2010年2月15日月曜日

オンライン・エスノグラフィ調査

前回の2010年のトレンドの記事の中で触れたのですが、
早速ご質問をいただきましたので、
簡単に触れておきたいと思います。


●ご存知「エスノグラフィ」の説明は、


「エスノグラフィとは、社会学や文化人類学における、
インタビューや観察によるフィールドワークと調査記録を
まとめた文書のこと。

あえて事前に仮説を立てずに、定性調査を重ねて
豊富な情報から仮説を見つけ出すのが特徴。

従来型の消費者調査が仮説検証型とすれば、
エスノグラフィは仮説発見型といえる。

データベースやアンケート、グループインタビュー
などに比べて、より深く消費者の本音やこだわりに
迫ることができるという」(http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/JIREI/20090209/324475/


参照:http://it.nikkei.co.jp/business/news/index.aspx?n=MMITi2000005012009


http://it.nikkei.co.jp/business/news/index.aspx?n=MMITi2000005012009

●行動観察調査のエルネット社http://www.lnet.co.jp/research/idea/kansatu.html

イード社http://www.iid.co.jp/tool/tool8.html

R and D社のhttp://www.rad.co.jp/random/53/11_ethno.html


デコム社http://www.decom.org/pages/video.html


●オンライン・エスノグラフィは、要はこれらを
オンラインで行うということです。


つまり、従来のエスノには、

1)対象者のリクルートや、準備、訪問、実施のための
大きな費用がかかることや、

2)実査とその後の分析に時間が必要ー
その間、マーケターは関与できないので、
新たな課題などへの柔軟な対応ができない、

3) 「自然な観察状況」とは言いながら、
依然、調査員(観察者)やカメラマンなどの
「割り込み」(intrusion)=目に見えないバイアスが
入る可能性がある。

といった欠点などがあります。

これに対して、

1)対象者の好きな時間に邪魔されずに自らカメラで撮影する、

2)オンライン・ダイアリーの記入。撮影内容を説明する、

3)製品使用以外にも買い物にも適用可能-買い物同行調査(Shop-along)よりもリアルである、

4)調査員/観察者がいないので、より自由に意見を記入することができる、

5)対象者は自分の考えや行動について、よりじっくり考えることも可能である、

6)観察期間に新たな調査内容のリクエストも可能である、

などの利点があると言われています。対象者への指示や協力が重要になる感じです。

オンライン・エスノグラフィ(Online ethnography)は、

バーチャル・エスノグラフィ(Virtual ethnography)とか、

ウエッブノグラフィ(Webnography)、

リモート・エスノグラフィ(Remote ethnofraphy)、

デジタル・エスノグラフィ(Digital ethnography)

などとも呼ばれています。

歴史は、結構古く、1996年だそうです。下記参照。
Met the father of Netnography

●今後はMROC(コミュニティ)調査の中で行う頻度が
増えると思います。

●前職の調査会社でもエスノ方法はありました。

以前あるクライアントのところでエスノを説明したのですが、
担当者から「御社のエスノの方法には、
何か特別の分析方法がありますか」と尋ねられました。

担当者が期待していることはわかっていましたので、

「弊社のエスノには他社にないXX法という分析方法が
あるのが特徴です」と言いたかったのですが、

正直「残念ながら、ございません」と答えました。

●つまり、エスノをやれば必ずヒット商品や販売方法に
つながり、誰が分析しても

有効なインサイト抽出につながる「特別な分析方法」
はありません。

どの会社もこれまでの「実績」をアピールするケースが
多いと思います。つまり、経験豊富なスタッフがいる
いった話になります。

●ある意味、やってみなければわからないという面もあります。
最悪、マーケターやリサーチャーが自分の身の回りを「観察」したレベルの情報しか得られない場合もあります。

エスノの関係者の方には、ぜひこれまでの経験から、
ご自身のノウハウを体系化・理論化して、「XX法」といった
有効な分析方法をまとめて、いただきたいと思います。


「マーケティング・リサーチの寺子屋」でも1月25日号に
「行動観察」が取り上げられていました。 参照下さい。


Twitterでも、先週、トランスコスモス株式会社エグゼクティブ
リサーチャーの萩原雅之(はぎはら・まさし)氏が

『@surveyml: JMRAが「マーケティングリサーチャー」誌の
特集と連動した新セミナーシリーズを開始、
第一回は3月9日「今、脚光を浴びる行動観察」、
ビジネスエスノグラフィですね。ぜひRTを。
概要と申し込みは http://ow.ly/16CDL #j_mr
つぶやかれてました。


内容は、「JMRAトピックスセミナー~なぜ、生活者が
見えにくいのか~ 今、脚光を浴びる行動観察
3月9日(火)13:00~16:00」です。

残念ながら、その特集号を読んでいませんので、
ここに書かれているようなことが既に掲載されて
いるかもしれません。
 

●ところで、Twitterで、マーケティング・リサーチ関連
のことをつぶやいた場合に、

上のように(半角スペース)#J_MR(半角スペース)を
つけていただくと(大文字、小文字は問いません)、
MR関連のつぶやきが一挙にまとめて見られます。
これをハッシュタグと言います。
これは非常に便利な機能です。

●ちなみに、海外のMR関連のハッシュタグは、

#MRや、 #marketresearch、 #esomar、 #qrca、 #qual、 #focusgroups、 #quant、#marketing_research、#marketingresearch、#QRWEB、#research、#mroc#Netnography、#insights20、#consumerinsights

などがあります。


●この1週間だけでも、次に様な投稿があります。例えば、

How online observational techniques help qualitative researchers keep pace with the speed of consumers
(オンライン観察調査によって、定性リサーチャーがいかに消費者のスピードについて行けるか)ーホンダのケース

ダノンのケース


●また、世界のマーケテイング・リサーチャー
Twitterの listsは、

http://twibes.com/のmarket_research 。

現在400名ぐらい登録されています。


《このBlogは毎週月曜日の午前中に更新されます。月曜日がお休みの時は火曜日の午前中です。また臨時に更新されることがあります》

1 件のコメント:

@elpinchito さんのコメント...

こんにちは。この記事を読んでオンラインマーケティングリサーチについて非常に良い勉強になりました。私は現在、MBA課程で、netnographyの創始者であるR.Kozinets教授の下で研究を行っています。
先日、同教授のMBA学生達向けに、netnographyをわかりやすく紹介する目的で30分程度のプレゼンテーションを行いました。よろしければ、下記のリンクにアクセスしていただければと思います。(ご質問等あれば、ご連絡ください)

プレゼン資料:http://www.slideshare.net/elpinchito/netnography-overview-and-how-to-schulich-school-of-business-mba-class-social-media-marketing-by-robert-kozinets
プレゼン動画:http://www.youtube.com/watch?v=UWApBu2ERTU&feature=g-all-lik&context=G2406cc9FAAAAAAAAAAA

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