≪第111回≫
(株)MROCジャパンでは、「MROCのすべて: MROCの理論と実践(ソーシャル・メディア時代の新しい消費者理解の方法)」と題して、下記内容の有料セミナーの開催を予定しております。時間は午後半日を予定しております。
よろしくご検討お願い申し上げます。
**************************************
現在、マーケティング・リサーチは、数十年に一度の大変革期を経験していると言われています。その背景には、4つの環境変化があります。第1は、コトラーのマーケティング3.0に描かれた参加・協働型マーケティングの台頭といったマーケティング環境の変化です。第2は、ITの進歩です。2004年のWEB2.0以降、ブログなどのCGM(消費者生成メディア)の普及や、さらにその後のFacebookやTwitterなどのソーシャル・メディアの拡大です。第3は、それに伴う消費者の変化です。マーケティングにおける企業と消費者の力関係が、消費者エンパワーメントといわれるように、消費者の方にその主導権がシフトしています。共創(コ・クリエーション)に象徴される現象です。最後に、2008年のリーマン・ショック以降、調査予算の削減に伴い、調査のROI(投資対効果)、つまりマーケティング活動に対する有効性が強く求められるようになったことです。
このような背景から出現した新しいリサーチの動向は、MR2.0とか、NewMR、次世代マーケティング・リサーチと呼ばれるものです。昨年2011年3月に萩原雅之氏の「次世代マーケティング・リサーチ」(ソフトバンク・クリエイティブ)が出版されて、リサーチ業界だけでなく、マーケティング業界にも大きな反響を呼びました。MR2.0のキー・テーマは、AskingからListeningです。マーケターの仮説を検証するために事前に用意された調査票やグループディスカッション・ガイドにそって消費者に一方的に尋ねることの限界やネット調査の信頼性の低下により、調査票を用いたサーベイ調査やグループインタビューといった従来の調査手法に対して、大きな疑問が投げかけられました。20年後にはサーベイが消滅するとまで論じるリサーチャーも現れました。
一方、調査を行わなくても、ソーシャル・メディア上の膨大な消費者の声を傾聴すべきであるというリスニング・リサーチが出現しました。さらに、オンライン・コミュニティ内での消費者の声を傾聴するというMROCs(エムロック:Market Research Online Communities)という新しい調査手法が誕生しました。昨年2011年に日本に初めて導入されて、マーケティングや広告業界で最も注目されるバズワードになりました。しかし、MROCは、欧米では、消費者インサイト発見におけるその有効性が認められて、数多くの欧米企業に活用されているにもかかわらず、残念ながら日本では、いまだその定義や実施方法についてすら共通理解がなされていない状況です。
本セミナーでは、次世代MRのプラットフォームとして現在最も注目されているMROCを日本に初めて紹介・導入した日本におけるMROCエバンジェリストによる日本初のMROCの理論と実践を解説したMROC実務セミナーです。本セミナーにより、日本版MROCの企画、運営、分析方法が広く日本市場に普及し、マーケティング活動の意思決定をサポートするためのマーケティング・リサーチの有効化に役立つことが期待されます。
内容の概略:
<理論編>
1. マーケティング・リサーチとは
1-1 マーケティングとマーケティング・リサーチ
・マーケティング活動の意思決定をサポートするマーケティング・リサーチ
・有効なマーケティング活動には、有効なマーケティング・リサーチが必要
1-2 マーケティング・リサーチの役割
・有効なマーケティング・リサーチには、正しくて深い消費者理解と、失敗のリスクを
下げるリスク低減が必要
・消費者理解とリスク低減: 正しくて深い消費者理解と、マーケティング活動の失
敗を最小限にし、成功の可能性を最大にするリスク低減
・消費者理解を行う定性調査と、リスク低減を行う定量調査
・世界と日本のMRの市場規模(主要調査会社と売上金額)
・過去10年間で急成長したオンライン定量調査(ネット調査):全売り上げの64%
・MR売上に占める定性調査の割合はわずか13%
・GIGO(ギーゴ:ガーベッジイン・ガーベッジアウト): 仮説が有効でないと高度な
定量調査も無意味
・有効なマーケティング・リサーチにおける定性調査の重要性
・今後期待されるオンライン定性調査の拡大
2. 消費者理解の方法
2-1 消費者インサイトとは: 市場の理解ー消費者・顧客理解ーニーズの理解
・消費者理解(深い消費者の理解)とは、消費者ニーズを理解すること
・インサイトの定義: 人によってさまざまなインサイト定義
・消費者インサイトとは、消費者ニーズを理解すること:ウイニング・コンセプト(勝
利する製品コンセプト)と消費者インサイト
・マーケティングで最も重要な概念は、「ニーズ」(コトラー)
・ニーズを無視した製品開発が多い。ゆえに失敗する(コトラー)
・マーケティングのキーとなる4つの活動: 製品開発(P)、販売促進(C)、ブラン
ディング(B)、顧客ロイヤルティ(L)の核としての消費者理解(図)
・インサイトの分類:肯定的インサイトvs否定的インサイト/感情的インサイトvs合
理的インサイト(図)
・インサイトの解決策としてのソリューション(製品やサービスのアイディア)
2-2 イノベーションとニーズ
・企業におけるイノベーションの重要性
・イノベーションにおけるマーケティング・リサーチの役割
・マーケターの先人によるマーケティング・リサーチ(MR)の否定:「我々は、MRを決して行わない。なぜなら、消費者が何を望んでいるかを知るのは消費者の仕事ではないからである。」(スティーブ・ジョブズ)「消費者に彼らがほしいものを聞いても消費者は知らない」
・新しいイノベーションの方法としての共創(コ・クリエーション): 消費者参加
型イノベーション
・「企業のアドバイザー」としての消費者との「構造的協働」によるマーケティング活
動
2-3 消費者の建前、本音、潜在意識
・消費者の意思決定の95%は潜在意識で決まる(図)
・従来のリサーチは残りの5%を調査
・従来の調査は、その信頼性や妥当性の向上に努めてきたが、本当に「消費者理
解」を正しく行っていたか?
・購買(第1の瞬間FMOT)や消費(第2の瞬間SMOT)の瞬間の測定ができな
かった従来の調査:リコール(記憶に頼る回答)データの分析の問題点
2-4 従来の調査の欠陥を補うMRの新動向
・非合理的人間としての消費者理解: 「行動経済学」からのMRへの示唆
・脳科学やニューロサイエンス、バイオメトリクスの方法:アイトラッキングやフェース
分析
・エスノグラフィー調査:行動観察の方法
・ モバイル・リサーチ: 購買や消費のコンテキスト(文脈)の把握と、リアル・タイ
ム・リサーチの実現
・ソーシャル・リスニング・リサーチ: ソーシャルメディア・マイニングとMROC
3. MROCの理論
3-1 MROCとは
・共通の関心・興味を持った消費者を招待制(プライベイトでクローズ)でオンライ
ン上の「コミュニティ」に、調査を目的に集めて行う新しい調査手法
・MROCは基本的には定性調査
・2008年、フォレスター・リサーチのブラッド・ボトナーによる命名
3-2 MROC登場の背景
・マーケティング3.0、ITの進歩(WEB2.0,ソーシャルメディア)、消費者エンパワーメント、DIY調査の拡大、サーベイの終焉、インサイト調査の時代、リサーチのROI
3-3 MROCの3つの価値: 早くて、安くて、より有効なインサイトの発見
3-4 MROCの3要素: 参加者と、MROCプラットフォーム、コミュニティ・マネジャー(CM)(図)
3-5 MROCのプラットフォーム
・掲示板、ブログ、日記、デプス、チャット、サーベイ、投票など(図)
3-6 MROCのキー: グループではなく「コミュニティ」と、エンゲージメントの醸成
・コミュニティ・マネジャーによるファシリテーションー相互作用―親密性―本音―潜在意識がより有効なインサイトの抽出を可能にし、リサーチのROIを向上させる
・参加メンバーによる自発的課題提起
・4Pから5P(参加:Participationの付加)へ
3-7 MROCの方法
・オンライン360°ハイブリッド定性調査: オンライン上で複数の定性調査手法の
活用
・オールウエイズ・オン調査(1日24時間、1週間7日、1年365日、いつでも、どこ
でも調査が可能)
・リアル・タイム調査(購買行動や消費行動が起こった瞬間に調査が可能)
3-8 MROCとその他の定性調査方法との比較
・グループ・インタビュー(グルイン)や、詳細面接(デプス、ワンオンワン)、エスノとの
比較
・完璧な調査手法は存在しない: 調査課題や、予算、タイミングにより、よりベター
な1つ或いは複数の調査手法を使い分ける
3-9 短期MROCと長期MROC: 戦術的共創コミュニティ(TCC)と戦略的共創コミュ
ニティ(SCC)
・短期少人数のMROCと長期大人数のMROC
・30人3週間から、500人1年以上のMROC
3-10 インサイト・コミュニティとイノベーション・コミュニティ、オンライン・リサーチ・コミュ
ニティ(ORC)
3-11 グローバルのMROCリーディング企業であるコミュニスペース社(アメリカ)のMR
OC
・常設型大人数長期型
・月間平均参加率64%、投稿しないで読むだけのラーカー率8%、月間投稿率
7.6回
・成功事例
3-12 インサイト・コンサルティング社(ベルギー)のMROC
・少人数短期型
・成功事例
3-13 ブレイン・ジューサー社(イギリス)のMROC
・イノベーション・コミュニティ: 製品開発アイディア開発のためのMROC
3-14 世界のその他のMROCサービス提供企業
・MROCプラットフォーム販売企業と、MROCフルサービス企業
・ラティテュード社(オーストラリア)、マーケット・ツールズ(アメリカ)、ダブ社(イギ
リス)、プラグド・イン社(アメリカ)、アイトラック社(カナダ)、20/20(アメリカ)、
ゴンゴス社(アメリカ)など
3-15 MROCと、コミュニティ・パネル
・ビジョン・クリティカル社(カナダ)や、トルーナ社(フランス)(パネル・ポータル)、
イプソス(フランス)(ソーシャル・スペース)
・2,000人から5万人規模で行うコミュニティ・パネル: 定性と定量が可能である
けれども定量調査が主
3-16 日本のMROC事情
・2011年に日本に初めて紹介・導入
・主なキープレイヤーとその特徴
・国産プラットフフォーム提供企業
・MROCの現状と課題
3-17 MROCとマーケティング・リサーチ: 企業にとって、なぜ今MROCが必要か?
・リサーチROIの向上(MR1.0-MR2.0と、MRの有効性/既存定性調査の限界
・ソーシャル・メディア対応
・消費者の(空間的・時間的)深い理解
・生活者の声をマーケティング戦略の中心に!
・コンサルタント/アドバイザーとしての消費者
・消費者を役員会議へ
・ 「インサイト」をビジネス意思決定の中心に!
リサーチの有効性のアップと、顧客(消費者)中心
<実践編>
4. MROCとマーケティング・リサーチ課題
4-1 MROCが向いているリサーチ課題
・製品開発、ブランドコユニケーション、顧客経験、ショッパー・インサイト
4-2 製品開発とMROC
・イノベーション、生活者ニーズの探索、生活実態や、製品購入・使用実態把握、生活者の意識や態度、感情、習慣、行動の理解、新製品アイディア創出・スクリーニング(可能性の低いアイディアの特定)・改善、製品・サービスコンセプトの作成や評価、改善、製品評価、製品テスト
4-3 ブランド・コミュニケーションとMROC
・既存ブランドの評価、ブランド経験の把握、ブランド・イメージ評価、広告評価、コミ
ュニケーション開発・評価、キャンペーン評価、販促アイディア出し、売上低下・
不振理由の探索
4-4 顧客ロイヤルティとMROC
・顧客経験の評価・改善点把握、顧客満足・不満の理由、改善点探索
4-5 ショッパー・インサイトとMROC
・店頭施策評価、購買意思決定、動機の把握
4-6 オンライン・ハイブリッド・リサーチの可能性
5. MROCの実施方法
5-1 企画書の作成
・調査課題と調査目的
・MROCデザイン:期間、人数、使用プラットフォーム、参加者のリクルート方法、ス
ケジュール、見積もり(投資)
・コミュニティ・ガイドの作成
5-2 MROCの実査: コミュニティの運営
・招待メールの発信
・ログインと登録
・コミュニティ・マネジャーの役割
・ファシリテーションの方法
・コミュニティ管理をいかに効率よく行うか
5-3 MROCの分析方法: いかに膨大な投稿発言や写真などの定性データを効率よく
分析するか?: MROCデータの分析方法であるICR-IS法(インサイト・コミュニティ・リサーチーインサイト・ソリューション法)について
・インサイトの抽出―ソリューションの創出―コンセプト・メイキングと評価(図)
・インサイトのレベルと分類: 明示的インサイト(ニーズ)と暗示的インサイト(実態
―意識や行動)
・インサイト評価とキー・インサイトの特定: 共感度と新奇性に評価
・キー・インサイトからソリューションの創出:オンライン/オフラインによるワークショ
ップ
・スーパー・コンシューマーの発見:イノベータ、インフルエンサー、フォロアー(図)
・インサイト・マップの作成(図)
・ペルソナ(Mソナ)の作成: Mソナーコンテキストーニーズ
・コンセプトの最適化: コンセプト・メイキングとコンセプト・クリニックの方法(価値
(肯定点)、バリア(否定点)、疑問、改善点の4視点からコンセプトを評価して
最適化を行う)―否定点の改善点と価値の最大化
5-4 MROCのレポート作成
・インサイトの可視化(ビジュアル化)レポート
・ストーリーテリングのレポート
・マーケターを鼓舞し、行動に向かわせるレポート
5-5 MROCとその他の調査とのハイブリッド・リサーチ
・オフライン(リアル)リサーチによる補完
・ ソーシャル・(メディア)・リスニングによる補完
6-1 時系列の態度変容/行動変化の(定性)トラッキング
・トラッキングデータの変動の理由測定
6-2 従業員エンパワーメント
6-3 B to B MROC
6-4 CRMの進化: 顧客リストの活性化
6-5 ファン強化: MROC参加後、ロイヤルティ向上
6-6 コールセンターの補完機能:ポジティブ強化
6-7 社内MROC: 顧客マインドの社内醸成・共有
・開発部門がMROCに参加して消費者の声を聞く
6-8 MROC(クローズ)はソーシャルの実験場
6-9 顧客ロイヤルティのキー指標:
NPS
・NPSの時系列測定とその理由の測定
・顧客経験(コンタクト・ポイント)のトラッキング
・NPSと顧客経験の相関を時系列測定: 態度変容のトラッキング
6-10 MROCは、共感(共通の感動)の発見
・「商売とは感動を与えることである」(松下幸之助)
6-11 MROCの新動向: MROCの価値の強化
・リアルタイム・リサーチ/コンテキスト、エンゲージメント
―モバイル
・エンゲージメント強化(活性化)
-ゲーミフィケーション
・定性+定量の統合
-コミュニティ・パネルとビッグデータ
まとめ: ニュー・マーケティング・リサーチの今後
New(Old MR)+NewMR=NEWMROldMRの革新とNewMRの進化の統合
0 件のコメント:
コメントを投稿