2010年9月6日月曜日

The Handbook of Online and Social Media Researchの紹介始めました




《第32回》



今週のHOSMR



Ray Poynter, ’The Handbook of Online and Social Media Research: Tools and Techniques for Market Researchers’の内容紹介です。

今回は、「イントロダクション」(xi-xix)です。


1.この本を買うべきか?

1-1.対象読者

リサーチャーや、オンラインやソーシャルメディア(SM)リサーチの専門家、MRの利用者(バイヤー)

1-2.本書が必要な理由

オンラインMRの事例や、MRにおけるSMの活用についての本がないので。

インターネットやSMの利用のベストプラクティスのガイダンスをリサーチャーに提供。

1-3.本書の構成

5パートからなる。(前回ブログの「目次」参照)

2.MRとインターネット

2-1.進化と革命

進化:定量調査のデータ収集がオンラインに変わったという調査手法の変化

革命:①無作為確立サンプリング法から、オンラインアクセスパネルの利用へ
    ②SMやWeb2.0によるMRの変化

リサーチャーは、この進化と革命の新たなツールとルールを理解する必要がある。本書はそのための本。

2ー2.オンラインMRへの背景

1995年ごろからインターネットがデータ収集の手段として使用され始め、1999年以降その成長が加速し、過去3年ぐらい優位な地位を築く。


当初は、調査手法の1手法として位置づけられ、MRへの重要な意義は認められなかった。しかし、サンプリング理論のような調査の前提に挑戦したり、ブログやオンライン・リサーチ・コミュニティなどの新たな可能性を開く点において、MRを変える動きが出てきた。

2-3.オンライン・リサーチの規模

ESOMARのグローバルMRレポートによると、オンラインの売り上げシェアは、2005年の13%から2008年には20%に増加。(電話21%→18%、面接24%→12%、郵送6%→5%)。予想では今後も伸長。

2-4.インターネットがMRで急速に広がった理由

インターネットは、現在では最も重要なデータ収集の方法。急速に広がった理由は、出現率の低い人への調査や、都合のよい時に回答できる利便性以外にも、スピードがある。最も大きな理由は、コストセービング。電話が面接より約40%安く、インターネットは電話よりさらに40%安い結果(ESOMARのグローバル・プライス調査2007年)。

2-5.アクセス・パネルの登場

オンライン・アクセス・パネル(オンライン・パネル→パネルと略して呼称)の登場が普及を決定づけた。

USには郵送パネルが存在。これがUSのインターネット調査の普及を促進。ヨーロッパのクライアントの保守性がその普及を遅らせた。

早くて、安くて、ベターなものという3つの要求を同時に実現することは難しい。可能なのは、このうち、せいぜい2つ。アクセスパネルによって、早くて、安いの2つを実現。

2-6.オンラインMRにおける関心事

課題/問題点

①代表性

②サンプリング:抽出リストが存在しない

③自記式記入

④技術的限界:触感、嗅覚、実サイズ、刺激の量など

⑤非言語的内容:ジェスチャーや表情など

⑥プライバシー問題:セキュリティー問題

⑦自主的参加(自己選択)

⑧プロ的参加者の問題:インセンティグ狙い

3.本書の利用(直接内容の説明ではないので以下省略)

3-1.アイコンの説明

3-2.本書での説明の繰り返し

3-3.品質と倫理問題

3-4.事例とインタビュー

3-5.変化のスピード

3-6.参照

3-7.用語解説

 
次回は、パート1 「第1章 オンライン定量調査の概観」です。



週刊リサーチ・ブロゴスフィア


Weekly Research Blogosphere


*1週間の世界中のリサーチ関連の主なブログ・テーマを簡便に
レビューすることができる「週刊リサーチ・ブロゴスフィア」です。
興味をもたれたブログの詳細は、リンク参照。
⇒は投稿に対する個人的コメントです。


◆先週(8月29日-9月4日)の1週間分の世界のリサーチ・ブロゴスフィア

今回は、23ブログの20投稿をレビュー


★今週のお奨めブログは、2番目の「デジタルやショッパーマーケティングの時代に、従来からのブランド認知は、リサーチにとって、有用な指標なのか」という既存のMRの方法に問題提起しているJoel Rubinson氏のブログです。

前回のブログでも指摘しましたけれども、既存の手法の有効性や効率性に、疑問の視点をもつ創造性が、現在のMRに求められていると思います。リサーチのROIを改善するためには必要です。それが、マーケティング、さらには企業の生産性を上げることにつながるからです。


《海外編》


1.Jeffrey Henning 's Vovici


さすがのJeffreyさんも夏休みのようです。めずらしく1投稿のみ。

1.Social Media, Is It Too Distra . . . SQUIRREL! (8/31)

ソーシャル・メディア活用の是非についての議論。

2.Joel Rubinson on Marketing Research


2.Is brand awareness a useful research measure in an era of digital and shopper marketing? (9/1)

「ブランド認知」指標(Aided awareness助成想起)の有効性と問うブログ。

ブランド認知とブランドシェアの間には関係性はない。

リサーチがビジネスに影響をあたえるものであるならば、ビジネスが知る必要があるものを測定すべき。

ブランド認知が必ずしも「購買」の前提ではない。特にブランド力が低下しているときは、意味がない指標。

ブランドを知っていても、店頭で見つけられ、そのブランドの特徴が理解されなければ購買につながらない。そのためコミュニケーションが重要。

⇒Chief Research Officer at The Advertising Research Foundationを8月31日に辞め、 現在President at Rubinson Partners, Inc.であるJoel Rubinson氏の既存のリサーチに疑問を呈する創造的問題提起です。

確かにU and Aでブランドトラッキングを行った場合、高い認知率のブランドがトップシェアというわけではありません。しかし、一方、STM販売予測モデルにおいて、認知率は、販売量を予測する上で最も重要な指標です。つまり、「人々はそのブランドを知らなければ、買うことができない」からです。ゆえに、認知率は、配荷率とともに、マーケターが最も気にかけ、認知率アップのために、多くの広告予算を投入する指標です。

ある一定のレベルを超えた場合、認知率は購買の必要条件ですが、十分条件ではなくなり、その他の要因ーブランド価値、店頭要因などーが重要になると考えられます。


3.Research Rockstar


お休み


4.Tom H. C. Anderson - Next Gen Market Research


3.DIY Market Research is Often Creepy (8/30)

DIY調査批判。

4.Worlds Coolest Market Researcher (9/1)

NGMR Meme応募作品

5.Next Gen Market Research Job Networking (9/3)

The Next Gen Market Research group (NGMR) on LinkedIn(9,000人の加入)のメンバーである
Ben FowlerがVimeoを使って、自分の売り込みをしているビデオの紹介。

6.World’s Coolest Market Researcher - Part Deu (9/3)

NGMR Meme応募作品

5.The Future Place Blog


7.You’re never alone with a Strand – TARSK 11 (Things every researcher should know)(8/30)

リサーチャーが知っておくべき知識紹介の11回目:

UK tobacco company Wills の1959年のthe Strand cigarette導入時の広告の失敗例

目立って記憶に残ったテレビコマーシャル(レインコートを着た男性がたばこをくわえながら、物思いにふけりながらロンドンの雨でぬれた路上を歩くCM)だったけれども、人物のイメージ(「たばこ」しか友達がいないような寂しい感じ)が良くなかった。すぐにたばこは市場から消えてしまった。

8.NewMR 2010 – the plan moves forward (8/31)

online virtual conferenceの開催、12月8日の提案。参加を有料にする提案。


6.Blackbeard Blog

お休み

7.Random Sampling

お休み

8.Straight Talk with Nigel Hollis

9.Today’s consumer: mindful or conflicted?(9/2)

物を買うことによって幸せは得られないとする、物を買わなくなった「mindful consumer注意深い消費者」の登場というアメリカの新消費者論に対する反論。

単に経済状況が影響しているからではないかと。

9.LoveStats

10.Venn Diagram of Deep Fried, On a Stick, Sweets I Ate (8/30)

べん図について。

10.The Survey Geek 

お休み

11.Insites Blog

11.Dutch office expands and moves to new base (8/30)

InSites Consulting 社のオランダ・ロッテルダムオフィスの移転について。

12.MM Marcom Innovation Ranking (8/31)

Media Marketing (Belgian Marketing and Communication magazine) で、InSites Consulting 社がベルギーで最もイノベイティブな会社のトップ10に選ばれたというお話。

12.The Researcher's Perspective

お休み

13.Future of Insight

お休み

14.Voices of CMB

13.Four Keys to a Successful Customer Engagement Strategy for the Insurance Industry (9/2)

保険業界における顧客エンゲージメント戦略の4つの成功ポイント

①顧客エンゲージメントの概念を明確にし、ビジネス結果と結び付ける:具体的計画と目標の設定、
②他の業界の成功例をそのまま適用するのではなく、そこから学ぶ、
③事実に基づいた消費者インサイトをえるツールとしてリサーチを活用する、
④推奨といったような前向きな正しい指標を用いる。


15.The Forrester Blog

14.Insert Market Research Here... (8/31)

Summer’s Eve ad の失敗例をあげて、調査の必要性を強調。

なぜ広告を出す前に広告コピーテストをしなかったのだろう。

していればこのような失敗はしなかったはず。

あるいは調査をしたけれども、どこに問題があったのか?


15.The Data Digest: Brands Cannot Ignore Offline Conversations (9/3)

不満足な顧客サービスに対する文句を言う相手が、47%の人が家族や友人でトップ。

ゆえにオフラインの会話のリスニングの重要。


《国内編》



16.MARKETING RE-SEARCH BLOG

お休み


17.Marketing Research Watch

16.消費者が死を想うとき ~恐怖管理理論からみたブランド選好~(9/2)

久々の登場。今後に大きな期待。。。

「死に関連するメディア文脈が自国・外国ブランドへの消費者の選好に与える影響」について。

18.マーケティング・リサーチの寺子屋

17.メモ的に新しい動きをいくつか (9/2)

・博報堂、専門チーム「ETHNOVISION」発足
・インテージ、CSコンサルティングサービス提供
・国土交通省、道路交通データ収集を抜本改善
・ネットレイティングによる「日本のオンラインメディアの現状」
・慶應大学による2つの実験


19.tanoue40's Blog

お休み


20.アウラなブログ

18.ネクサスインタビュー(8/31)

「つながりが消費(者)行動にどんな影響をおよぼすかという分析視点が重要」

⇒まさにソーシャル・メディア・マーケティングの課題。

21.マーケティング・リサーチャーの生態

お休み

22.みんなのMR.COM


19.次世代リサーチャーの方には、創造力の発揮と、英語による情報や意見の発信を期待します(8/30)


23.Digital Consumer Planner's Blog


20.バズ・エージェンシーとクチコミ促進プログラム (9/2)


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《このBlogは毎週月曜日中に更新されます。月曜日がお休みの時は火曜日中です。また臨時に更新されることがあります》

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