2010年6月7日月曜日

リサーチャーの皆さん、SPEAK OUT !

.


《第25回》




今週のTOPICS 



●リサーチャーの皆さんも、リサーチ・ブログを書いてみませんか?

本ブログでは、毎週、世界のリサーチ・ブロゴスフィアをご紹介しています。

リサーチの最新動向や、さまざまなリサーチ関係の議論を知ることができます。

今週のタイトルのSPEAK OUTとは、

「大声で言う、はっきり言う、正々堂々と意見を述べる」という意味です。

リサーチャーの皆さんも、リサーチ・ブログを書いて、SPEAK OUTしませんか。


●日々の調査業務の中で、体験したこと、学ん

だこと、初めて知ったこと、気付いたこと、

疑問に思ったこと、解決したい質問、業務の

改善点、プロジェクトの反省点、

実査の現場ー会場テストやグルインのこぼれ話、クライアントやサプライヤーの対応、

調査業界に対する意見、将来のキャリアプラン、調査の面白い点、好きな点、嫌いな点、

リサーチ課題解決の成功事例、方法論の議論、データ分析手法、

上司や同僚の話、会社の話、出席したセミナーや研修のメモ、

最近読んだリサーチ関連の本などなど、

ネタはいくらでもありそうです。

プロジェクトが終了するごとに、その学びを次回に生かすために、

良かった点や、反省点や課題などをリサーチ・ブログで整理するのも良いのでは。

もちろん、「守秘義務」を履行して、固有名詞などは省略して。。。

また日々の業務や、お店や街で見つけた「インサイト」を発表したり。。。

●さまざなリサーチについての「知識」と「経験」を共有する(集合知)ことによって、

自分の考えをブラッシュアップすることにもなり、

また、他の人のスキルアップにも貢献します。

何よりも、リサーチャーとしての貴重な日々の「記録」にもなります。

●CSHH (CONNECT⇒ SHARE⇒ HELP⇒ みんなHAPPY)の精神です。

良いことを1人の頭の中だけ、或いは会社の中だけに留めないで、ぜひ共有してください。

リサーチャーのノウハウの共有が、リサーチの進歩にもつながると思います。


今週のMR情報源 VIII 
 


MRIA: The Marketing Research and Intelligence Association (カナダのリサーチ組織)


●Canadian not-for-profit association representing all aspects of the market intelligence and survey research industry, including social research, competitive intelligence, data mining, insight, and knowledge management.

●カナダのリサーチ関係の3つの団体:Canadian Association of Market Research Organizations (CAMRO), the Canadian Survey Research Council (CSRC) and the Professional Marketing Research Society (PMRS)が2004年に統合して発足。

●先週、カナダのトロントで、5月30日ー6月2日まで、第50回年次会議を開催。

プログラム    

Twitterのハッシュタグは、#MRIA_AC 或いは、#MRIA

●ブロゴスフィアに登場する

Joel Rubinson, Chief Research Officer, The ARF「The Future of Marketing Research」、

Nigel Hollis, Executive Vice President and Chief Global Analyst, Millward Brown.「The Future of Researching Advertising Effectiveness」

がワークショップに参加したり、

Annie Pettit, CRO, Conversition Strategies Inc. 「Social Media Research: From Buzz To Biz
が発表を行いました。


●興味深いのは、業界団体がリサーチャーの能力を証明する資格試験を実施していること。
Comprehensive Marketing Research Exam (CMRE).

リサーチャーに対して、

high level of knowledge and capability in marketing research theory and practiceを保証するもの。

試験を実施し、合格者にCertified Marketing Research Professional (CMRP)の証明書を交付。


業界ニュース

マーケター・ニュース

マーケティングにおけるリサーチの価値:

リサーチのないマーケティングは、空中に矢を放ってから、的を探すようなもの。



週刊リサーチ・ ブロゴスフィア

Weekly Research Blogosphere



*1週間の世界中のリサーチ関連の主なブログ・テーマを簡便に
レビューすることができる「週刊リサーチ・ブロゴスフィア」です。
興味をもたれたブログの詳細は、リンク参照。

◆先週(5月31日ー6月6日)のリサーチ・ブロゴスフィア

23ブログの31投稿をレビュー



※ 私個人の独断と偏見で各ブログの講読おすすめ度を記入しましたのでご参照下さい。
   それぞれ関心のテーマや理解度などが異なりますのであくまでも参考です。

★★★ ぜひ英文もじっくり読んで下さい。(非常に重要)
★★  時間があれば読まれても良いかと思います。(重要)
★    別に読まなくても大丈夫でしょう。(あまり重要ではない)   

⇒は私的コメント。


《海外編》



1.Jeffrey Henning 's Vovici 



1)Don't Ask, Don't Know (5/31)★★

「Don't know(わからない)の選択肢を含めない方がよい」と主張しています。

「わからない」の回答が増えて、データ量が減ることと、

データに偏りを与える可能性があるからだと述べています。

⇒調査票の作成で、選択肢は網羅的でかつ排他的と習います。

その意味で、「わからない」という人もいるので、通常は「わからない」の選択肢は

入れるようにと教わる場合が多いと思います。

しかし、Jeffreyの主張は、選択肢に「わからない」があると、

多くの場合、人々は何らかの意見をもっているにもかかわらず

考えることを放棄させ、安易に「わからない」の回答を助長させる危険性があるということです。

確かに、これには一理あります。

逆に、「わからない」の選択肢がないので、無理やりどこかに丸をつけて、

逆にデータに誤りを与える可能性もあります。

これは意見が分かれるところでしょうか。

訪問面接調査で調査員が聞く場合は、「わからない」を「回答カード」に、

記載しないことによって、この問題を解決していましたが、

自記式のオンライン調査ではこの操作は難しいかもしれません。

音声対話式のオンライン調査では可能かもしれませんが。

調査課題や質問文の内容に応じて、「わからない」の意味を検討して、

入れるか入れないかの判断をする必要があると思います。

ただ事実を聞く場合に、「わからない」の割合を知る必要がある場合はいれた方がよいでしょう。



2)The Carnival and the Amusement Park: A Tale of Two MROCs (6/1)★★


MROCS(エムロック: market research online communities)は、長期なものより、

アミューズメント・パークやカーニバル型の短期的なものが主流に。


3)Social Media Monitoring Tools by Department (6/2)★★


ソーシャル・メディアのモニタリング・ツールは、企業の部署ーマーティング部やリサーチ部、

カスタマサービス部のニーズによって異なる。


4)Self-Reported Data: Point/Counterpoint (6/3)★★

下のResearch Rockstarの投稿Self-Reported Data is Problematic, or Worseに対する反論。

さらにVoices of CMBの投稿で、

Cathy HarrisonDebating the Usefulness of Self-Reported Market Research Dataが2人の議論を論評。
  

自己申告の回答(Self-Reported Data)について、下でResearch RockstarのKathryn Korostoffが、

正確ではないと述べているのに対して、グループ全体として見た場合は、

正確性はあり問題はないと反論。

従ってリサーチで使用することは可能であると主張。

●この3人が参加するAMAの無料Webinar: Unveiling Marketing Research's Future Online

6月23日夜11:00-(日本時間)

USのWebinarは日本時間では深夜になることが多いですが、めずらしく夜11時スタート。


⇒Self-Reported Dataの例でよく使われる例として、体重と身長の例があります。

人々は、実際の測定(direct measured data)よりも、 身長はより高く、体重はより軽く回答する

可能性があるということです。それゆえに自己申告のデータの信頼性が問題になります。

このような傾向がランダムに起これば、つまり、身長をより高く回答する人もいれば、そうでない

人もいる結果、全体の傾向は大きくはブレないということです。

サーベイ・データには、この他、対象者が「ウソ」を付いたり、

過去のことで記憶があいまい(リコール・データ)であったりなど、エラーが混在する

可能性は多くあります。


5)Consumer Attitudes towards Social Media Market Research #casrotech      (6/3)★★

JeffreyがNYで開かれたCASRO Annual Technology Conferenceで発表した内容について。

ソーシャル・メディアをリサーチに使うことについての消費者調査の結果発表。(n=426)

95%がプライバシー問題に関心が高い。

この調査の結果は、ソーシャル・メディア・リサーチの倫理を考える上で参考になります。

⇒ソーシャル・メディアは消費者の本音を知る上で参考になると言われているけれども、

ブログを書く時も、Twitterでつぶやく時も、やはり読者を気にしての発言、つまり

書きたくないこと、言いたくないことは、書かれていない点に

留意するという点が個人的には参考になりました。


6)Sentiment and Text Analysis: Man, Robot or Cyborg? 
(6/5)★★

センチメント分析関係の話題

肯定、否定、中立に分類するセンチメント分析は、中立の意見が多いので、その精度に問題

ありとするMatt Rhodesの研究などの紹介。Brian Tarran Mike Daniels Conversition iModerate

大量のデータの時は自動分析で、少数の時は、人間による分類作業が必要。


7)Market Research No Longer as Popular as Miley Cyrus 
(6/6)★★

MR業界の将来を展望。

コンサルティング大企業や、Cognitive neuroscienceからのMRへの脅威。


2.Joel Rubinson on Marketing Research



◆先週の新規掲載はなし


3.Research Rockstar (By Kathryn Korostoff)


8)Self-Reported Data is Problematic, or Worse (6/3)★★

上のJeffreyのSelf-Reported Data: Point/Counterpoint で述べたように、

自己申告データの信頼性に問題ありと主張。

特に、社会的に望ましい回答が想定される(歯のケアの質問など)場合や、

調査で回答することがその後の行動を変化させるような質問(購入意向の質問など)の場合には、

自己申告の回答の信頼性はより低くなると主張。


9)Conducting Online Surveys Using Online Research Panels (6/2)★★

オンラインパネルについてのwhite paper

オンライン調査の7つのリスク

1.対象者条件を絞り込みすぎない。スクリーニング条件は2つぐらいが妥当
  ー市場機会を見過ごす可能性あり

2.長い調査票は避けるー短く簡潔に。15分以内。

3.謝礼目当ての詐欺行為によるサンプル(incentive huntersやprofessional respondents)の排除
  ーdigital fingerprintingによるチェック。

  Intellectual sweatshops (労働搾取会社)による大量の無効サンプルの創出

4.調査参加の頻度をチェック

5.対象者のプロフィールの更新状況をチェック

6.ダイレクト・マーティングのリストをパネルとして使用するケースがあるので注意

7.データ収集プロセスについての情報開示の程度

⇒発注側でコントロール可能な部分もあるけれども、上記③ー⑥などは、発注側自らでは
検証できないーつまり業者側が適当に回答する可能性ー問題点が残る。


4.Tom H. C. Anderson - Next Gen Market Research


10)Week in Stockholm Starts Interestingly (6/1)★


ストックホルムでのハプニングについて。



5.The Future Place Blog 
(By Ray Poynter)


11)Would abandoning democracy save the planet? (6/1)★

気候変動について。


6.Blackbeard Blog (By Tom Ewing)


なし


7.Random Sampling (By Ed Erickson)


なし


8.Straight Talk with Nigel Hollis 


12)Why Dunkin Donuts lures Colombians away from local brands (6/1)★

コロンビアのボゴタ空港でのDunkin’ Donutsの販売について。



9.LoveStats (By Annie Pettit )


13)MRIA Day 1: The Best Was Yet To Come? (6/1)★


上記のMRIA年次会議に出席しての感想。


14)I’m smarter than all of you put together (6/4)★


調査において、対象者(人間)が常に理性的であるとは限らず、

非論理的存在であることを考慮する必要性について。


15)New blog post: Down with quant! Long live qual! #li 
(6/5)★


マーケティング・リサーチにおける測定の限界。

体重や身長のように事実を計量的に測定するような正確性をもって、

MRでは、意見やアイディア、記憶を測定することはできない。

言いかえれば、(究極的には)MRは定量ではなく、定性?


16)I’m a speaker! Wed, 2pm, Boston, MRA – Are YOU listening? (6/6)★

6月9日(水)にMRAの年次会議で発表することの告知。




10.The Survey Geek (By Reg Baker )


17)Guest Post: Social Media Conference Part 2 (6/3)★★

IIR Social Media/Communities conferenceの報告その2


18)Staying connected to reality(6/5)★

CASROのISO 20252の検討会議に出席して。


11.Insites Blog (By Insites Consulting)


19)Worldwide recognition for pioneering social media research technique (5/31)★★

●InSites Consulting’sのNetnography調査について。

●オンライン上の会話のリスニングが必要な理由

①ソーシャル・メディアは今日多くの人が読む→重要なコミュニケーション要素→

購買意思決定に影響を与える広告の役割

②調査の協力率が低下する中で、自発的に発言された重要な情報源

③従来の調査では得えられなかった新しくて品質の高い情報をえることができる。

moment of truthを観察し、新しいインサイトを生み出すblind spotsの発見につながる可能性がある。



12.The Researcher's Perspective 
Thoughts and Opinions of the MR Industry by MRA  



20)The Survey is Dead, Long Live the Survey (6/2)★★★

Jerrey Henningsの出張ブログ

以前このブログでもご紹介したRay Poynterのthe survey will be dead in 20 yearsへの反論。

only bad survey practices are dead. Long live the survey!と予測。


13.Future of Insight  by Robert Moran


21)Measuring the Future of Market Research (6/3)★★★

「現在調査会社が行っている調査業務に半分は、3年後には不用になっているだろう」という

議論をめぐって。

●クライアントが現在MRに求めていること:

1. 戦略的提言(レコメンデーション)

2. 簡便な報告書(Concise Deliverables)

3. 消費者全体についての深いインサイト(Deeper Insight into the Whole Consumer)

4. スピード 

5. 情報空間の統合的理解(An Integrated Understanding of the “Infoverse”)

6. Truly Understanding the Role of Emotion in Human Behavior 
(人間行動における情緒の役割の理解)

7. インサイト・マネジメント (Insights Management)

8. 価値 (Value) 

スピートへの対応: ソーシャル・メディア・リサーチの可能性(listeningの改善と代表性の問題)
Listening EpochからSimulation Epochへ


22)“Street Interviewers with Jetpacks”? 
(6/4)★

Jetpacks(右図)で街頭調査?


14.Voices of CMB:
The Chadwick Martin Bailey Research Blog



23)Debating the Usefulness of Self-Reported Market Research Data (6/3)★★

上のJeffreyとKathrynのself-reported dataの議論に対して、

データを相対的に解釈するなど、いろいろな状況を考慮すれば、

自己申告データを使って、全体として、

マーケティング・リサーチの結論を導くことは可能。

このようなデータのバイアスを考慮し、データを解釈、結論を導くのが

リサーチャーの役割の1つである。


15.The Forrester Blog : 
For Market Research Professionals

24)The Data Digest: How Choosing A Financial Company Differs By Age (6/4)★

年齢による金融機関の選択理由の違いについてのデータ紹介


25)The Theme Of The Week: Getting Social (6/4)★

6月9日(水)からボストンで始まるMRA年次会議の予告。

Market Research in the Groundswell



《国内編》


◆今週から、2つのブログが加わりました。

1つは、@auraebisuこと『図解 インターネット・リサーチのことがわかる本』や

図解でわかるマーケティングリサーチ―リサーチ理論と実務の進め方が図解でわかる基本書』で

おなじみの業界の大先輩である石井栄造氏の『アウラなブログ』です。

もう1つは、@sakihirojpで、「1979年生まれの典型的なB型系マーケティングリサーチャーとリサーチシステムの設計エンジニア」さんのブログ『マーケティング・リサーチャーの生態』です。



16.MARKETING RE-SEARCH BLOG by @fujiokat

なし


17.Marketing Research Watch by @shig_ono

なし

著者からのメッセージです。Take it easy...

『新規投稿が順調に遅れております! ご愛読の皆様(って誰だ?),何卒ご容赦くださいませ。次回記事は「死の恐怖とブランド選択」(仮題)であります。面白そうですよね? 実際に面白いといいんですけど。』


18.マーケティング・リサーチの寺子屋 by @ats_suzuki


26)「母数」と「サンプル数」の本来の意味は? (5/31)

インテージの篠原 正裕氏(早稲田大学大学院文学研究科心理学専攻修了)の寄稿。

分母の意味で使う「母数」と、対象者数を「サンプル数」と呼ぶ

ー正解は「サンプル・サイズ(サンプルの大きさ)」誤用の指摘。

アカデミックから見て、業界で慣習的に誤用されている「専門用語」は気になるところ。

篠原氏曰く

『市場調査に携わって、かつその道のプロを標榜するならば、

統計学における正しい使い方を最低限「知っている」実務家であるべきなのではないかと

個人的には考えています。

調査を円滑に、適切に実施・分析するために重要なのは、

非学術的なスキルが圧倒的に重要であるように思います。

上述の用語の使い方などは瑣末な問題なのかもしれません。

しかし、科学的に仮説検証、評価を行う市場調査では、統計学の知識も重要です。

正しい統計学の知識を学び、更新しつづけることが、

実務家が信頼性を獲得していく上で必要なのではないか。

そう思うのです。』

まったく同感です。



●Twittcherの会では、篠原氏を講師にお迎えして、

6月14日(月)7:30からSEMの勉強会を開きます。

ご参加をお待ちしております。


19.tanoue40's Blog by @tanoue40

なし


20.アウラなブログ by @auraebisu


27)「グルト!」のインサイト (6/3)

インサイト=消費の暗黙知



21.マーケティング・リサーチャーの生態


28)リサーチはおもしろい (5/29)

10年リサーチ業務に携わっての感想。。。

29)マーケティング・リサーチ業界って1800億円 (5/29)

リサーチの限界を乗り越えて。。。




22.みんなのMR.COM by @Experidge


30)リサーチのビジネスへの貢献度アップを目指して・・・ 
(5/31)


23.Digital Consumer Planner's Blog by @Experidge


31)リスニング・ソリューション: メディア・モニタリング (6/3)




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《このBlogは毎週月曜日の午前中に更新されます。月曜日がお休みの時は火曜日の午前中です。また臨時に更新されることがあります》

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