミネアポリスで開催されたMRMW会議の報告
http://www.slideshare.net/hidekazuhamano/201307-mrmw
3)http://researchpanelasia.blogspot.jp/2012/07/mrmw-makes-impact-with-tech-focus-and.html
4)https://www.flickr.com/photos/38419325@N02/sets/72157632753567554/
5)http://www.slideshare.net/DecisionFuel/decision-fuel-mrmw-presentation-case-studies-jan2013
6)http://www.slideshare.net/merlien/mobile-research-of-the-future-kantar-operations

 

#113 ブログ再開のお知らせ


《第113回》 2014年4月

● 2013年1月、(株)ビジョン・クリティカル・ジャパン代表就任に伴い、社内規定により、私的ブログの公開を一時中断しておりましたが、2014年4月より再開することになりました。新しい原稿や、過去1年間に書き溜めたものを順次アップしてゆきたいと思います。
ご愛読よろしくお願い申し上げます。

2012年12月3日月曜日

JMRAパネルディスカッション:MROCの既知と未知に参加して

≪第112回≫

●2012年11月29日(木)JMRA Annual Conference 2012の「パネルデイスカッション①MROCの既知と未知」にJMRAからご招待いただきました。

セッションの資料や参加者などの詳細は、JMRAから後日HPにアップされる報告をご覧ください。

●パネルディスカッションでは、MROCCの現状と将来について、次の4つの観点からディスカッションが行われました。

①なぜMROCなのか

②どうMROCは使えるのか

③MROCの運用と課題

④MROCのこれから


●まず、①なぜMROCなのか

・MROCが出てきた背景について、いろいろと指摘がありました。

出てきた背景とは別に、「なぜMROCなのか」、つまり欧米でNewMR手法の中で一番よく使用されている有力なMR手法であることの「理由」を補足したいと思います。

MROCのこれまでの手法に対する優位点を強調する必要があります。

誰かが指摘されていたように、「コミュニティ」がキーワードです。

従来の定量のネット調査に対して、「コミュニティ」を形成することによって、参加者の「エンゲージメント」が高まり、回答率が高くなり、より精度の高いデータが収集できる点が優位点です。これによって、より深いインサイトが得られることが期待されます。

従来のネット調査への参加率が低下し、データの精度に疑問がもたれ、インサイトが発見しづらくなっている現状の問題のソリューションとしてのMROCの登場およびその存在価値があります。

●ちなみにMROCは複合的な要素によって、現在の機能に形成されてきたと言えます。

USのCommunispace社が2000年ごろに始めたころは、掲示板グルインのようなものでした。

それが同時性から非同時性に拡大し、その後のWEB2.0のIT進化の動向ーブログ、写真アップなどのCGM要素が加味され、パワーアップしてゆきました。

2008年にMROCの名称が誕生するまでには、オンライングルインの要素とソーシャルメディアの要素が複合化された現在の形になりました。

つまり、MROCには、オンライングルインのルーツと、ソーシャルメディアのルーツがあると言えます。

その一方で、1990年代に現れたオンライン・リサーチ(アクセス・パネル)が拡大し、データ精度の問題に直面し、その解決策として、「Community Panel」が2000年代半ばに出現してきました。

主に定量調査を行うCommunity Panelが、定性調査主体のMROCを取り込んで、定性と定量を1つのプラットフォームで可能にした現在のCommunity Panelが完成しました。


・この議論の中で、「MROCに向いている課題」は何かという問いかけがありました。

日記やHUTによく使われているという指摘がありました。

これは非常におもしろい現象です。

欧米では、インサイトを発見するために主に「フォーラム」機能(掲示板)を使ったMROCが主流で発展してきましたが、MROC後発の日本では、従来オフラインが行われていたダイアリー調査やホームユーステストがMROC内で多く行われています。

これは、フォーラム機能のMROCの有効性を示すことが難しい中、これらは容易にクライアント側に受け入れられたと同時に、調査会社側も説明しやすかった点にあるかと思います。

面白い点は、Communispaceでも、彼らのインサイト・コミュニティの中で、最近はよくHUTを実施している点です。日本人は何でもその変形(応用形)を作るのが上手なようです。

場合によっては、MROCのプラットフォームを使っているという理由だけで、(もし「コミュニティ」を形成していないのであれば)、これらのプロジェクトをあえてMROCと呼ぶ必要がないかもしれません。海外では、単に「オンライン定性調査」と呼ばれるものです。

確かに、オンライン定性調査をすべてMROCと呼ぶのは、便利でありよい点ですが、MROCの定義を混乱させている一つの要因でもあります。MROCの市場規模の大きさ(成長)を示すうえでは、オンライン定性調査をすべてMROCと呼称する点では有難いですが、悩ましい点でもあります。


●次に、②どうMROCは使えるのか

・これまでの調査とMROCとの違いが議論されました。第一のテーマと関連します。

これまで2年間よく議論されてきたネット(オンライン)グルインとの違いやソーシャル・リスニングとの違いです

そろそろこのあたりの議論から卒業したいものですが、まだまだMROCをご存じない方も多いようです。MROCが日本に本格導入されて約2年がたちます。

・ここでもまた、「MROCに最も適したテーマ」が話題になりました。

HUTや日記で生活実態を長期にみたり、アイディア出し、コンセプト評価、消費者が会話することで解決される課題ならなんでも、コミュニケーション開発、態度変容の追跡などが、あげられていました。

MROCの価値が未だ定着していない日本では、MROCが最も得意とする、その証拠に欧米で最もよく使われている分野でもある「製品開発」で、その価値を発揮することが重要かと思っています。

ブランド・コミュニケーションや、顧客経験、ショッパーインサイトの分野でもMROCは有効ですが、#1をあげるとするとやはり「製品開発」かと思います。アイディア・ジェネレーションやコンセプト開発・評価の分野です。


さらに、③MROCの運用と課題

MROCの運営と、レポーティングの問題が議論されました。

この2つの作業が、MROCの普及・拡大を阻んでいます。

つまり、前者はMROCの運営はあまりに労働集約的で負担が大きいことと、後者は効率的に有効なインサイトを出しづらいことを意味しています。

これに対して、クライアントがインサイトを容易に出すためのヘルプを行うために、MROCで収集できたあらゆる、かつ膨大なデータ(1か月50人のMROCでワード1,000枚のアウトプット)ー発言(投稿)や写真のデータをグループ別やタスク別に分けたりするなどして、クライアント側が少しでも読みやすいように加工をして、生データを提供しているという報告がありました。

また、情報共有やアイディア探索のワークショップの活用も報告されました。

・モデレータの役割として、MROCから、①クライアントが望む情報を引き出す、②膨大なデータを整理する、③クライアントに気づきを促すことをサポートする、と指摘されていました。

・お題ごとに「まとめ」を行う、という意見もありました。

・別のところでは、テキスト・アナリティクス(TA)を用いて分析を行うとしています。

しかし、世界のTAの発展レベルからみて、(その発展からも遅れている)日本語を使った日本のMROCで、現状の日本のTAにより、クライント側が求めるインサイトは得ることはまだまだできないかと思います。

・もう1つ欧米との違いでおもしろい事実が報告されていました。

「アン・ブランディッドのMROCが90%である」という報告です。

欧米ではまさに逆かと思います。ほとんどがブランド明示型です。参加者にそのコミュニティは、XXブランドのために実施していることが明らかにされています。

「コミュニティ・リサーチ」の基本は、消費者のことをもっと知りたい企業と、(消費者の自然な欲求である)自分たちが使っているブランドをよりよくしたいと望み、その声を企業に伝えたいと願っている消費者の出会いの場の提供です。その意味で、日本でも、今後もっとブランディッドのMROCが行われる余地があるかと思いますし、ブランド発展のためにもそうあるべきだと思います。

・また、長期ー短期、小規模ー大規模MROCの議論も行われました。

これらは、目的や課題の多さ、予算、期間などの要素によって変動するかと思います。

「早く、安く(より価値に見合った価格)、有効なインサイト」のMROCの3つの価値の実現の点では、より長期、常設型のMROCの方がその利点を生かせるかと思います。


・ところで、MROCは欧米では、別名インサイト・コミュニティと呼ばれています。

世界で、元祖MROC企業であるCommunispace社のCEOは、自分たちのビジネスをMROCと呼ばれることを嫌っています。

なぜなら、MROCの中にマーケティング・リサーチという言葉が含まれているからです。
CEOは、我々は従来のマーケティング・リサーチをやっているのではないと考え、差別化をはかっています。

しかし、ここ数年のMROCブームの中で、彼らのビジネスの価値を伝えるために、MROCの用語を使わざるえなくなってきているのも現実です。MRの国際会議や彼らのワークショップでMROCを用いています。

あくまでも、彼らはリサーチャーではなく、「インサイト・プロフェッショナル」であるというプライドを持ち、インサイトの発見に全力を尽くしています。

・これらの議論で感じた点は、

①まず運営について、

運営も大変だという声が多いですが、MROCに関わる人は、まずは消費者の話を聞くことや、参加者と会話をすることが好きであることが重要な要件だと思います。

ゆえに少々量が多いという理由から否定をするのはおかしいのではないかと思います。
その作業をより効率よく、やる工夫をすることが重要だと思います。

#1企業であるCommunispaceも10年間、多くのトライアル・エラーを繰りかえして、300-500人の大規模MROCの運営とインサイト発見の有効かつ効率的なノウハウを確立して、MROC単体で60億企業になったわけです。

日本のMROC企業のさらなる切磋琢磨が期待されます。

②次にレポーティングについて、

MROCは、消費者の365日の生の声です。日ごろから、消費者を理解したいとか、消費者の声をマーケティング活動に反映したいと強く望まれているマーケターの方が、その意味で「宝の山」であるMROCデータを前にそれを読むことに躊躇されていることはある意味不思議で残念です。

しかし、現実はお忙しいから、そうおっしゃるのも当然です。

そこにリサーチャーあるいはインサイト・プロフェッショナルの存在意義があるかと思います。

・MROCは、膨大であるがゆえに、膨大な価値を含んでいる可能性もあります。

上で言及したような読みやすくするための加工を行うのも、マーケターの労力を軽減する上で重要な貢献の1つかもしれません。

気合、力仕事と言われていましたが、MROCは、まず読むことから始まります。ただの無意味な会話ではなく、貴重な消費者の本音の生声であるという意識をもつことが重要です。

・MROCにとって、加工やまとめも重要な作業です。それらはインサイトの発見のために行われている作業です。

しかし、「インサイトのないMROCは、MROCではない」という意気込みと、インサイト・プロフェッショナルのプライドをもって、「インサイト発見」に、MROC関係者は真正面から取り組むべきだと考えます。

もっとも、普通の調査でも、データ収集、データサプライヤーに徹する会社もあれば、マーケティング提言を得意とする会社があるように、今後もMROC企業には、この2つのタイプに会社が存在すると思います。しかし、企業のニーズの流れは、確実に「インサイト提供のMROC会社」に向いています。

そのためにMROCが出現してきたという経緯もあります。

データや結果ではなく、「インサイト」が求められています。

クライアント企業は、ロー・データの収集・提供ではなく、インサイトの提示を強く望んでいます。


●最後のテーマは、④MROCのこれから

・1社MROCのシェアードMROCの提案や、オフラインとのハイブリッド型などが提案されていました。

また、今後は、市場拡大が予想され、長期化、大規模化が進むとも予測されていました。

知るためのリサーチや、プロモーション、コ・クリエーション、エンゲージメント型のリサーチも言及されていました。

・MROCの将来と関連して、Vision Critical社のCommunity Panelもここで紹介されていました。

DIY的にできるツールが多くなると、リサーチャーあるいはリサーチ会社の存在意義が問われるという議論がありましたが、そこで「面倒くさいことはリサーチャーにおまかせ」議論がありました。

本当は、そうではなく、「インサイト」はお任せと言いたいところです。

・データ収集型のリサーチャーは、DIYなどがでてくると脅威を感じます。「リサーチ」(=データ収集)が必要でなくなるのではないかと心配します。

インサイト型のリサーチャーは、データ収集や分析が、ITのおかげて簡便・効率化されるおかげで、その節約できた時間を「インサイト発見」にかけられることを歓迎し、自分の活躍の場の拡大に期待します。

グローバルでは、Community Panelの導入により、1つのプラットフォームで定性と定量調査が、マーケターやリサーチャーの机上から、いつでも簡単に行うことができるようになっています。

これからは、「インサイト・プロフェッショナル」型のリサーチャーの育成が強く望まれます。

それがリサーチ業界や企業のプレゼンス向上にもつながるかと思います。


●クライアント側の方が、質問ではなく、コメントをセッションの締めくくりとしてされていました。

ある意味、このコメントに現在のMROC状況、日本のMR状況が象徴されているように感じました。

「コミュニティでもMROCでもなんでもよいから、もっと課題解決に有効なものを提案してほしい」、

「コミュニティという名称にこだわる必要はない。もっと活用方法を提案してほしい」

と私なりにそう受け取りました。

こうおっしゃられると、90分間もMROCについて真剣に議論してきた会場にとって、身もふたもないと感じました。

この90分のパネルが、聴衆の皆さんに「MROCの価値」を十分伝えられなかったのかと残念でした。少なくともコメントしてくださったクライアント側の方には伝わらなかったのかもしれません。

しかし、参加者の方のMROCに対する疑問が1つでも解決されれば、このセッションは成功だったと思います。

さらには、参加者の中に1人でも、MROCをやってみようかと思われた方がおられたならば、なお成功かと思います。

そのような期待に応えるためにも、MROC関連企業は、MROC成功事例:ベスト・プラクティスの共有が望まれます。

 ●最後に、この貴重なMROCセッションを企画・実施をされたJMRA会議のプログラム委員会のメンバーの方々に感謝申し上げます。加えて、セッションのモデレータおよびパネラーの方お疲れ様でした。
 

#150 レイ・ポインターのMR白熱教室2015 第4回(最終回)報告

<第149回> レイ・ポインターのMR白熱教室2015 第4回(最終回)報告 2015年6月23日 ● 第4回目のテーマは、 『データからストーリーテリング』 でした。 ● 7月にレイとの懇親会を予定しております。世界のMRのソート・リーダー(thought ...