2010年6月14日月曜日

リサーチャーを育てるうえで、上司の方の役割は重要




《第25回》




今週のTOPICS


◆若手のリサーチャーさんが自分の失敗談を述べたりする場合があります。

例えば、報告書の枚数が多くなったとか、

企画書や報告書が、クライアントの意図にあっていなかった、

調査デザインが間違っていた、

調査結果がクライアントが求めていたものではなかった、

などです。

若手のこのような失敗談を読んだり、聞いたりして思うのは、

その時の上司の方は何をしていたのかな?ということです。



結構、リサーチャーという人種は、職人的に自己完結的に業務を行う場合があります。

上司や周りの先輩にアドバイスを仰がないで、独断で報告書を完成させようとすることがあります。

上司や先輩が忙しそうなので遠慮するケースもあります。

上司や先輩の方も自分の担当業務で忙しかったり、自分の負担を増やさないように、

手を差し伸べない場合もあります。

フリーで1人でやっている場合はしょうがないでしょうが、会社組織でやっている場合、

会社全体のMRの「集合知」を利用しない手はないと思います。


前々回のブログで、「リサーチのビジネスへの貢献度アップ」に向けての提言を

いくつかまとめてあげました。


最終的には個々のリサーチャーの実力アップに帰する部分が大きいところもあります。

そのリサーチャーの実力をあげる上で、「上司」の役割が大きいように思います。

あるいは会社全体の体制や、研修制度も重要でしょう。

上司の方は、それだけ社歴やリサーチャー歴も長く、MRについての知識や経験も多くあります。

クライアントの課題を理解して、プロジェクト全体を俯瞰する実力もあります。

部下の方は、上司の知識や経験を尊重して、素直な気持ちで、アドバイスを

受けた方がよいでしょう。

他方、上司の方もお忙しいでしょうが、これまでの知識と経験を生かして、

適切な指導や指示が求められます。

もちろん、上司として求められるコミュニケーション能力やモチベーションづけなどの

基本的スキルも必要です。


でも現実は、時には、指導・指示不足、まかせっきり、上司の知識・経験不足の場合もあります。

メーカーにいた時、担当調査会社は、ジュニアの部下とその上司で、

クライアント対応をしていました。

明らかに上司の人がチェックしていないと思われる企画書や報告書が

提出されることがありました。

ジュニアの人は一生懸命頑張って、それらを作成したのでしょうが、

やはり知識・経験不足で満足のゆくものではありませんでした。

クライアント側は、その会社、あるいは上司の人の実力に期待して仕事を

お願いしています。ジュニアには多くは期待していません。

ジュニアの人は、1人前になるまでは、忙しい上司に代わって作業を行う要員であるので、

最終納品物には、必ず上司の方のチェックを期待しています。


新人やジュニアの人が自分で創意工夫をすることは自己成長にとっても大切でしょう。

しかし、経験の浅いジュニアの人が企画書や報告書をどのような形式で書いたらよいかなどに

悩む時間ー経験不足ゆえに作業時間を多くとり、残業になったりしますーを

もっと有効に活用した方がよいように感じます。

先輩や上司が適切に指導を行うことが必要です。

企画書や報告書のテンプレート化がなされている会社はさらにベターです。

文書だけでなく、調査課題解決のソリューションも、マニュアル化や、標準化、

共有化されていると、ジュニアの方の成長も早いでしょう。


もっともっとこれまでの知見を有効活用して、新人やジュニアの方の業務の効率化、

ショートカットをはかり、もっと他に学ぶべきことにその時間を振り替え、

実力アップを増進させることが、本人にとっても、上司にとっても、

また会社にとってもハッピーではないでしょうか?



週刊リサーチ・ブロゴスフィア

Weekly Research Blogosphere


*1週間の世界中のリサーチ関連の主なブログ・テーマを簡便に

レビューすることができる「週刊リサーチ・ブロゴスフィア」です。

興味をもたれたブログの詳細は、リンク参照。

◆先週(6月7日ー6月13日)のリサーチ・ブロゴスフィア

23ブログの34投稿をレビュー


《海外編》



1.Jeffrey Henning 's Vovici


1.Closed-Loop Feedback Process (6/7)

CASRO Technology ConferenceでのDerek Bildfellの発表
"Merge Customer Research with Online Reporting to Maximize ROI"の紹介。


2.Multi-Country Projects: Many Languages, Many Categories, Many Challenges (6/8)

同じくCASRO Technology conferenceでのJeff Thompsonの発表
challenges of managing multi-country survey projects の紹介。


3.Top 5 Lessons for Managers of Private Panels (6/9)

①Sample Sourcing

②Panel Recruitment:プロフィール・サーベイの実施

③Panel Management: 月に1-2回の頻度

④Data Quality & Validation :質問の長さや調査票に注意

⑤Policies & Compliance: リサーチ・ガイドラインの作成

4.Market Research in the Groundswell #MRA_AC (6/10)

MRA年次会議でのGroundswell.の共著者であるJosh Bernoffの発表の紹介。


5.Researcher, Heal Thyself: How NEJM Made Market Research Strategic (6/11)

MRA年次会議でのAnn Boyleの発表
 “Shifting to a Customer Focused Strategy, Our Experience”の紹介。

6.Marketing Research Association Annual Conference 2010 (6/12)

MRA年次会議のTwitterより。

2.Joel Rubinson on Marketing Research


7.Evolving the marketing research agency (6/7)

調査会社の進展の方向性について。


3.Research Rockstar   


8.YouTube Preview of Online Market Research Training (6/6)

Research Rockstar オンラインMRクラスのYouTubeでのプレビュー。


4.Tom H. C. Anderson - Next Gen Market Research

9.The Market Research Industry’s First Internet Meme Competition! (6/7)

Next Gen Market Research (NGMR) “Make Research Meme-ingful” Contestについて。

10.1st NGMR Internet Meme Contest - Follow Up (6/10)

9の続き。

11.Sneak Peak of Largest Ever MR Survey (6/11)

Research Industry Trends Monitoring Group (RIT MG) Surveyについて。


5.The Future Place Blog 

12.What is the role of a set of ethics? (6/9)

調査における倫理行動規範やガイドラインのポジとネガ。


13.Should we ask Overall Satisfaction at the Start or End of a Survey? (6/10)

全体満足や全体評価の質問を前に置くか最後に置くか?

前の質問の回答は、自然に出る回答で、行動を予測する場合に向く。

最後の質問の回答は、合理的、考慮した回答。



6.Blackbeard Blog

なし

7.Random Sampling

14.Social media mining can replace focus groups (6/7)

ソーシャル・メディア・マイニング(SMM)が、グルインのような定性調査にとって代わるかどうか?

銀行とクレジットカード会社について、グルインとオンラインフォーラムの結果を比較するために

実験調査を実施。結果は、同様な結果を得た。

しかし、SMMは、一般的な感情や、意見の広がりを見たいなどの探索的リサーチ

に向いているが、説明的リサーチに向いていない。

ゆえに、SMMは、早くて安くできる、グルインの有効な代替手段になる場合と、

そうでない場合があることに留意する必要がある。


8.Straight Talk with Nigel Hollis

15.Why advertising pretesting is both similar to and different from visiting the dentist (6/7)

広告コピーの事前テストは、虫歯予防に歯医者に行くようなもの。


9.LoveStats

16.3 tips to force consumers to be more loyal to your brand (6/7)

消費者からロイヤルティを得る方法

①リスニング
②結果の基づく行動
③尊重し、共有

17.MRA Boston Day 1 – Tweeple save the day! (6/9)

6月9日ー11日、ボストンで開かれたMRA年次会議の報告①

Twitterハッシュタグ MRA_AC 


18.MRA Boston Day 2 – More good stuff! (6/10)

MRA年次会議の報告②


10.The Survey Geek

19.MROCs to the rescue! (6/12)

MROCが助ける番?

11.Insites Blog


20.Delivering Happiness (6/8)

ZapposのCEOのTony Hsieh の近著

Delivering Happiness: A Path to Profits, Passion, and Purposeの紹介。

21.CBC Training at SKIM Conference (6/10)

Choice-based conjoint (CBC), Adaptive CBC and MaxDiffの研修報告。

12.The Researcher's Perspective

なし

13.Future of Insight

 なし

14.Voices of CMB

22.Fame or shame…It’s all in the industry (or the household) (6/7)

MSN Money Hall of Fame(顧客サービスでトップ10の会社)と

MSN Money Hall of Shame (ワースト10の会社)について。


23.The perils of benchmarking: Are you measuring against yesterday's realities or today's?(6/8)

MRAの年次会議でChadwick Martin Bailey's chairmanである John Martinが行った発表、
 "The Perils of Benchmarking: 10 things to consider when deciding how you should benchmark against the market." について。

ベンチマークを盲目的に使うことの危険性について。特にマーケットリーダーにとって。


24.Content Reigns- Netflix Positioned to be King (6/9)

消費者は、ディバイスよりもコンテンツに関心がある。

15.The Forrester Blog

25.Are Cell Phones The Key To Reaching Latin American Consumers? (6/9)

ブラジルとメキシコの都心部の住民の56%は、いまだオンラインと繋がっていない。

それゆえ、企業は消費者と繋がる場合、ソーシャル・メディアツールを使えない。

他方、75%の住民は携帯電話を持っている。しかし、5%が携帯からインターネットに接続可能。

将来は、携帯が企業と消費者を結ぶ有力なツールになる可能性。

26.The Data Digest: Interest In Mobile Content In APAC (6/10)

アジア・パシフィックのモバイル・サービスの利用状況について。

Ring tones and ringback tonesサービスがトップで、ゲームや音楽が続く。




《国内編》


16.MARKETING RE-SEARCH BLOG

なし

17.Marketing Research Watch

なし

18.マーケティング・リサーチの寺子屋

27.2010年5月の twitter から

この記事を読まれて、リサーチャーの中で、Twitterをされる方が増えることを期待しています。
そして、Twittcher(ツイッチャー)の会にもぜひ参加して下さい。勉強会やセミナーを行っています。リサーチャーの会社を超えたネットワーキング作りを行っています。

19.tanoue40's Blog

28.新聞記事:「納得消費」広がる (6/2)

「お金を払ってでもきちんと試し、納得したうえで商品を買う人が増えている。」


「有料お試しが広がる背景:「買い物で失敗したくないという消費者の気持ちが強い。品質を確認できる安心感にお試しの支出より価値を感じる人が増えている」と分析」


「お金を支払ってでも品質を確かめたいという消費者のニーズの高まりと、企業側の収益源確保(少額でも、多くの人がお試しを利用すれば結構大きな金額になる)の思惑が一致した結果「有料お試し」が存在しているのだろう。」

29.新聞記事:ビール系飲料 スーパーよりドラッグ店安く (6/9)

「ドラッグストアでビール系飲料の割安感が強まっている。」


「ルール(薬事法)が変わると、プレーヤー(ドラッグストア、スーパー、コンビニ各社)の動きもずいぶんと変わるのだということを感じた記事であった。」

→インテージの流通パネルデータでも検証されていますか?

20.アウラなブログ

30.切歯扼腕 DaybyDayインタビュー (6/9)


同一対象者に、同一インタビュアーが、同一テーマで、2日間連続で1on1インタビューを行う」


31.サイパンの米軍滑走路(6/9)


21.マーケティング・リサーチャーの生態

32.リサーチレポート(6/11)


22.みんなのMR.COM

33.リサーチャーの皆さん、SPEAK OUT !  (6/7)

23.Digital Consumer Planner's Blog


34.リスニング・ソリューション: テキスト分析ソフトウエア・ベンダーの4タイプ (6/10)


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《このBlogは毎週月曜日の午前中に更新されます。月曜日がお休みの時は火曜日の午前中です。また臨時に更新されることがあります》  

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