2010年2月22日月曜日

リサーチのマーケティングからの独立: 独立組織としての調査部門について

●前回ご紹介したオンライン・エスノグラフィ(OE)の
反響は大きかったようです。

●OEの別名をいくつか紹介しましたが、
さらにRemote Ethnographyとか、
Virtual Ethnography
という呼び方もあるようです。

●1点補足しますと、
OEは従来の伝統的なエスノグラフィ
=行動観察
(仮にTraditional Ethonography:TEとここでは呼びます)
よりも、次の点でも少し異なっています。

-より多くの対象者を調査することができる。

ーオンンラインで集めた定性データを
テキスト・マイニング手法を用いて、
迅速に大量のデータを分析することが可能。

この点で、時間的・費用的な削減が可能になります。

担当者の力量に負う面が多いTEに対して、
より客観的な情報を提供することも可能です。

アウラマーケティングラボの石井栄造さんが
同時期にご自身のブログ「アウラなブログ」でも
エスノを取り上げておられるのでご参照下さい。

石井さん曰く、

『行動観察の結果から「大きな発見」があることは
マレと考えた方がよい。
語られるのは成功事例だけと考えるべき。』

●石井さんと言えば、同文館出版から

石井栄造『図解インターネット・リサーチのことがわかる本』を

この2月に出版されました(1700円)。

●石井さんは、ご存知『図解でわかるマーケティングリサーチ
(日本能率協会マネジメントセンター)の著者でもあります。

この本は、2001年に出版されましたが、いまだに店頭にあり、
よく売れている本です。

●インターネット調査については、
自著である岸川茂著『図解入門最新マーケティング・リサーチがよーくわかる本』(78ー81頁)でも触れましたが、
近い将来、海外の動向を踏まえて、
議論したいと思っています。

●石井さんの上の両書とも、MRをやさしく、わかりやすく
説明しています。非常に読みやすい本です。


自著の『図解入門・・・』を書いたときに、
もっとも参考にさせていただいた本です。

●さらっと読むとよく理解できて、何も感じないのですが、
いざ自分が「簡単に、わかりやすく書く」となると、
それは非常に大変作業です。

しかも石井さんの本は、見開き2頁で、
1テーマを完結されている点は、
さすがだと感心致しました。

書き始めると、あれもこれも書きたくなって、
テーマ1頁(もう1頁は図表)に納めるのは至難の業です。

見開き2頁で1テーマ+図解方式は、
読者にとってはスッキリして読みやすく、
理解しやすいと思います。

出版社の人の話では、最近は専門書は
値段も高く売れないそうです。
入門書のようなやさしい本の方がよく売れるそうです。

本屋でよく「図解。。。」という本を見かけるゆえんです。


●前置きが少し長くなりましたが、次は今日の本題です。

マーケティング・リサーチの寺子屋」さんが最新のブログで、

石井淳蔵『マーケティングを学ぶ 』(ちくま新書)


を取り上げておられましたので、
私も、たまたま購入して読んでいましたので、
それに便乗し、若干コメントしたいと思います。

●今気付いたのですが、今週はたまたま「石井」
つながりになったようです。。。

●蛇足ですが、石井教授の著書にはいつも
「神戸大学教授」という肩書のみが
ついているのですが(現在は流通科学大学学長)、

実は1976年ー1989年まで、母校である
同志社大学の商学部でも教えておられました。

キャンパスでよくお姿をお見受けした思い出があります。。。

●本書の詳細な目次は「寺子屋」さんに譲るとして、
本書で気になったのは

「第IV部 第18章市場調査情報を使いこなす」(253-265頁)


という部分です。

参考になると思いますので、この部分だけでも
本屋で立ち読みして下さい。

●ポイントは、花王の「調査部」の例をあげられて、

「独立組織として調査部をもつことのメリット」

を考察されている点です。

調査が独立していないと


①マーケティング部門がリサーチャーを
便利づかいする傾向が生じる(便利屋として使われる):
自分たちの使い勝手のよいようにリサーチを利用する。

調査担当者の立場が弱い分だけ、
マーケターはノーチェックで、自身の企画を
思いのままにすすめる。

②調査が形骸化する:
「マーケッターの考えをサポートするだけの調査」や
「役員の承認を受けるだけの調査」が行われやすい。

③やるべき調査をやらずにパスしてしまう可能性がある。

逆に調査が独立していると、


①マーケティング・プロセスに調査機能が
埋め込まれていると、企画担当者はあらゆる判断を
調査に基づいて行うようになる。


②調査部門は、ブランド・マネジャーの指示に
従って仕事をしなくなる。

③不明確な調査課題のもとに調査を実施しなくなる。

調査分析手法の標準化や、

検証のための判定基準、

調査タイミング


「いつも同じにやる」ことが可能になる。


調査標準の確立/組織のマーケティング・リテラシーの向上


とメリットを指摘され、

経営における調査資源の有効利用のために、
調査部門の独立性を主張されています。



●全く同感です。ご存知のように、外資系の企業では、
調査部門はマーケティング(本)部とは、
独立しているケースが多くあります。

しかし、規模の小さいところでは、マーケティング部
(日本では商品本部など)の中に
調査機能があることが多いと思います。

●私がメーカーにいた時も、入社時は
「マーケティング・サービス・マネジャー」という肩書でした。

まさにマーケティングにサービスを行うような感じです。

マーケティングに、「サービス」を行うことも重要ですが、
リサーチャーは、マーケティング部や会社、上司よりも、
「消費者」の方を向いて仕事をする方が、
結局、会社のためになるとも言えます。

「マーケティング・ディレクターがこう言っている」からではなく、
「消費者がこう言っているから・・・」という姿勢が、

消費者の代弁者としてのリサーチャーには大切です。

後に「マーケティング・リサーチ・マネジャー」に
名称変更されましたが、
マーケティング本部の中に在籍をして、
マーケティング・ディレクターやブランド・マネジャーの
「リクエスト」(時には指示)で動いていたことには
変わりはありませんでした。

●マーケティングのROIを高める意味でも、
リサーチは独立に機能した方がよいと思います。

●しかし、このためにはいくつかの課題を解決する
必要があります。

-製品や販促などのマーケティング活動の情報は、
マーケティング部が独占していますので、
両部門の間に情報ギャップが生まれて、
うまく調査機能が果たせなくなる可能性があります。


マーケティングの方は、調査段階になって初めて
情報を調査の方に伝達するなどの問題です。

開発初期から同行するのであれば、
同じ部署の方にいた方が動きやすいとも言えます。

両部門のコミュニケーションが重要です。

別のメーカーの時は、マーケティング本部から独立して
「ビジネス・ディベロップメント本部」の中に置かれ、
財務担当者がヘッドでした。

一見ROI的には理想のように感じました。
しかし、そう事は簡単に運びませんでした。

マーケティング本部との情報乖離が起こりました。
マーケティングの側にいて初めて、彼らの企画意図が
わかるような気もしました。

リサーチだけでは、マーケティングは料理できません。
やはり、マーケティングの深い理解があってはじめて、
有効なMRが可能だと実感しました。

また財務出身者にマーケティングやリサーチを
理解してもらうのも大変でした。

-調査側もビジネスの高い理解度が要求されます。


単にデータを収集・分析して、結果をマーケティングに
提示する役割以上の機能が要求されます。

調査データで、ビジネスの進路を舵とる重要な責任を
もつことになります。

リサーチャーのレベルアップが必要です。


―同時に、マーケティング側も、調査機能のより深い理解と
有効活用の方法の理解が求められます。


これはお互いさまです。

マーケティング側にリサーチを理解してもらうよりは、
リサーチャー自らがマーケティングをもっと理解する方が
てっとり早いと言えます。

―この場合、両者の責任の明確化も必要になります。
通常、新製品の販売などについては、マーティングが
全面的に責任をもつことになります。

これまでの多くの企業ではリサーチャーは
矢面にはたたされることは少なかったでしょう。


これも「リサーチ機能の低下」の一因かもしれませんが。。。

●独立のためには、ある程度の「予算」の独立も必要です。
不況になると、「調査予算」は、販促予算よりも前に
削減される傾向があります。

●どの企業のリサーチのヘッドの方も、
マーケティングと対等の立場に立って、
リサーチのビジネス貢献を高めることに
腐心されていることと思います。

口で言うのは簡単ですが、その実現はなかなか難しいことです。

●以上のことは、個々のリサーチャーの実力を
上げることにも繋がります。

個々のリサーチャーの実力アップなくして、
調査部門のパワーアップもないでしょうから。


●自著でも、単にデータを収集・分析を行い、
数字を提示するリサーチャーから、
マーケティング課題の発見と解決を目指す
「コンシューマー・プランナー」(20-21頁)への
実力アップを提案しました。

●つい最近もTwitterで次にような質問を受けました。

「@fujiokat: これからのリサーチャーにとって重要になる
能力・知識は何だろうか。リサーチ、データマイニング、
mROI、ソーシャルメディア? #J_MR」

●これに対して、

「@Experidge: @fujiokat 手段と目的で分けて考えると、

データマイニングやソーシャルメディアはあくまでの手段。
手段としてのツール修得も必要。
しかし同時にマーケティング・リサーチャーは、
マーケ課題の発見と解決能力が必要。
そのためには「仮説構築力」が目的として必須と考えます。 #J_MR 」と回答しました。

MRのQ&A用Twitter ZukaiMR参照。

仮説構築力をつけるには、マーケティングもリサーチも
理解する必要があります。

インサイトも結局は、仮説構築につながります。

 
●最後に、石井教授が、

『脚光を浴びるのが、最終使用者である
生活者の意向を調べる市場調査の仕事である。
「マーケティングの仕事に就いています」というと、
「市場調査のお仕事ですか」と言われるくらいに、
市場調査がマーケティングの代名詞ともなっている』


と書かれていました。

しかし、残念ながら、メーカーにいた時も、
調査会社にいた時も、上のような実感は
もったことがありません。

調査は黒子、縁の下の力持ちといった
サポート機能部門というのが実感です。
上のようになるために、
リサーチのビジネスへの貢献度を
高めることができればと願っています。




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2010年2月15日月曜日

オンライン・エスノグラフィ調査

前回の2010年のトレンドの記事の中で触れたのですが、
早速ご質問をいただきましたので、
簡単に触れておきたいと思います。


●ご存知「エスノグラフィ」の説明は、


「エスノグラフィとは、社会学や文化人類学における、
インタビューや観察によるフィールドワークと調査記録を
まとめた文書のこと。

あえて事前に仮説を立てずに、定性調査を重ねて
豊富な情報から仮説を見つけ出すのが特徴。

従来型の消費者調査が仮説検証型とすれば、
エスノグラフィは仮説発見型といえる。

データベースやアンケート、グループインタビュー
などに比べて、より深く消費者の本音やこだわりに
迫ることができるという」(http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/JIREI/20090209/324475/


参照:http://it.nikkei.co.jp/business/news/index.aspx?n=MMITi2000005012009


http://it.nikkei.co.jp/business/news/index.aspx?n=MMITi2000005012009

●行動観察調査のエルネット社http://www.lnet.co.jp/research/idea/kansatu.html

イード社http://www.iid.co.jp/tool/tool8.html

R and D社のhttp://www.rad.co.jp/random/53/11_ethno.html


デコム社http://www.decom.org/pages/video.html


●オンライン・エスノグラフィは、要はこれらを
オンラインで行うということです。


つまり、従来のエスノには、

1)対象者のリクルートや、準備、訪問、実施のための
大きな費用がかかることや、

2)実査とその後の分析に時間が必要ー
その間、マーケターは関与できないので、
新たな課題などへの柔軟な対応ができない、

3) 「自然な観察状況」とは言いながら、
依然、調査員(観察者)やカメラマンなどの
「割り込み」(intrusion)=目に見えないバイアスが
入る可能性がある。

といった欠点などがあります。

これに対して、

1)対象者の好きな時間に邪魔されずに自らカメラで撮影する、

2)オンライン・ダイアリーの記入。撮影内容を説明する、

3)製品使用以外にも買い物にも適用可能-買い物同行調査(Shop-along)よりもリアルである、

4)調査員/観察者がいないので、より自由に意見を記入することができる、

5)対象者は自分の考えや行動について、よりじっくり考えることも可能である、

6)観察期間に新たな調査内容のリクエストも可能である、

などの利点があると言われています。対象者への指示や協力が重要になる感じです。

オンライン・エスノグラフィ(Online ethnography)は、

バーチャル・エスノグラフィ(Virtual ethnography)とか、

ウエッブノグラフィ(Webnography)、

リモート・エスノグラフィ(Remote ethnofraphy)、

デジタル・エスノグラフィ(Digital ethnography)

などとも呼ばれています。

歴史は、結構古く、1996年だそうです。下記参照。
Met the father of Netnography

●今後はMROC(コミュニティ)調査の中で行う頻度が
増えると思います。

●前職の調査会社でもエスノ方法はありました。

以前あるクライアントのところでエスノを説明したのですが、
担当者から「御社のエスノの方法には、
何か特別の分析方法がありますか」と尋ねられました。

担当者が期待していることはわかっていましたので、

「弊社のエスノには他社にないXX法という分析方法が
あるのが特徴です」と言いたかったのですが、

正直「残念ながら、ございません」と答えました。

●つまり、エスノをやれば必ずヒット商品や販売方法に
つながり、誰が分析しても

有効なインサイト抽出につながる「特別な分析方法」
はありません。

どの会社もこれまでの「実績」をアピールするケースが
多いと思います。つまり、経験豊富なスタッフがいる
いった話になります。

●ある意味、やってみなければわからないという面もあります。
最悪、マーケターやリサーチャーが自分の身の回りを「観察」したレベルの情報しか得られない場合もあります。

エスノの関係者の方には、ぜひこれまでの経験から、
ご自身のノウハウを体系化・理論化して、「XX法」といった
有効な分析方法をまとめて、いただきたいと思います。


「マーケティング・リサーチの寺子屋」でも1月25日号に
「行動観察」が取り上げられていました。 参照下さい。


Twitterでも、先週、トランスコスモス株式会社エグゼクティブ
リサーチャーの萩原雅之(はぎはら・まさし)氏が

『@surveyml: JMRAが「マーケティングリサーチャー」誌の
特集と連動した新セミナーシリーズを開始、
第一回は3月9日「今、脚光を浴びる行動観察」、
ビジネスエスノグラフィですね。ぜひRTを。
概要と申し込みは http://ow.ly/16CDL #j_mr
つぶやかれてました。


内容は、「JMRAトピックスセミナー~なぜ、生活者が
見えにくいのか~ 今、脚光を浴びる行動観察
3月9日(火)13:00~16:00」です。

残念ながら、その特集号を読んでいませんので、
ここに書かれているようなことが既に掲載されて
いるかもしれません。
 

●ところで、Twitterで、マーケティング・リサーチ関連
のことをつぶやいた場合に、

上のように(半角スペース)#J_MR(半角スペース)を
つけていただくと(大文字、小文字は問いません)、
MR関連のつぶやきが一挙にまとめて見られます。
これをハッシュタグと言います。
これは非常に便利な機能です。

●ちなみに、海外のMR関連のハッシュタグは、

#MRや、 #marketresearch、 #esomar、 #qrca、 #qual、 #focusgroups、 #quant、#marketing_research、#marketingresearch、#QRWEB、#research、#mroc#Netnography、#insights20、#consumerinsights

などがあります。


●この1週間だけでも、次に様な投稿があります。例えば、

How online observational techniques help qualitative researchers keep pace with the speed of consumers
(オンライン観察調査によって、定性リサーチャーがいかに消費者のスピードについて行けるか)ーホンダのケース

ダノンのケース


●また、世界のマーケテイング・リサーチャー
Twitterの listsは、

http://twibes.com/のmarket_research 。

現在400名ぐらい登録されています。


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2010年2月8日月曜日

2010年のリサーチ・トレンド (続き)

先週のブログで、USの権威あるリサーチ団体である
ARF(Advertising Research Foundation)

listeningの提唱

について触れました。

さっそくUSから、関連の情報を送ってもらい、資料を入手しましたので、ご紹介したいと思います。

(株)エクスピリッジ社のもう1つのブログである

Digital Consumer Planner

の方で紹介しますので、そちらをご覧ください。


●先週のブログでは、もう1つのテーマについて言及しました。

それは2010年のリサーチ・トレンドについてでした。

別にいくつか関連の資料がありましたので、
少し付加したいと思います。

●まず、アメリカの有名な調査情報サービス団体である

Quirk's

が先週2010年版のDirectoryを出しました。https://www.quirks.com/index.aspx

その中に、Research 2010: more work, more data, same budgets
という記事がありました。

その中で、2010年のトレンドとして、
以下のようなことが指摘されていました。

-不況が調査機能の再構築reinventをもたらす。

-リサーチャーにとって2010年は
エキサイティングな年になる。

-現在、リサーチャーが数字の処理ではなく、
調査に付加価値を付けることを容易にしてくれる
変革が起こっている。

例えば、MRオンライン・コミュニティや、
モバイル調査、オンライン・エスノグラフィ調査など。

-調査部門への「高品質のインサイトを早く提供する」
という要求のプレシャーがますます強まる。

-消費者のブランドに対する関与engagementや、
情緒emotionを明らかにすることが重要。

-調査会社以外の技術を主力にする会社
(インターネット関連の会社)が、リサーチに
参入してくるので、調査に詳しくない人々が、
調査に関与して、調査の誤用をまねく恐れがある。

-それを防ぐには、リサーチャーは、
他の調査との文脈(context)で、
これらのオンラインから得たインサイトを
分析することが重要。

-USでは、今後オンライン関係のベンダーが
15-20%成長する。

-また、クライアント企業の内部で、既存調査データの
再分析によるインサイトの分析の要求も高まる。
これは、社内の調査予算のコスト減につながる。

-クライアントの調査会社の選定が厳しくなり、
調査会社への要求も高まる。
調査会社は競争を生き抜くためには、
「ユニークさ」が求められる。

-リサーチャーには、調査予算を使う正当性を
主張することが要求される。

-景気回復後の調査費用のアップは困難。
げるためには調査の付加価値アップが必要。


●また、Trends That Will Shape Market Research In 2010は、
後から2009年はマーケティング・リサーチ(MR)にとって、
ターニング・ポイントの年であったと言われるかも
しれないと述べ、

2010年は、social mediaにより、リサーチの変革が
行われると述べています。

●Virtual storeテストなど先進的な手法を駆使する
カナダの調査会社であるVisionCritical
CEOであるAngus Reid でも
How the recession is reshaping researchの中で、

同様に後世、MRの業界史の中で、
「この不況がMRの革命に火をつけた」と呼ばれる
可能性があるとも語っています。


●要約すると、

不況により、既存の調査は、コンシューマー・インサイトの
発見を目指し、よりROIを考慮した効果的・効率的調査に
進化する方向に向かっています。

同時に、Social mediaの発展に呼応した新たな
調査手法が開発されつつあります。


●以下の資料も参照:

Peering through the gloom to brighter times ahead 

分析の重要性や、リサーチの有効性を証明する上での
ケース・スタディの共有(クライアント企業は共有したがらない)
の必要性について言及ー成功事例の共有。

US— Researchers are hopeful that the industry will soon see a return to better times – but concerns persist that the downturn has created problems for the business that will prove hard to fix.

不況のMRへの影響についての
全米512人のリサーチャーへの調査結果(フルレポートResearch Industry Trends 2009 Survey

A Time of Transition

2010 predictions – research for research's sake is over
調査のための調査の終了

Predictions 2010: What Will Happen In Market Research:Ten Trends That Will Shape Consumer Market Research In 2010
有料資料です。

Are Surveys Heading For Extinction? The Approaching Storm

Post-recession, a new world order for MR ◆


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2010年2月1日月曜日

Market Research - Adapt or Die

Market Research - Adapt or Die

少々ショッキングなタイトルです。

USのMCCというコンサルティング会社の
リサーチャーであるTracey Hope-Ross(VP of Research)
1月21日のブログのタイトルです。



●マーケット・リサーチ(MR): 適応か死か?

MRが時代の変化に適応するか、
時代に取り残されるかどうか、
という問題提起です。


●2008年のリーマンショックに始まった不況は、
2009年のリサーチ業界に大きな影響を与えました。
売上の低迷です。


●この不況が回復されれば、また元通り、
プロジェクトの発注が来て、売上が回復する
いう考え方もあります。

不況前のように、製品テストやトラッキング調査などの
定量調査や、グルインなどの定性調査を受注・完了
すれば経営の安定が保証されると考えられます。


●一方、この不況でクライアントの中には、
より一層、リサーチの有効性を再考したところもあります。

また、より戦略的にリサーチを活用していこうと思っている
クライアントもいます。

毎月行っていたトラッキング調査を半年とか
年に1度にするなどの動きもあります。


●さらにもう1つの動きは、
クライアントのマーケティング意思決定のベースが
「伝統的なリサーチ」以外からの情報によって
行われる動きも大きくなってきています。

調査会社の競合が他の調査会社だけではない
ということです。

ITの会社であったり、Eコマースの会社であったりします。

買い物サイトで取り込んだ顧客の大量の「口コミ」が
重要な消費者インサイトの情報源になるわけです。


New Entrants参照。
(もしGoogleやFacebookが、本気でリサーチ分野に
進出してきたならば。。。という恐ろしい話がでています)


●日本では、ご存知の価格.COM@COSME
CookPadのようなSNS会社が
現に調査会社の競合になっています。


●この動きの背景には、WEB2.0の進行による
消費者の声の爆発があります。
Socila mediaの拡大です。


●このような時代の変化に対して、
リサーチは現在、「変革」を迫られています。


●イギリスのResearch Magazineのサイトresearch.

年頭に2010年のリサーチ業界をOne Wordで表現すると。。。
という問いを業界関係者に尋ねています。

Market research in 2010: In a word...


●そこでは、「変革」や「再構築」「定性へのシフト」「エスノ」
などがあげられています。


●特にその中で、IT関連の調査で有名な
USのForrester Research社の

Reineke Reitsmaリサーチ・ディレクターが

「listeningリスニング」

という言葉をあげています。


●「消費者のニーズを理解するために
多くの調査は、

尋ねるaskingことを行っている。

数字の背後にあるストーリーを発見するために、

2010年には、リサーチは定性的なlisteningのツールを

装備すべきである」と彼女は述べています。


●今年のESOMARの年次大会の議題の1つが、

「The conversation revolution - The digital advantage - Are we questioning respondents or developing a dialogue with participants? 」

です。

調査も本音を言わない消費者に対して、
調査票で定型的な「質問」ばかりするのではなく、
消費者の自発的な会話を誘発して、
それに耳を傾ける方法の開発という
問題提起がされています。


●USの権威あるリサーチ団体である
ARF(Advertizing Research Foundation)

昨年からlisteningの重要性に着目して
その方法を探究しています。

先週の1月28日(木)にサンフランシスコで、

Winning With Social Media – ARF Industry Leader Forum ProgramARF Industry Leader Forum – Putting Listening to Work

というlisteningについての会議を開いています。

その会議模様はTwitterでも実況されていました。

●残念ながら、その会議内容については
まだフォローできていません。

幸いこの会議をリードしているのが
前職(Synovate)の同僚であったJoel Rubinson氏
(ARFのChielf Research Officer)です。

今後情報を入手したいと思っています。

●このlisteningも、

過去10年間のMRの大きな課題であった

「コンシューマー・インサイトConsumer Insight」の発見

の1つの方法と考えられます。

今後、このlisteningの議論から新たな方法が
確立されることが期待されます。


2010年のリサーチ・トレンドについては以下も参照:


Market Research: Ten Trends for 2010

Research in 2010 in 1, 2, 5 Words

Research in 2010 and the Decade Beyond


Marketing Research Trends for 2010 and Beyond

MR in 2010: One Word 
再定義創造的破壊がリサーチには必要)

What’s ahead for market research in 2010?



変革期にあるリサーチに関連して、以下も参照。


This Business Isn’t Fun Anymore

Is this business still fun?

The Market Research Piece In The Innovation Puzzle
Survey Research Resolutions for 2010

Six marketing research wake-up calls in 2009 


 
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#150 レイ・ポインターのMR白熱教室2015 第4回(最終回)報告

<第149回> レイ・ポインターのMR白熱教室2015 第4回(最終回)報告 2015年6月23日 ● 第4回目のテーマは、 『データからストーリーテリング』 でした。 ● 7月にレイとの懇親会を予定しております。世界のMRのソート・リーダー(thought ...