2011年3月7日月曜日

次世代MRの方法 『コミュニティ・リサーチ』の普及に向けて!: 第10回JMRX勉強会報告

《第52回》


●先週3月4日(金)に東京ウイメンズプラザで、第10回JMRX勉強会2011年2月度を開催しました。


今回は、『ソーシャル・メディア時代の新しい消費者理解の方法:QRWEB2.0会議報告』と題して、この「みんなのMR.COM」ブログの作成者である私(岸川茂)が発表させていただきました。

MROCについては、昨年8月『ブレインジューサー社イノベーション・コミュニティのご紹介 』に続き2回目の発表でした。

内容は、2月22日と23日に中国マカオで開かれたQRWEB2.0という定性リサーチの国際会議  http://www.merlien.org/past-events/qrweba2011.html で、私が発表しましたMROCについての調査結果を中心に、オンライン定性調査についてお話ししました。

参加者48名、懇親会24名でした。皆様、お忙しい中のご参加、誠にありがとうございました。

この分野では先駆的なCGMマーケティングのエイベック研究所様や、ドウハウス様、博報堂様、個人では、新著『次世代マーkティング・リサーチ』の著者である篠原雅之様や、クチコミ@係長のホットリンクの内山幸樹社長、調査会社では、クロス・マーケティング様(山崎晴生取締役)、インテージ様、電通リサーチ、ジャパン・マーケティング・エイジェンシー様、アイエックス・ナレッジ様、マクロミル様、ビデオリサーチ様、シノベイト様など、また味の素様他の数社の事業会社様など、多方面からのご参加をいただきました。ありがとうございました。

発表スライド:

●インテージの次世代リサーチャー篠原正裕さん(@mshino55)の「肩の力を抜きながらも、重要なポイントを押さえている」ブログ「いまんとこの最適解」(3月5日号)で紹介してもらっています。

私がマカオで発表したMROCの構成要素の図を的確に紹介してくれています。

さらに、現状MROCの大きな課題である「生活者の発言からインサイト創出」への変換作業について、

「自然言語処理や対象者の相互関係を定量化した情報とあわせて、定性情報の解釈をするというアプローチで、コミュニティから生み出される情報を最大限に活用するというのはどうでしょうか?

そうした情報の切り出しを行う定量分析に長けたエンジニアとオンライン定性に長けている分析者がタッグを組んで、クライアントと共にインサイトに近づいていく。」

という示唆深い提案をされています。

●またアイエックス・ナレッジ㈱のマーケティングビジネスユニット統括マネージャーの坂井信弘氏から次のようなコメントを頂戴しました。

『海外でオンライン定性調査が「普及段階」に入っているという認識を持てたことが、大きな収穫となりました。ただ、日本の状況はかなり異なっていますね。岸川さんが言われていた通り、GIが「社内の合意形成」のために多用されていると感じます。やはり、事例を作りながらクライアントを啓蒙していく、ということでしょうか。』

Jeffも彼の発表(The Rise of Online Qualitative:
Reflections on the Evolving Qualitative Research Industry)
の中で、USでのオンライン定性リサーチの普及を振り返って、いろいろな抵抗勢力が存在したと振り返っていました。つまり従来からの伝統的なオフラインのグルインを行っている人からの反対があったようです。
言葉では、online qualitative seems to be approaching mainstreamと語っていました。
同期のオフライン・グルインと、非同期のオンライン・グルインがそれぞれの良い点を生かしながら相互補完的に、目的やタイミングによって、今後使い分けられていることが望まれます。

●発表内容については、上の発表スライドをご覧いただくことにして、会場で言い忘れたことを少しここでは付加したいと思います。

(1)スライド42頁のMaximize ProductivityのComplete Answersの内容は、すべての人が発言したかどうかを常にチェックしながら進行させるということでした。発表中内容が思い出せず失礼致しました。(Jeffの元の原稿の45頁です)

良いプラットフォーム(この場合はBBFGを進行させるソフトウエアを指しています)を使うと、参加者の方の発言の有無を一覧表でチェックできる機能が付いています。

(2)懇親会でも質問をいただいたのですが、コミュニティ・リサーチは、実態の割合などを測定する調査ではありませんので、対象者の代表性は問いません。逆にむしろマイナーであっても、創造力や発言力にたけた人の方がコミュニティの盛り上げには有用です。市場での成功には、MROCの後には、必ず代表性あるサンプルによるリスク調査が必要です。
(3)コミュニティ・リサーチは、「製品開発」の課題解決だけにだけに限定されるものではありません。ブランドやコミュニケーション、顧客経験、ショッパーインサイトなど幅広いマーケティング課題の解決に役立つものです。

(4)グルインも、エスノも、デプスも、ダイアリーもオンラインの力で同時に可能するオールインワン的MROCは、これまでの定性リサーチを変え、さらには定量リサーチも変える可能性があります。

従来の定性リサーチの弱点を補完し、定量調査での検証をより有効にするインサイト調査として期待されます。
コミュニティ・リサーチの普及により、『1社に1MROC』の時代が来るかもしれません。。。

そのためには、MROCの名のもとに劣悪なプロジェクトが横行し、その有効性が損なわれることを回避しなければいけません。日本におけるMROCの正しい有効な方法の普及が望まれます。

発表の後は、恒例の懇親会で盛り上がりました。








*次回のJMRX勉強会3月度は、3月22日(火)

篠原雅之さんの「次世代マーケティングリサーチ」出版記念講演会を予定しています。ご期待下さい。







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